「キャッチアップ(catch up)」という言葉は、ビジネスシーンではよく「追いつく」の意味で使います。ただし、経済用語やIT用語、医療分野でも用いられているため、それぞれの用法も正しく理解しておくことが大事なポイントでしょう。
この記事では「キャッチアップ」のもともとの英語の意味や使い方、例文をご紹介します。類語や言い換え表現も押さえておきましょう。
「キャッチアップ」とは?
「キャッチアップ」の意味は”捕らえる・手に入れる”
「キャッチアップ」の意味は、”捕らえる・手に入れる”です。英語の「catch up」で、音をそのままカタカナ表記した言葉です。動詞としての意味を表すときには「catch up」ですが、名詞として使用する場合には「catch-up」と単語の間にハイフンを入れて表記します。
由来の「catch」は対象範囲が広いため、使い方もさまざま
「キャッチアップ」の基本的な意味は「先行するものに向かって追いつく・追いかける」ですが、さまざまなシーンで用いられる理由は、「捕らえる」という意味を持つ「catch」の対象範囲が広域にわたっていることによるものです。
捉える目的となる対象物のちがいから、以下のようにさまざまな意味合いの展開がみられます。
「キャッチアップ」の使い方と例文とは?
ビジネスシーンでは「把握する」「理解する」というニュアンスで
ビジネスシーンで「キャッチアップ」という言葉が使われる場面は、会議に参加できなかったときなど、議事録なに目を通して会議の内容を把握しておくようなケースです。また、新しい業務内容や業務知識などをすばやく理解して習得するようなケースでも「キャッチアップ」が使われます。
経済用語としては「先行国に追いつこうとすること」
経済用語として「キャッチアップ」が使われる場合は、経済やインフラのほか開発や技術において後発の国が先行している国に追いつこうとすることを指しています。戦後の日本が欧米諸国をキャッチアップして経済大国に成長したことが、よい事例です。
途上国のキャッチアップを受けて、我が国は経済大国の座から転落しそうになっている。
IT用語としての「キャッチアップ」は記事の拾い読みやキャプチャのこと
IT用語では、ソフトやアプリの機能として「キャッチアップ」が利用されています。新しいニュースを取りこぼさないために活用されているニュースリーダーでは、膨大な記事が未読のまま蓄積してしまいがちですが、これらの記事を既読にする機能をキャッチアップ機能と呼びます。
また、画像をキャプチャすることを「キャッチアップ」と呼ぶこともあります。
キャッチアップ機能を使いすぎると、ニュースリーダーを利用する意味がなくなる。
医療用語では「キャッチアップ現象」「キャッチアップ障害」に
医療用語で「キャッチアップ」が使われるケースのひとつは、キャッチアップ現象です。胎内で成長が遅れていた胎児が、その後急激に成長して問題なく出生にいたることをいうものです。
もうひとつはキャッチアップ障害というものです。排卵された卵子は卵管取り込まれる際に、「卵管采」が癒着などの原因によって機能しなくなることを指し、不妊症の原因のひとつです。
キャッチアップ現象には「追いつく」、キャッチアップ障害には「受け取る」という、「キャッチアップ」が持っている意味合いが含まれています。
「キャッチアップ」の類語・言い換え
「キャッチアップ」の類語は「追いつく」「追尾」「猛追」
「キャッチアップ」の類語としては、「追いつく・追いかける」という意味を持つ言葉が挙げられます。一般的には「追尾」「猛追」「追走」で言い換えることができますが、ビジネスシーンでの使い方であれば、なんらかの事柄を「把握する・理解する・わかるようにする」といった表現にも変えられます。
英語での類語は「overtake」「recover」
英語の「catch up」も、意味合いの違いによってそれぞれ異なる類語があります。「遅れを取り戻す」という意味では「overtake」「make up for lost time」などです。「取り戻す・回復する」という意味を持つ類語としては、「recover」「regain」「repair」「get back」などが挙げられます。
まとめ
「キャッチアップ」の意味や類語のほか、使い方や例文も紹介しました。「キャッチアップ」はさまざまな分野で広く使われていますが、意味合いはそれぞれ異なっているため注意が必要です。
しかしどの場合でも語源となっている「catch」が本来持っている「捕らえる」から派生した意味を示しています。基本が分ければ誤用を避けることができるので、きちんと押さえておかれることをおすすめします。