「二重敬語」とは?ダメな理由やよくある間違いの例一覧も紹介

「二重敬語」とは、同じ種類の敬語を重ねて使う敬語の誤用を指した言葉です。相手に失礼がないようにと緊張するあまり、やってしまいがちなミスといえます。この記事では、「二重敬語」とはどのようなものかということのほか、ダメな理由やよくある間違いの例、訂正の方法なども紹介しています。

「二重敬語」とは?

「二重敬語」とは敬語を重ねて使ったもの

「二重敬語(にじゅうけいご)」とは、敬語に同じ種類の敬語を重ねて使ったもののことです。敬語には大きく尊敬語と謙譲語の二つに分けられますが、「二重敬語」は「尊敬語+尊敬語」、「謙譲語+謙譲語」というように同種の敬語を重ねて使うことを指します。

尊敬語の「二重敬語」の例

「二重敬語」のよくある例としては、「見る」の尊敬語「ご覧になる」に、同じく尊敬語の「~れる」を加えて「ご覧になられる」としたものです。

「お読みになられる」や「おっしゃられる」など、尊敬語に「~れる」を続けた言い回しは、話し言葉でよく使われています。

これらは近年許容されつつある言い回しですが、「二重敬語」もあたるものとして意識しておく必要があります。

謙譲語の「二重敬語」の例

謙譲語の「二重敬語」としてよくある例は、謙譲語に「させてもらう」の謙譲語「させていただく」を続ける言い回しがあげられます。

具体的には「見る」の謙譲語「拝見する」に「させていただく」を続けて、「拝見させていただく」とするものです。

ほかにも「参上させていただく」や「拝察させていただく」なども、ビジネスの場でよく耳にしますが、これらも「二重敬語」にあたります。

なお、「させていただく」は「させてもらう」の謙譲語で、本来は相手の許可や好意によって恩恵を受ける場合に使うものです。

たとえば、「進行役を務めさせていただく」は相手の許可を得る必要がないため不適切ですが、聞き手を尊重するという意味で慣例化しており許容されつつあります。

「承知いたしました」は正しい敬語

「いたしました」は、「した」の謙譲語ですが、「承知」は謙譲語ではありません。「受ける」「効く」の謙譲語「承る」と「承知」を混同したためと思われます。

そのため、「承知いたしました」は「二重敬語」のように見えても正しい敬語です。

間違いやすい二重敬語の正誤一覧

尊敬語+「~れる」の例

「二重敬語」の尊敬語+「~れる」は、尊敬語はそのままにして「~れる」を取るか、尊敬語を平語に戻して「~れる」を付けることで、誤りを修正できます。

  • (誤)ご覧になられます
    • (正1)ご覧になります
    • (正2)見られます
  • (誤)お帰りになりました
    • (正1)お帰りになりました
    • (正2)帰られます

謙譲語+「させていただく」の例

「二重敬語」の謙譲語+「させていただく」は、「させていただく」を取ることで誤りを修正できます。

  • (誤)参上させていただきます
    • (正1)参上します
  • (誤)頂戴させていただきます
    • (正1)頂戴します

謙譲語+「お~します」の例

謙譲語には、「承る」「伺う」のような元の言葉を言い換えたタイプと、「お受けする」「お訪ねする」のような平語に「お(ご)~します」をつけ足したタイプがあります。

この二つを同時に使うと「二重敬語」になりますが、どちらか一つだけを使うことで誤りを避けることができます。

  • (誤)お承りします
    • (正1)承りますます
    • (正2)お受けします
  • (誤)お伺いします
    • (正1)伺います
    • (正2)お尋ねします

なお、後述するように「お伺いします」は本来「二重敬語」ですが、慣例化しているため使用してもよいとされています。

役職に敬称をつけると「二重敬語」に

ビジネスの場で、社長様や課長殿なとの言い回しを見聞きすることは少なくありません。しかし、役職そのものが敬称にあたるもので、ここに「様」や「殿」などの敬称を続けると二重敬語になるため誤りです。

また、「関係各位様」もよく見掛ける表現ですが、「各位」が「皆様方」という意味であるため「二重敬語」にあたり誤用となります。

「二重敬語」はなぜダメなのか?

「二重敬語」がダメな理由は文法的に誤っているから

「二重敬語」がなぜダメかというと、文法として同じ種類の敬語を重ねて用いてはいけないことになっているからです。

とはいえ「お召し上がりになる」や「お伺いする」のほか、丁寧語を重ねた「ますでしょうか」は「二重敬語」に該当しますが、すでに慣例化しているため使っても問題はないとされています。

二重敬語に限らず慣用句の用法などの誤用は、「言葉の乱れ」との指摘を受けながらも慣例化するにつれ許容されていく傾向がみられるようです。

「二重敬語」は慇懃無礼だからダメとも

「二重敬語」がダメな理由は、慇懃無礼でかえって失礼に当たるからとも、冗長で聞き苦しいからともいわれています。また、社会人としての常識が足りないとみなされることもあります。

敬語に関しては、多く使うほどよいというものではなく、適切な言い回しを覚えて使いこなすことが求められているのです。

古語での二重敬語は正しい

「言葉は生き物」といいますが、かつて二重敬語は特に高い敬意を表す言い回しとして使われていました。天皇や中宮に対しては二重敬語を使わないと不敬にあたるとされていたのです。

たとえば、「聞かせ給ふ」は「お聞きになる」という意味の言葉です。これは、尊敬の助動詞「す」に、同じく尊敬を表す補助動詞「給ふ」があわさった二重敬語ですが、最高の敬意を表す言い回しで正解となります。

まとめ

「二重敬語」について、ダメな理由や間違いやすい例の一覧なども交えながら紹介しました。誤用とされる「二重敬語」は、古語においては最高位の敬語として使われていたものです。また、本来は「二重敬語」にあたる言い回しが、慣例化して現在では一般的に使われるようになったものもあります。

敬語は、より良い人間関係を構築するためのものということを考えると、ときには文法上のルールよりコニュニティのルールを優先する柔軟さも必要となるでしょう。