「ご提示」の意味や敬語表現とは?見積や自分への使い方と類義語も

「チケットをご提示ください」「見積書のご提示をお願いします」など、何かを見せるよう依頼する際に「ご提示」と使うことがあります。「ご提示」の意味と敬語の種類について解説します。

また「ご提示」を使った依頼文や「ご提示いただいた〇〇」など、さまざまな表現を例文で紹介しましょう。

「ご提示」の意味とは?

「ご提示」とは「見せること」の意味

「ご提示」の「提示」とは「差し出して見せること、考えなどを相手に示すこと」という意味です。また「示した内容について相手に理解させる、わからせる」というニュアンスを含んで用いられる例もあります。

「ご提示」の敬語の種類は「尊敬語」

「ご提示」の「ご」は敬語の意味を持つ接頭辞で、尊敬語・謙譲語・丁寧語の3つの意味になります。「ご提示」の場合も文脈によって敬語の種類が変わりますが、その多くは相手の「差し出して見せる、示す」という動作に敬意を表す尊敬語の意味で用いられます。

一方で使用例として多くはないものの、自分の「提示する」という動作に使う場合の「ご提示」は謙譲語の意味になります。後ほど例文を紹介しましょう。

「ご提示」の読み方は「ごていじ」

「ご提示」は「ごていじ」と読みます。また漢字では「御提示」と書く例もあり、こちらも間違いではありません。ただし、文章に漢字が多いと堅い印象を受けたり、読みにくさを感じたりすることがあることから、「ご提示」とひらがなを交えた表記をすることが多いです。

「ご提示」を使った依頼の表現とは?

「見積/金額のご提示をお願いします」と依頼する

「ご提示をお願いします」とは、相手に何かを「提示してほしい」と依頼する際の表現です。ビジネスシーンでは、相手に見積書の発行や見積金額の算出を依頼する際に「見積書のご提示をお願いいたします」と使用します。

また「ご提示願います」の表現で使う例もありますが、こちらはやや砕けた表現のため、取引先等には使用しません。

例文
  • 入館時には身分証のご提示をお願いいたします
  • ご提示をお願いいたします

「ご提示いただきたく存じます」は控えめな依頼

「提示してほしい」と依頼する表現では、「ご提示いただきたく存じます」もあります。「存じます」は「思います」の謙譲表現で、「提示してほしいと思います」とやや控えめに伝わる依頼文です。

例文
  • こちらの条件で、見積書をご提示いただきたく存じます
  • 制作スケジュールを来週までにご提示いただきたく存じます

「ご提示ください」をチケットや日程に使う

「ご提示ください」とは「お見せください、お示しください」という意味です。たとえば「座席チケットをご提示ください」のように、ものに対して使う場合や「都合の良い日程をご提示ください」と日程・条件などを示してほしい、指定してほしいという意味でもしばしば用いられます。

なお「ご提示ください」の「ください」は、命令の意味を持つ「くれ」を丁寧にした表現であるため、やや強制的なニュアンスを感じる人もいます。

例文
  • ご希望の条件をご提示ください
  • チケット購入画面をご提示ください

「ご提示いただいた○○」の使い方とは?

「ご提示いただいた内容で問題ございません」とOKする

「ご提示いただいた」は「見せていただいた、示していただいた」という意味で、たとえば「ご提示いただいた内容で問題ございません」の形でよく用いられます。

例文

ご提示いただいた日程で問題ございません。当日はどうぞよろしくお願いいたします。

「ご提示いただいた日程のうち~」と可否を述べる

一方で相手の提案に可否を述べたり、意見したりする場合には「ご提示いただいた日程のうち~」という言い回しを使用することもあります。

たとえば「ご提示いただいた日程のうち、5日であればまだ空きがあります」などと予約の可否を述べることが可能です。

「ご提示」の自分への使い方とは?

「ご提示」の「ご」は謙譲語にもなる

先述のように「ご提示」の「ご」には尊敬の意味だけでなく謙譲語、丁寧語としての意味もあります。つまり「ご提示」は相手の見せる(示す)という動作に使った場合は尊敬語になりますが、自分の動作に謙譲語として使うことも可能です。

「ご提示いたします」は「見せます」の意味

「ご提示」を自分の動作に使う場合は「ご提示いたします」という表現が多いでしょう。また「させてもらう」の謙譲語である「させていただく」を使い、「ご提示させていただきます」とする例もあります。

例文
  • 依頼いただいた見積書をご提示いたします。ご確認のほどお願いいたします
  • ご希望のものがございましたら、詳細をご提示いたしますのでお申し付けください

「ご提示」の類義語とは?

「ご提示」の類義語は「ご提出」

「ご提示」の類語は「ご提出」です。「提出」には「差し出すこと」という意味があり、「ご提出お願いします」「ご提出ありがとうございます」と書類のやり取りに使用することができます。

ただし、「ご提出」は「差し出す」という意味に留まるのが特徴で、「ご提示」は「差し出して見せること」という意味である点でニュアンスは異なります。

「ご掲示」は不特定多数に掲げて示すこと

「掲示」とは「文書などを人目につく場所にかかげること」という意味です。「見せる」というニュアンスは「ご提示」に通じるものがありますが、「提示」が見せる(示す)対象が決まっているのに対し、「掲示」は不特定多数に対して示し、「かかげる」というニュアンスが特徴です。

「ご提示」の英語訳とは?

「ご提示」の英語訳には「show」を使う

「ご提示」の英語訳では「show(見せる、示す)」を使用します。そのほかにも「present(差し出す、提出する)」や「offer(差し出す、提示する、表す)」などの英単語を使用することもできます。

「ご提示」の英語例文

  • Please show me your ticket.
    チケットをご提示ください
  • I have to offer them with another condition.
    彼らに他の条件を提示しなければならない

まとめ

「ご提示」とは「差し出して見せること、考えなどを相手に示すこと」という意味の「提示」の敬語表現です。相手の見せる(示す)という動作を敬う意味で尊敬語として「ご提示をお願いします」「ご提示いただいた〇〇」などの言い回しで使うことが多いですが、「ご提示いたします」と謙譲語として自分の動作に使うことも可能です。