「刷新」の意味や読み方とは？類語との違いや使い方も紹介

「刷新」という言葉は、「経営陣の刷新」というようにビジネスの場でもよく使われています。ところで刷新された経営陣の旧メンバーは、全員残らず更迭されたのでしょうか？また「刷新」と「一新」は同じ意味なのでしょうか？この記事では、「刷新」の読み方と意味のほか、類語との違いや使い方についても紹介しています。

「刷新」の意味と読み方とは？

「刷新」の意味は、”物事や事態の良くない点を改めて新しいものにすること”です。「刷新」という熟語を構成している文字である「刷」は、ペンキを塗ったりホコリを払ったりするときに使う「刷毛（はけ）」にも使われていることから分かるように、「こする」のほかに「はらって清める」という意味があります。

「刷」＋「新」で、はらい清めて新しくするということを指し、これまでのよくない点を全て取り除き、新しく良いものにするという意味になります。

「刷新」の読み方は”さっしん”です。

「刷新」の意味は「悪いものを全て改めて新しくする」ですが、そのなかの「新しくする」という意味を持つ言葉として、「一新」や「更新」が挙げられます。

いずれも「新」という文字が含まれた熟語で、「一新」にはイチから新しくするという意味があり、「更新」には既存の古いものを新しくするという意味があります。

「改善」には、「刷新」が持っている「悪いものを改める」という意味があります。そのため、「刷新」の類語といってよい言葉です。

「改善」は欠陥や誤りを是正してよりよい状態にしていくことですが、カタカナ表記の「カイゼン」やローマ字表記の「KAIZEN」は、製造業の生産性向上などのための戦略的手法として、海外でも通用する言葉となっています。

「革新」や「改革」も、「刷新」の類語として挙げることができます。「革命」という言葉からも読み取れるように、「革」という文字には、「根本的にあらためる」という意味があるのです。

そのため「革新」は根本的に新しいものに改める、「改革」は悪いものを改めて根本的に新しくするという意味になり、質的・量的ともに変化が大きい場合に使われます。

「刷新」と、「刷新」の類語として挙げた言葉の違いと使い方について解説します。

「刷新」は単に新しくするだけでなく、「悪いもの全てを良くする」というところにポイントがあります。それに対して「一新」ではとにかく新しくすればよく、内容の良し悪しは問いません。

また、「更新」も「古いものを新しくする」だけで、内容をよくするという点については不問です。「刷新」「一新」「更新」の違いを例文で比較すると、以下のようになります。

「刷新」と「改善」はともに「悪いところを改める」という意味合いがありますが、「刷新」は悪いところ全てを一気に捨て去って新しく改めるときに用いられます。

一方「改善」は、必ずしも悪いところの全てを一気に改めるのではなく、長期的・継続的に改め続けるときに使われる傾向が強い言葉です。つまり「刷新」では改良が一気に完了しますが、「改善」では改良が少しずつ進んでいきます。

「刷新」で改める対象となっている悪いものは、新しいか古いかについては問われません。一方「革新」や「改革」における改める対象は古い制度や習慣などで、内容の良し悪しについては不問です。

古いものを入れ替えるという意味の「一新」や「更新」に比べると、「革新」や「改革」では質的・量的変化が急激であるところに違いがあります。

英語の例を挙げると、「リニューアル」が「一新」や「更新」にあたり、「イノベーション」が「革新」や「改革」にあたります。また、政治においての「革新」は、「保守」に対して用いられる言葉で、現行の政治体制の変更を推進する勢力のことを指しています。

「刷新」の読み方と意味のほか、類語との違いや使い方について紹介しました。「刷新」では悪いものだけが改められるため、「経営陣の刷新」において全員が更迭されるとは限りません。

しかし「経営陣の一新」では、全員が更迭されてしまいます。たった一字違いの「刷新」と「一新」ですが、内容には大きな違いがあるため使い分けには注意が必要です。