「極限」の意味とは?「極限に達する」や数学での使い方と類語も

「極限に達した」「極限状態」と緊迫した状態、切迫した状態を言い表すことがありますが、そもそも「極限」にはどういった意味があるのでしょう。「極限」の一般的な意味と数学用語としての意味、使い方を例文で解説します。また「極限」の類語、言い換え表現や英語訳についても触れています。

「極限」の意味とは

極限とはわかりやすくいうと「ギリギリのところ」

「極限」とは「物事の限度ギリギリのところ」という意味です。物事のはて、限界ギリギリのところを指して「極限」といいます。

また「極限」には「極めて狭い範囲に限定すること」という意味もあります。ただし、この意味はあまり一般的ではなく、日ごろ耳にする「極限」は先に述べた「ギリギリのところ」という意味にとって問題ありません。

数学では「ある値に限りなく近づくこと」記号は「lim」

数学用語としての「極限」は数列や関数で用いられます。変数の値をある値に近づけたとき、その数列や関数値が限りなく近づく値、という意味です。数学における「極限」は、英単語「limit」からとった「lim」という数学記号を使用します。

「極限」の使い方と例文

「極限に達する」と使うことが多い

「極限」は「極限に達する」の表現でしばしば用いられます。「極限に達する」とは「ギリギリの状態になった」というニュアンスで、この場合の「達する」は「ある場所に至る、行きつく」という意味です。

たとえば「忍耐の極限に達した」とは「我慢できるギリギリのところに至った」という意味になり、「そろそろ我慢の限界である」ことが伺えるでしょう。

「極限に達する」の例文

感染症の蔓延によって急増した業務に、体力も極限に達していた。

「極限まで○○する」とは「ギリギリまで○○すること」

「極限まで○○する」とは「ギリギリのところまで○○する」という意味です。たとえば「極限まで安くする」は「ギリギリのところまで価格をさげること」、「極限まで粘る」は「ギリギリのところまで持ちこたえる、頑張る」といったニュアンスになります。

例文
  • 極限まで粘って、何とかOKをもらった
  • 学費を捻出するために、極限まで働いた

「極限状態」とは「これ以上ないギリギリの状態」

「極限状態」とは「これ以上ないギリギリの状態」を指す表現です。たとえば「極限に達した」は、「我慢の極限に達した」のように具体的に表現します。一方「極限状態」は、「もうこれ以上は無理」というようなあらゆる事柄を指して使うことができます。

例文
  • 周囲の期待が重圧となってのしかかり、もう僕は極限状態だった
  • 誰もが極限状態にあって、ひとつの判断を下すたびに神経をすり減らしていた

「極限」の数学における使い方

「極限」によって得られる解を「極限値」という

数学における「極限」は、「限りなくある値に近づくこと」として考えるとわかりやすいでしょう。たとえば「5X+1」という計算式があった場合、変数Xが限りなく0に近づくことを「極限」、それによって得られる値が「極限値」です。

「限りなく0に近づく」というのは、「0になると困るけど、限りなく0に近い値」を意味します。

分母がXである1/Xの「極限」は「無限大」

数学において、分数の分母が0になることはありえないため、1/X(X分の1)という分数で「X=0」は成立しません。ただし、「Xが限りなく0に近づくこと」つまり「極限」は可能です。この場合、1/X(X分の1)の「極限」は「無限大」となります。

もう少し詳しく言うと、「分母Xが限りなく0に近づく」とは分母が0.1、0.001、0.0000001のようにどんどん細かくなることを意味し、それによって分数が大きくなることを意味します。つまり、Xが0に近づけば近づくほど大きくなり、結果「無限大」という表現になるのです。

「極限」の類語とは

「極限」の類語は「限度」「限界」

「極限」の類語では「限度」や「限界」が挙げられます。「限度」とは「認めうる範囲のギリギリのところ」という意味です。一方「限界」とは、「これ以上はないというギリギリのところ」という意味を持ちます。

「限度」が許容できる範囲内での最大ポイントを表し、まだ多少ゆとりがある状態ですが、「限界」はいわば最大限のポイントでそこを超えると成立しなくなる、というような様を表します。

「極限まで」は「ギリギリまで」に言い換える

「極限まで○○する」といった表現は「ギリギリまで」「最後まで」「とことん」などの言い回しに換えることができます。たとえば「極限まで減量する」は「ギリギリまで減量する」と、「極限まで粘る」は「最後まで粘る」と言い換えても似たニュアンスになります。

「局限」は「範囲を限ること」という意味

「局限」とは「範囲を狭く限ること」という意味で、ある一定の部分に範囲を絞る様を表します。たとえば「局限して検討する」などといった使い方が可能です。

「極限」にも「極めて狭い範囲に限定する」という意味はありますが、一般的ではありません。「極限」は主に「ギリギリのところ」という意味で用いられるため、類語としてではなく分けて覚えておいた方がよいでしょう。

「極限」の英語訳とは

「極限」の英語訳には「limit」を使う

「極限」を英語で表す場合は「limit」という英単語を使用します。「limit」は「制限、限度、限界」などの意味を持つ英単語で、「reach the limit」で「極限に達する」と和訳が可能です。

同じく「限界、限度」などの意味を持つ「bounds」、「極度」の意味を持つ「extremity」なども「極限」の英語訳として用いられることがあります。

「極限」の英語例文

  • I reached the limit of patience.(私は我慢の極限に達した)
  • the price reduced to the limit(極限まで安くした価格)

まとめ

「極限」とは「物事の限度ギリギリのところ」という意味です。「極限に達する」のほか「極限状態」「極限まで○○する」などの言い回しで用いられることが多いでしょう。数学用語としての側面もあり、英語「limit」に由来する「lim」という数学記号を使います。