民事上でのトラブルを解決するために行われる「示談」。交通事故など予期せぬトラブルは誰にも起こりえるので、いつ示談交渉をすることになるかもわかりません。この記事では「示談」の意味を解説して、交通事故を例にあげて示談交渉の流れなども紹介します。もしもの時の備えとして、ご一読ください。
「示談」とは?
「示談」の意味は”話し合って決めること”
「示談」の意味は、“話し合って決めること”です。主に、争いごとを当事者間だけで解決するときに使います。
「示談」の読み方は”じだん”
「示談」の読み方は“じだん”です。
「示」と「談」をそれぞれ音読みして”じだん”と読むのですが、「示」という漢字の音読みには「し」もあり、「示談」を”しだん”と読み違えてしまうこともあるかもしれません。
正しくは、「示談」は”じだん”と読むので、覚えておきましょう。
弁護士の仲裁で「示談」することも
民事上での争いを解決する手段する手段の一つとして、「示談」が多く用いられます。この場合の「示談」は、争いの当事者が話し合って解決するための手続きを意味します。
当事者だけで解決できない場合は、訴訟を起こしたり裁判上で解決を目指すのが一般的です。「示談」では、訴訟や裁判ではなく話し合いをすることで解決へと導きます。
「示談」の方法は、当事者がお互いに譲歩して和解することもあれば、弁護士などに仲裁してもらって示談をすることもあります。いずれにせよ、話し合いにより争いを解決することに違いはありません。
「示談」を使った例文
「示談」を使った例文をご紹介しましょう。
- 取引先とトラブルがあったが、示談で済ませた。
- 顧客からのクレームは示談で解決するように。
- 兄弟間での相続問題だから裁判沙汰になる前に、示談でまとめられるといいのだが。
「示談交渉」の流れとポイントとは?
交通事故での示談交渉の流れ
「示談」がどのような流れによって行われるのかを説明するために、ここでは交通事故を例に説明します。
交通事故では、事故を起こした加害者と被害者の間で「示談」が行われるのですが、任意の保険会社が付いている場合は保険会社との交渉になります。
- 加害者側の保険会社が被害者へ示談案を示す。
- 被害者は示談案が妥当かどうか、和解できるかどうかを検討する。
- 示談内容に納得したら、合意したことを示す示談書を交わして示談が成立する。
- 被害者は被害届や告訴を取り下げる。
もしも被害者が示談内容に納得できない場合は、加害者側の保険会社に納得できないことを伝えて、示談案について交渉することができます。
示談交渉のタイミングは損害賠償額がわかってから
示談交渉のタイミングは、損害賠償額の目安がわかってからです。あまり考えられないことですが、損害賠償が生じるような争いでありながら、加害者側から賠償額が提示されていない示談案を使って示談交渉が始まることはありません。
交通事故での示談交渉は損害賠償請求を目的にしていることも多いので、示談交渉は、損害賠償額の提示またはその目安となる金額が提示されてから始めるほうがいいでしょう。
示談書にサインをするときは要注意
示談書にサインするときは、「示談」が成立したことになります。つまり、話し合った内容とは違うことが記載されている示談書でもサインをしてしまえば、示談書の内容が正当化されてしまいます。
示談書にサインをするときには内容をよく読み、和解に適切であるかを確認することを忘れないようにしましょう。
参照:「示談書」の書き方とは?示談別の作成ポイントとテンプレート
示談拒否なら民事調停や民事裁判へと移る
示談交渉がうまくいかず「示談」が成立しないこともあります。その場合には、民事調停や民事裁判に移ります。
「民事調停」とは、第三者として裁判所に介入してもらい、話し合いの仲介してもらうことです。民事調停のメリットは、もし話し合いが滞っていたならば、示談交渉の話し合いが再開されること。もう1つは、合意した内容に強制力が強まり、後々同じ問題が蒸し返される可能性が低くなることです。
「示談金」と「慰謝料」の違いとは?
「示談金(和解金)」によって示談が成立する
すべてのケースに該当するわけではないのですが、示談交渉を「示談金」によって成立することがあります。
「示談金」は和解金や賠償金、おわび料などとも呼ばれますが、示談を終わらせるために当事者間で受け渡されるお金のことです。大概のケースでは加害者から被害者に渡されます。
「慰謝料」とは精神的な被害に対する損害賠償
「慰謝料」とは精神的な被害に対して支払われる損害賠償のことです。精神的な苦痛をお金に換算して、その金額が支払われます。
示談交渉を通じて支払われる「示談金」の内訳には、交通事故ならば治療費や休業損害、入院雑費などがあり、そのうちに慰謝料も含みます。つまり、「慰謝料」は「示談金」の一部です。
まとめ
「示談」とは話し合って決めることという意味ですが、民事上での問題を解決するために行われる話し合いのことを「示談」と呼ぶことが多いです。「示談」によって問題が解決されればいいのですが、解決されないときには民事調停へと移行します。当事者双方が納得のいく和解ができるまでは、示談書にはサインをしないようにしましょう。