「玉稿」はやや古風な熟語ですが、相手に敬意を込めた表現、敬語のひとつとして今でも用いられます。「玉稿」の意味と読み方をはじめ、その使い方をシーン別に例文で解説しましょう。また「玉稿」と似た意味の熟語・類語表現や対義語・反対語についても紹介します。
「玉稿」の意味とは
「玉稿」とは「りっぱな原稿」という意味
「玉稿」とは「りっぱな原稿」という意味です。相手が書いた素晴らしい文章、優れた原稿を指して「玉稿」と言います。原稿そのものに対する褒め言葉のひとつです。
「玉稿」には相手を敬う意味が含まれる
「玉稿」には原稿を褒める意味だけでなく、その原稿を書いた人への敬意を込めていう意味もあります。有名な作家は“先生”と呼ばれることがありますが、その“先生が書いた原稿”は敬意を込めて「玉稿」と呼ばれます。同様に、書いた人を敬う意味を込め「玉稿」と使う例も多いです。
「玉稿」の読み方は「ぎょっこう」
「玉稿」は「ぎょっこう」と読みます。「ぎょくこう」と呼んでも間違いではありませんが、「ぎょっこう」という読みが一般的です。
「玉稿」の「玉」は、「たま・うつくしいたま」という意味に加え、「美しい・優れた・立派な」などといった意味も持つ漢字です。また「人を敬い、その人に関する事柄につける美称(褒めていう呼び名)」としての意味もあります。
「玉稿」の使い方と例文
「玉稿を賜りありがとうございました」とお礼を述べる
「玉稿」の使用例では「玉稿を賜りありがとうございました」が挙げられます。「立派な原稿をいただきありがとうございました」という意味になります。実際にもらった原稿がとても素晴らしいものだった、というニュアンスにも取れますし、目上の人による原稿に敬意を払う意味でも用いられる言い回しです。
「玉稿拝読しました」とは「原稿を読みました」の意味
「玉稿拝読しました」と使うと「原稿を読みました」という意味になります。「拝読(はいどく)」とは「謹んで読むこと」という意味で、「読むこと」の謙譲語です。目上の人が書いた素晴らしい原稿を目下の自分が読んだ、というニュアンスです。
「玉稿拝受しました」とは「原稿を受け取りました」の意味
「玉稿拝受しました」とは端的にいうと「原稿を受け取りました」という意味です。「拝受(はいじゅ)」とは「受け取る」という意味を持つ「受領」の謙譲語です。目上の人が書いた素晴らしい原稿を目下の自分が受け取りました、というニュアンスになります。
「玉稿」は原稿依頼時に使わない
「玉稿」は「素晴らしい原稿、立派な原稿」というその意味から、一般には原稿を受け取った”後”にその原稿を褒める意味で使うことが多いです。
たとえば「玉稿を賜りたくよろしくお願いします」と依頼する時点で使うと、まだその内容がわからないのに原稿を褒めていることになります。一方で、「次号に先生の玉稿を賜りたく〜」のような表現は、原稿ではなく書き手を敬う意味合いとなり違和感なく使えるでしょう。
「玉稿」の類語や言い換えとは
「玉稿」は類語「原稿」に言い換えられる
「玉稿」は「原稿」という語に言い換えることも可能です。「玉稿」のもつ褒めるニュアンスを汲むと「素晴らしい原稿」「素敵な原稿」と言い換えるとよいでしょう。
「原案」「草稿」なども類語として使える
「原案(げんあん)」とは「元になる案、会議などに出された最初の案」を意味します。一方「草案」とは「文章の下書き、原案」のことで、特に規約や法律の下書きなるものを指して用いられます。いずれも「原稿」の類語で、「玉稿」とも似たニュアンスということができます。
「玉稿」の反対語や対義語とは
「玉稿」の反対語は「拙稿」
「玉稿」の対義語は「拙稿」です。「拙稿(せっこう)」とは「自分が書いた原稿をへりくだっていう語」です。「玉稿」が尊敬語として用いられるのに対し、「拙稿」は謙譲語としての意味を持つ点で対義語になります。
また「玉稿」が「立派な原稿」とほめる意味を持つのに対し、「拙稿」には「へたな原稿」という意味があるという点でも対義的と言うことができます。
「小稿」も反対語のひとつ
「小稿(しょうこう)」もまた、自分が書いた原稿をへりくだって言う語のひとつです。「拙稿」と同じ使い方をします。
同じ「小」がつく謙譲表現では「小生」「小職」などもあります。
まとめ
「玉稿」とは「素晴らしい原稿」という意味です。また、相手が書いた原稿に敬意を込めた表現、相手に敬意をはらった表現としても「玉稿」は用いられます。代表的な使用例では「玉稿を賜りありがとうございました」「玉稿拝読しました」などが挙げられます。
「玉稿」というとやや硬い表現ですが、「素晴らしい原稿」などに言い換えると口頭でも使える表現になります。
この度は玉稿を賜りありがとうございました。お忙しい中、快諾していただきましたこと、改めて感謝申し上げます。