普段から使う機会の多い「わかりにくい」というフレーズですが、直接的な表現なのでシチュエーションによっては強い印象を与えてしまうことも。この記事では「わかりにくい」が持つ意味や使い方と、ビジネスシーンで使える言い換え表現を解説します。例文も紹介しますので、実際の会話やメールに役立ててください。
「わかりにくい」の意味は?
「わかりにくい」の意味は「理解するのが難しいこと」
「わかりにくい」は「なかなか理解できないこと、理解するのが難しいこと」を意味する形容詞です。漢字では「分かり難い」と書き表します。
「難い」は訓読みで「がたい」と読まれることが多い字ですが「にくい」とも読みます。「難い」の常用漢字表での読みは「難(むずか)しい」と「難(かた)い」の2つとなっていますが、表外読みで「難(にく)い」があります。
「わかりづらい」「わかりにくい」は対象となる原因が違う
「わかりにくい」と「わかりづらい」はどちらも「理解するのが難しいこと」や「なかなか理解ができないこと」の意味を持つ言葉です。したがってこの2つの言葉は類義語にあてはまりますが、微妙なニュアンスの違いがあります。
「わかりにくい」は主に言葉そのものや表現が難しく、理解しにくい場合に使われます。例えば「彼の話し方はわかりにくいので何を言っているのかわからない」の場合”彼の話し方=相手またはその事象に原因がある“と捉えられます。
対して「わかりづらい」は物事や文章などの内容が複雑で、自分が理解しにくい場合に使われます。例えば「この本は私には内容がわかりづらいので、読むのに時間がかかる」の場合”本の内容が難しいと感じる=自分に原因がある“と捉えられます。
ビジネスシーンで使える「わかりにくい」の言い換え表現とは
「不明瞭」
「不明瞭」は「ふめいりょう」と読み、「明確でない、明らかでなくはっきりしないこと」という意味を持つ形容動詞です。はっきりしたことがわからないという時に用います。
- 先日の資料、何点か不明瞭な点がありますので教えていただけますでしょうか。
- 彼はいったい何を言いたいのか、相変わらず不明瞭だ。
「複雑」
「複雑」とは「物事の事情や関係などが込み入っている」という意味の言葉です。いろいろなことが絡み合っており、簡単に理解するのは難しい様子を指します。「わかりにくい」よりも少し具体的に踏み込んだ表現ではあるものの、強いニュアンスは受けにくい言葉。言い換え表現として用いるとよいでしょう。
- 説明が複雑になってしまって申し訳ありません。
- 工程が複雑なので、初めて使う人が混乱してしまわないか心配です。
「難解」
「難解」とは「わかりにくいこと、むずかしいこと」を意味する言葉です。内容や意味が難しいときに「難解だ」「難解すぎる」といった言い回しで使います。「わかりにくい」よりも少し堅苦しさと強い印象を与えることもありますので、使うシチュエーションを考慮する必要があります。
- 君の書く文章はいつも難解だ。もう少し改善できないか。
- 難解なことを分かりやすく話せる能力を身につけたい。
「わかりにくい」のカジュアルな言い換え表現は
「はっきりしない」
「はっきりしない」は「はっきりする」の未然形”はっきりし”に打ち消し語の助動詞”ない”がついた形の言葉で、「物事を明確に判断したり理解したりするのが難しい」という意味です。
とくに、物事にあいまいな部分があって明らかでない時に使われる言葉です。日常会話やメールで目にすることが多いでしょう。「はっきりしない」はカジュアルなシーンだけでなく、ビジネスシーンで使っても支障はありません。
「まわりくどい」
「まわりくどい」は漢字で「回りくどい」と書き表し、「遠回しではっきりとしない」を意味します。特に相手の話や内容が直接的でなく遠回りで、煩わしいといったときに使う言葉です。ネガティブなイメージを与える言葉なので、頻繁に使用するのはできれば避けたいものです。
「はっきりしない」「まわりくどい」を使った例文
- 結局、何が言いたいのかはっきりしない。
- 彼の話し方はいつもまわりくどいんだよね…。
「わかりにくい」の英語表現とは
「It’s hard to understand」
「It’s hard to understand」は「理解するのが難しい」と訳することができ、「わかりにくい」と同等の意味を伝えられる英語表現です。
何が分かりにくいのか具体的に何がわかりにくいのかを示す時は、undarstandの後に「分かりにくい対象」を置くことで表現できます。”hard”は”difficult”でも代用可能です。
- It’s hard to understand how to use this machine.(この機械は使い方がわかりにくい。)
- His way of speaking is hard to understand.(彼の話し方はわかりにくい。)
「I don’t get it」でも伝えられる
「I don’t get it」も、「わかりにくい」を伝えられる英語表現にあたります。自分が分からないということ・理解できないことを相手に伝えられる定番のフレーズです。逆に、理解できた、分かったことを相手に伝えたいときには「I get it.」を使うのが適切です。
- I don’t get what you said.(あなたの言っていることがわかりにくい。)
- He was trying to explain,but I didn’t get it.(彼は説明してくれたが、私には理解できなかった)
まとめ
「わかりにくい」は「なかなか理解できないこと、理解するのが難しいこと」を意味する形容詞で、漢字では「分かり難い」と書き表します。「わかりにくい」をそのままビジネスシーンで使っても差し支えはありませんが、「不明瞭」や「複雑」、「難解」といった言い換え表現を活用するとよいでしょう。また「はっきりしない」、「まわりくどい」などの表現はカジュアルな場面での言い換え表現として使用できます。
日常生活で使用する漢字の目安になるものとして「常用漢字表」があります。これは内閣によって定められたもので漢字と読み方が記されており、登録字数は2136字です。ただ、漢字の中には常用漢字表に記載のない読み方をするものもあります。それを「表外読み」とよびます。