「大器晩成」の意味と使い方とは?由来や対義語も解説

「大器晩成」は人物評でよく用いられる褒め言葉ですが、他人を評価するからには正しい意味を知って使いたいものです。この記事では、「大器晩成」の意味の解説と使い方を解説しています。合わせて言葉の由来と大器晩成型の偉人や対義語も紹介しました。

「大器晩成」の意味とは?

「大器晩成」の意味は「大物になるには時間が掛かる」

四字熟語「大器晩成」の意味は、”真に偉大な人物になる者は、完成するまでに時間が掛かること”です。「大器」とは並外れた才能あるいは大人物のことを指し、「晩成」とは普通より遅れて完成すること、または年をとってから成功することをいいます。

つまり、立派な人物はすぐには出来上がらないということで、若いころには俊敏に見えないことさえあるということです。

「大器晩成」には「遅咲きの花」という意味も

「大器晩成」の本来の意味は「大物になるには時間が掛かる」ということですが、偉大な人物であっても若い頃から頭角を現す人もいます。したがって、大物になるには時間が掛かるとは言い切れないのです。

近年では成果を早期に求める傾向が高くなり、晩成するまで待ってもらえなくなっています。そのため、「大器晩成」は晩年になってから成功することや人物という意味で使われることのほうが多くなりました。

「大器晩成」の使い方とは?

褒め言葉として使う「大器晩成」

「大器晩成」は相手が「大器」であるという前提で使われるため、褒め言葉です。「大器」は確かに完成までに時間が掛かりますが、完成に至る途中が全くの凡人であるということではなく、何らかの片鱗が見られるものです。

たとえば物に動じないというところや、粘り強く努力を続けるというところのような、普通の人より優れている点が挙げられます。このような美点を認めたうえで、少しずつ完成へ向かっていることを評価する言葉が「大器晩成」です。

生涯現役へのエールとして使う「大器晩成」

人生50年だった時代には、ぐずぐずしていると寿命が尽きてしまい何も成すことなく人生が終了してしまいました。しかし今や人生100年時代に突入し、50歳は折り返し地点にしか過ぎなくなったのです。

ところが50歳前後には定年を意識して元気がなくなることがあります。そんなときに、「人生まだまだ先は長い、これから新しいことを始めても十分間に合う」と捉えれば、「大器晩成」という言葉は生涯現役へのエールとなります。

慰めや励ましとして使う「大器晩成」

頑張っているのに芽が出ない、努力が空回りして報われない、そんな状態にある人に対しての慰めや励ましの言葉として「大器晩成」は適しています。

大きな器はなかなか一杯にはならないが、水を入れ続ければいつか必ず満たされるから諦めないでほしいという気持ちを込めて、「あなたはきっと大器晩成型」というように使います。

「大器晩成」の由来とは?

「大器晩成」の由来は『老子』

「大器晩成」の由来は、『老子』にある「大方無隅 大器晩成 大音希声 大象無形」で、「たいほうむぐう たいきばんせい だいおんきせい たいしょうむけい」と読みます。

大きな四角形は角が見えず、大きな器はなかなか出来上がらず、大きな音はかえって聞こえず、大きな形は形として見えないものだということで、大きなものの全貌は測り難く完成までに時間が掛かるということ意味です。

ここから「大器晩成」が独立して、大人物は時間を掛けて大成するという意味で使用されるようになりました。

「大器晩成」の対義語とは?

「大器晩成」の対義語は「栴檀双葉」

「大器晩成」の対義語として「栴檀双葉(せんだんのふたば)」があります。「栴檀は双葉より芳し」とも言わる言葉で、栴檀とは香木の白檀のことです。

栴檀は芽生えたばかりの双葉の頃から早くも香気を放っているという意味で、大成する人物は幼少の頃から才気があるということを言っています。

「啄木鳥の子は卵から頷く」も対義語

「啄木鳥の子は卵から頷く」も「大器晩成」の対義語です。啄木鳥(きつつき)の子は生まれたときから木を突く動作をすることから、生まれながらの才能は幼いころから自然に現れるということを指しています。

才能は努力する以前に現れてくるものだということですが、才能がなければ努力しても無駄、あるいは才能があれば努力は不要と言っているのではありません。

大器晩成型の偉人・有名人とは?

大器晩成型のモデルとして、2人の偉人を紹介します。

大器晩成の偉人と言えば「徳川家康」

260年続いた江戸幕府の礎を築いた徳川家康は、60歳のときに関ヶ原の戦いで勝利を収めました。そして62歳で江戸幕府を開き、その後74歳で亡くなるまで幕藩体制の基礎を固めたのです。人生50年といわれた当時、60歳からの成功はかなりの遅咲きといえます。

「伊能忠敬」も大器晩成の偉人の一人

家業を49歳で引退、20歳近く年下の師匠について勉学に励んだ後、55歳から17年かけて日本地図を作り上げました。測量は徒歩で行われ、その距離は4万キロに及んだといわれています。彼が亡くなったのは73歳、まさに晩年に大輪の花を咲かせた人生でした。

まとめ

スピードが重視される現代においては、目に見える成果を性急に求めがちです。しかし短期間で得られる成果が長い目で見た成功につながるとは限りません。

長期的な視野を持ち、結果を焦らずに着実な一歩を重ねていくことが、偉業を成し遂げるために必要なことです。「大器晩成」という言葉を忘れずに未来への種まきを続けることが、ひとつの成功への道といえます。