「私用」はビジネスの場でもよく聞かれる言葉です。似ているものに「私事」「所用」がありますが、厳密な使い分けはあるのでしょうか。この記事では、私用の意味や類語「私事」「所用」との違いのほか、有給休暇や欠席での使い方についても紹介しています。
「私用」の意味や読み方とは?私事との違いは?
「私用」の意味は「私的な用事」のこと
「私用」の意味は、「私的な用事」です。なお、「私用」には「私的に用いる」という意味もあり、携帯電話やスマホが普及するまでは、会社内での私用電話が問題になることがよくありました。私的な用事を表す「私用」と混同されることはあまりありませんが、知っておくに越したことはありません。
「私事」とほぼ同じ意味
「私事」と「私用」は、ほぼ同じ意味の言葉です。厳密には「用事」を表したいときには「私用」を、「事情」を表したいときには「私事」を使用します。
「私用」の読み方は「しよう」
「私用」の読み方は「しよう」です。
「私用」の類語とは?
「私用」の類語は「私事(しじ・わたくしごと)」
「私事」には、「しじ」と「わたくしごと」の2つの読み方があります。口頭で述べる場合「しじ」と言うと、文脈によっては「指示」や「支持」と紛らわしい場合があるため注意が必要です。
さらに「私事」には「私用」にはない、もうひとつの意味があります。それは、触れられたくない秘め事というものです。使う場面や相手によっては、変な深読みや余計な詮索をされてしまうこともありえます。誤解を避けたい場合には、「私事」ではなく「私用」を用いておいたほうが無難です。
「私用」と「所用」の違いとは?
「所用」は単なる用事のこと
「所用」は「しょよう」と読み、「私用」とは一字違いで音も似ている言葉です。「私用」と同様に用事のことを指す言葉ですが、「私用」は用事のなかで私的なものをいうものです。
「所用」は単に用事全般を指すもので、用事の改まった言い方として公的な場面で用いられます。「私用」とは異なり「所用」での用事には、私的なものか公的なものかという区別がありません。つまり「私用」は、「所用」のなかに含まれる私的なものを限定していう言葉です。
「私用」と「所用」は用事の内容で使い分け
「私用」と「所用」の使い分けは、用事の内容によって決まります。「所用」を使う場合の用事は、どんなものでも構いませんが、「私用」での用事は私的なものに限られます。私的な用事として一般的に認識されているものの例を挙げましょう。
- 身内・友人の冠婚葬祭
- 銀行や役所などでの用事
- 子供の学校行事
- 自分自身の通院
- 家族の通院への付き添いや看病
- 旅行・レジャー
「私用」は「所用」に言い換えが可能
「私用」は「所用」に含まれるため、「私用」を「所用」と言い換えることができます。特にビジネスシーンは公的な場であるため、私的なことを持ち込まないことが望ましいものです。用事の内容が重要な意味を持つような場合以外では、「所用」で統一しておいても問題はありません。
たとえば時間給を取って私用で外出するような場合、社内の人間に対しては、「歯医者に行く」というように要件や所在を明らかにしておく必要があります。しかし、取引先から掛かってきた電話には、「所用で出掛けております」というように伝えてもらえばよいのです。
有給や欠席理由での使い方
有給休暇を取得するときや会議・会合などを欠席するときの理由として、「私用」や「所用」がよく使われるので、ケース別に適切な使い方を解説します。
有給休暇の理由は「私用」がほとんど
有給休暇は正式には「年次有給休暇」と呼ばれるもので、労働基準法によって労働者の権利として与えられているものです。休暇の理由は「私用」となり、休暇の目的や内容についてはどのように過ごそうとも個人の自由で、もっともらしい理由は不要です。
ただし会社には「時期変更権」といって、労働者の有給休暇の希望に対して変更を指示できる権利があります。また、繁忙期には有給休暇を取りづらいものです。したがって、どうしてもこの日に休みたいという場合には、日にちを変更しづらい理由を挙げることをおすすめします。
たとえば結婚式や法事などは、個人の都合で日にちを変更できるものではないため、旅行やレジャーなどより職場の理解を得やすい理由として使用できます。なお、裁判員に選出された場合は「私用」ではなく「公用」と報告します。
社用では「所用」「私用」を使い分ける
会議や会合などを欠席する場合、理由によって「所用」と「私用」を使い分けます。会議や会合が、別の会議・会合や出張などの社用と重なった場合、どちらかを欠席しなければなりません。また、私用のために出席できない場合もあります。
欠席するときには「所用で出席できません」「私用により欠席します」と連絡しなければなりませんが、断られた側としてはあまりいい気持ちはしないでしょう。このような場合には、「誠に恐縮ですが」「大変心苦しいのですが」などのように、申し訳ないという気持ちを表す一言を添えることをおすすめします。
まとめ
「私用」の意味や類語の「私事」のほか、「所用」との違い、有給休暇や欠席での使い方について紹介しました。有給休暇の取得や会合などの欠席の際に、私用あるいは所用だけですませずに相手の理解を得やすい理由を添えることは、社会人のエチケットです。「私用」と「私事」、「所用」を上手に使い分けて、気持ちよく仕事を進めていきましょう。