「事由」の意味や読み方とは?「理由」との違いや類語も紹介!

「事由」と「理由」は、一字違いで意味も似ている言葉です。しかし全く同じというわけではなく、微妙な違いがあります。特に書面で提出する場合の「事由」は、「理由」より厳しい条件をクリアしなくてはならないため、注意が必要です。ここからは、「事由」と「理由」の違いと類語や例文の使い方を紹介していきます。

「事由」の意味と読み方とは?

「事由」の意味は「事象が起きた原因」

「事由」の意味は、”事象が起きた原因”です。退職時の「一身上の都合」などが「退職事由」で、職場でよく使うものとして挙げられる事例です。

また、「事由」は法律用語としても用いられているもので、直接的な原因となる「事実」のことを指します。一般的に使用されるときの「事由」は事が起きた「原因」なので、混同しないよう注意が必要です。

読み方は「じゆう」

「事由」の読み方は”じゆう”です。

「事由」と「理由」の違いとは?

「事由」と「理由」はともに物事が生じた元になるもののことです。よく似た意味合いがある言葉ですが、両者の違いは意味の範囲にあります。

「事由」は「事実」で「理由」は「事情」

「事由」は物事が起きた原因となった「事」を、「理由」は「事」に限定されない「事情」を指しています。

つまり、「事由」では客観性が重視されることに対し、「理由」の場合には、もっともなことであれば問題ないのです。

そのため背景や意図などのような主観性が強いものであっても、理由として使うことが可能です。「理由」のなかに「事由」が含まれているため、「理由」のほうが「事由」より広く一般的に用いられています。

「理由」は物事の「理(ことわり)」のこと

「理由」の意味は、物事がそのようになったり判断したりするに至った事情や根拠のことです。「理由」で使われている「理」には「もっともなこと」という意味がありますが、その理由は必ずしも事実のものであるとは限りません。

実際に「理由」には口実・いいわけという意味もあり、たとえば遅刻の「理由」としては、「朝方、金縛りにあった」というようなものでも、もっともなことであれば事足りるのです。

「事由」と「理由」の類語とは?

「事由」の類語は「理屈」「根拠」

法律用語ではない「事由」と「理由」は、おおむね相互に類語として使用できるため、言い換えが可能です。「事由」と「理由」に共通する類語としては、「理屈」や「根拠」があります。

その他の類語としては、「訳柄」「訳合」「訳」などが挙げられ、いずれも「わけ」という意味を持ったものです。「事由」は「理由」に含まれているため、細かいニュアンスを伝える必要がなければ、いずれを使ってもさほど大きな問題はないということです。

「理由」の類語は「裏付」「拠所」「信証」

「事由」より広い意味を持っている「理由」の類語としては、「裏付」「拠所」「信証」などがあります。これらはいずれも、信頼の基となるものという意味を持つものですが、「事由」のように客観的な「事」である必要はないものです。

たとえば「裏付」「拠所」「信証」の場合では、「彼は信頼に足りる人物だから大丈夫」というような、客観的とはいえないものが根拠であっても構わないのです。

「事由」と「理由」の例文とは?


「事由」と「理由」の例文と使い方を紹介します。

「事由」を使った例文

「事由」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。

  • 事由書の作成に先立ち、トラブルの発生原因を明らかにするための聴き取り調査が行われた。
  • 退職事由をはっきりさせておかないと、後々金銭トラブルに発展するかもしれない。
  • 債務者に帰責事由がないことを証明できれば、債務不履行の責任は生じない

「事由」は仕事上で使われることが多く、物事の発生原因を明確に示すことが求められます。口頭の説明ではなく文書で提出することが一般的であるため、ある意味で証拠が残ってしまうことになるので、きちんと精査した内容を記述したいものです。

「理由」を使った例文

「理由」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。

  • 有給休暇の申請での取得理由は、「私用」にしておいて問題はないはずだ。
  • 彼がそんな暴挙に出たのは、よほどの理由があったに違いない。
  • 残業がデートをすっぽかした理由として通用するかどうかは、重要な問題だ。

「理由」は「事由」に比べて堅苦しい条件がない広い範囲を含む言葉で、「事由」の代わりとして使うことが可能です。単なる所感でも理由としては通用するため、「事由」より気軽に表明することができます。

まとめ

「事由」と「理由」の違いや、類語や例文の使い方について解説しました。「事由」と「理由」は相互に言い換えが可能な言葉です。しかし、法律用語や仕事上での書類として用いる「事由」においては、「理由」で代用することは避けてください。

この点の注意を怠らない限り、どちらにすべきか迷ったときには「理由」にしておいて問題はありません。