「併せて」の意味は?公用文での使い方と「合わせて」との違いも

「併せて」は、何かを同時に行う場合によく使用される言葉です。口頭で述べる場合には気になりませんが、ビジネスでの書面やメールで使う場合、「併せて」「合わせて」「あわせて」のいずれが正しいのか迷うことがあります。この記事では、「併せて」の意味と公用書やお願いでの使い方について紹介しています。

「併せて」の意味とは?

「併せて」の意味は「同時に」

「併せて」は、「同時に」と同じ意味で、「併用」という熟語を思い浮かべると分かりやすくなります。「併せて」は、他と共に用いることや同時に使うことを指しており、以下のような意味合いを持っている言葉です。

  1. 接続詞的用法として「同時に・ともに」→(使用例)ご挨拶とさせて頂き、併せて益々のご発展を祈念いたします。
  2. 副詞的用法として「並行して」→(使用例)A案と併せてB案も検討する

「併せて」と「合わせて」は言い換えできる?

微妙に違う「併せて」と「合わせて」

「併せて」と「合わせて」の読み方はどちらも「あわせて」です。「合併」という熟語からも分かるように、どちらとも2つ以上のものを集めるという意味合いがあります。さらに両方とも常用漢字となっているため、言い換えができるようにもみえます。

しかし、「併せて」と「合わせて」は微妙にニュアンスが違うため、代用すると違和感が生じてしまうことがあります。また、「併せて」を接続詞的に使う場合には、漢字ではなくひらがなを用いることが推奨されているのです。

「併せて」は並び立つイメージ

「併せて」は2つのものが並んでいるイメージです。先ほどご紹介した副詞的用法の「併せて」では、A案とB案はそれぞれ別のものとして並行しながら進んでいます。これを「合わせて」と表記した場合には、A案とB案の折衷案を検討するという意味に変わるのです。

つまり、「併せて」は複数のものが独立して並んでいる状態を、「合わせて」は複数のものが1つに混じり合っている状態をイメージすれば、理解しやすくなります。

「併せて」の公用文での意味と使い方

公用文での「併せて」は「並行して」と同義

一般的には「併せて」とともに、別の漢字を用いる「合わせて」やひらがなを用いる「あわせて」という表記が混在していますが、公文書では以下のように明確な使い分けのルールに則っています。このルールに従っておけば、失敗なく「併せて」を使うことができます。

  • 「並行して」という意味の副詞として用いる場合:併せて
  • 「一致させる」という意味の動詞として用いる場合:合わせて
  • 接続詞として用いる場合:あわせて

このルールに従えば、「Aの言い分とBの言い分を併せて検証する」というように、それぞれを並行させて何かを行うときには「併せて」を使います。この場合、結果的に採用されるものはAかBかのいずれかの言い分です。

もし、AとBの両者の顔を立てて折衷案を考えようとしているのであれば、「Aの言い分とBの言い分を併せてC案とする」にしてしまうと誤りになります。この場合では、「合わせて」を用いなければなりません。

「併せて」「合わせて」「あわせて」の使い方

「併せて」を用いるケース

ビジネスの場では、書面やメールのほか口頭で相手にお願いする際に「あわせて」という言葉をよく使います。たとえば、いくつかの注意事項を挙げたあと、「○○もあわせてお願い申し上げます」と続けたい場合では、「併せて」「合わせて」「あわせて」のなかの「併せて」が正解です。

すでに挙げたいくつかの注意事項と並行して○○もお願いしていることになるので、一致させる意味の「合わせて」や接続詞として用いる「あわせて」では意味が合わなくなります。

「合わせて」を用いるケース

会合への参加を強く呼びかける場合、「万障繰りあわせてご参加ください」という言い回しが使われますが、この場合のあわせては「合わせて」を用います。いろいろと用事はおありでしょうが、そこを何とか都合をつけてお時間を作ってください、ということを言っているのです。

「併せて」を使ってしまうと、既存の用事と参加してほしい会合とを並行して選択することになり、相手に対して強く参加を促すことにはなりません。

「あわせて」を用いるケース

祝賀会の挨拶などで、「お喜びを申し上げ、あわせて益々のご発展をお祈りいたします」という言い回しをよく耳にします。意味としては「併せて」でも「合わせて」でも通りますし、口頭での挨拶ではどれを用いているのかは分からないため問題ありません。

しかし書面で表記する場合、接続詞として用いるケースでは「あわせて」とひらがなを使用することが望ましいとされています。

まとめ

併せての意味と公用文やお願いでの使い方を紹介しました。口頭での使用ではなく書面で用いる場合は、用法が間違っているとこちらの意図が正しく伝わらなくなることもあります。

ビジネスの場面では、利害関係が絡んでくることも多いため、使い分けには特に注意が必要です。迷った場合には、「並行して」や「同時に」などのような、分かりやすい言葉で言い換えることをおすすめします。