「因縁にかたをつける」「早いとこかたをつけて帰りたい」など小説やドラマではしばしば「かたをつける」という表現を耳にします。この「かたをつける」とはどういった意味なのでしょう。また漢字ではどう書くのが正しいのでしょう。「かたをつける」の意味をはじめ、例文や「けりをつける」との違いについて解説します。
「かたをつける」とは?
「かたをつける」の意味は”決着をつける”
「かたをつける」の意味は、“決着をつける、始末をつける”です。争い事などについて解決をはかる様を表し、金銭で解決する様を意味することも多いです。
物事を終わらせる、きちんと処理するといったニュアンスを持ちます。
漢字では「方(片)を付ける」が正しい、肩・型は×
「かたをつける」は漢字では”方を付ける・片を付ける”と書きます。元々は「方」の字を使ったようですが、「片付ける」にならい「片を付ける」という記載も許容されたようです。
なお、”肩”や”型”といった漢字をあてるのは誤りですが、「カタをつける」とカタカナを交えて書くのは間違いではありません。
語源は「方=不完全なもの」に由来する
「かたをつける」の意味は、”方を付ける”という漢字表記に由来します。この場合の「方」はいくつかあるうちのひとつ、という意味から不完全なものというニュアンスです。「付ける」は解決させる、まとめるといった意味があることから、「片を付ける=不完全なものをまとめる」という解釈ができます。ここから先述の「決着をつける」というニュアンスになったとされています。
「片付ける」にも由来する表現
「片付ける」とは”物事をきちんと入れ納める、乱雑なものをまとめ整える”という意味です。一方で「物事をうまく処理する、仕事をすっかり終わらせる」という意味も持ちます。この後者の「物事をうまく処理する、終わらせる」というニュアンスの「片付ける」をとりわけ「かたをつける」と表現するようになった、ともいわれています。
「かたをつける」の使い方と例文とは?
「かたをつける」は揉め事だけでなく気持ちの整理にも
「かたをつける」は揉め事に決着をつけるさまやトラブルの後始末をする様を表す際に使用します。加えて、気持ちの整理をつけるというニュアンスでも使うことがあります。
- 不正が明らかになり、かたをつける意味で社長が辞任した。
- 彼女への気持ちにかたをつけることを決めた。
「お金でかたをつける」もよく使う表現
「かたをつける」は金銭で解決を図る様を表す際によく用いられるのも特徴です。「お金で解決する=お金を渡してトラブルなどを有耶無耶にする」ようなニュアンスにもとれるでしょう。
- 一昔前ならお金でかたをつけたのかもしれないが、現代はそう甘くはないのではないか。
- お金でかたをつけるとはなんて卑劣なやつだ。
「かたをつけたい」と意気込みを表す例
「かたをつける」を「かたをつけたい」と使うと、「決着をつけたい、終わらせたい」という意思を表す言い回しになります。
- 彼との因縁も次の試合でかたをつけたい。
- この件に早くかたをつけたい。もうクレーム処理なんてうんざりだ。
「かたをつける」の類語とは?
「けりをつける」と大きな違いはない
「かたをつける」の類語は”けりをつける”です。「けりをつける」もまた、物事の決着をつけるという意味で用いられる表現です。「かたをつける」は”けりをつける”に言い換えが可能で、意味に大きな違いはありません。
一方で、「けりをつける」は容易に解決できない事柄に使うことが多い、「かたをつける」は金銭で解決する様に使うことが多いと区別される例もあるようです。なお、漢字で「蹴りをつける」と書くのは誤りです。
「けじめをつける」「終止符を打つ」も類語
「かたをつける」の類語では「けじめをつける・終止符を打つ」などといった言い回しも挙げられます。「けじめをつける」は”けりをつける”ことを、「終止符を打つ」は”続いてきた事柄を終わりにする”ことを意味します。似た表現では「ピリオドを打つ」という言い回しも可能です。
「かたをつける」の英語訳とは?
「かたをつける」は英語で”bring an end”と表現する
「かたをつける」は英語では“bring an end”と表現することができます。直訳すると「終わりをもたらす」という意味です。また、「put an end」という表現でも同じニュアンスになります。また「終わらせる」というニュアンスではシンプルに「finish」という語を使った英訳も可能です。
「かたをつける」の英文例
「かたをつける」の英文例をご紹介しましょう。
- I want to bring an end to my job-hunting quickly.(早く就活にかたをつけたい)
- I wanna put an end to this discussion.(この議論にかたをつけたい)
まとめ
「かたをつける」とは「物事に決着をつける」という意味です。トラブルを終わらせる様、気持ちに終止符を打つ様などに使用するほか、お金で解決を図ろうとする様にもよく使用します。「方を付ける」「片を付ける」あるいはカタカナを交え「カタをつける」と表記することが可能です。
よく似た表現「けりをつける」とは意味に大きな違いはありません。言い換えに使用しても問題のない表現です。