「画餅」の意味とは?由来の『三国志』や使い方の例文・類語も解説

「画餅」という言葉は、「画餅に帰す」「画餅に過ぎない」という言い方でよく使われます。また、「絵に描いた餅」という表現も耳にしますが、「画餅」と同じものと理解してよいのでしょうか。この記事では、「画餅」の意味と読み方をはじめ由来や類語について解説し、「画餅」を使った例文も紹介しています。

「画餅」とは?

「画餅」の意味は”絵に描いた餅のこと・役に立たないもの”

「画餅」の意味は、”絵に描いた餅のこと”です。読み方は「がべい・がへい」で、「画餅に帰す」や「画餅に終わる」が縮まった言葉です。

どんなに美味しそうな餅であっても、絵に描かれたものであれば食べることができないことから、実際にはなんの役に立たないものを例えて「画餅」といいます。

「画餅に帰す」とは”計画が実現せずに終わること”

「画餅」を使った慣用句に「画餅に帰す」「画餅に終わる」があります。これは計画が実現せずに終わってしまうことや、物事が現実に役立たなかったことを意味します。

「画餅」の由来とは?

「画餅」の由来は『三国志・魏書』の曹叡の言葉

「画餅」の由来は『三国志・魏書』に記された、曹叡(そうえい)が語ったとされる言葉です。曹叡とは三国時代の魏の第2代皇帝で、三国志にはこう書かれています。

「選挙するに名有るを取ること莫れ。名は地に画きて餅を作るが如く、啖うべからざるなり」

現代語に直すと「人を選び推挙するときは、評判だけに頼って選んではならない。名声は絵に描いた餅と同じで、食べることはできず役に立たない」となります。

曹叡が家臣に言った言葉から「画餅」が生まれた

曹叡は秦の始皇帝・漢の孝武帝を凌ぐと称されることもある皇帝で、後に「明帝」と称された人物です。

この曹叡が人員登用に際し、人物の名声に左右されてしまうことのないように家臣の諸葛誕を諌めたときの言葉である「名は地に画きて餅を作るが如く、啖うべからざるなり」の部分が、「画餅」の由来となりました。

「画餅」を使った例文とは?

「画餅となる」「画餅に帰す・終わる」は無駄骨のこと

「画餅」は「画餅に帰す・終わる」という形で用いられることがよくあります。先ほども紹介しましたが、これまでの努力が無駄になったり、計画倒れに終わってしまったりすること表したいときには、「画餅に帰す・終わる」の形で用います。

「画餅」を使った例文

「画餅」を使った例文をご紹介しましょう。

  • これまでの人的・財的投資は、本社の方針変更により全て画餅に帰してしまった。
  • 増税で消費が落ち込んでしまったため、インフレ率の達成は画餅に終わりそうだ。
  • 練りに練った企画だったが、主役が乗り気ではなく画餅となってしまった。

「画餅」の類語とは?

「絵に描いた餅」は画餅の同義語

「画餅」は絵に描いた餅という意味で、どんなに素晴らしく描かれていてもしょせん絵にすぎない餅を食べることはできないことから、実際に役に立たないもののことを指すようになった言葉です。

つまり「絵に描いた餅」は「画餅」の意味をそのまま言い表したことわざで、「画餅」の類語と言うより「画餅」に最も近い意味を持つ同義語といえます。

「絵空事」も類語だが、現実になる可能性もある

直訳すると餅の絵という意味になる「画餅」と似ている言葉として、「絵空事」が挙げられます。絵はいくらでも美化したり誇張したりすることができることから、実際にはありもしないものやことのことを指すようになった言葉です。

現実のものではないという意味で「絵空事」は「画餅」と似ており、「絵空事で終わった」と「画餅に帰す・終わる」は、同じ意味合いです。

しかし「絵空事」は、実際に役に立たないものと確定されたものではありません。SFアニメなどで描かれた未来社会は発表当時こそ「絵空事」でしたが、将来現実のものとなるかもしれないため、「絵空事では終わらない」こともあります。

役に立たないという意味の同義語は「机上の空論」

現実的な価値や意味を持たず役に立たないという、「画餅」と同じような意味を持った言葉としては、「机上の空論」があります。

現実を考慮せず机の上だけで考えられた議論や計画は現実の前にもろく崩れ去り、実際には役立たないということを表した言葉で、同じ意味合いを持つ類語としては、「紙上に兵を談ず」や「畳の上の水練」が挙げられます。

「紙上に兵を談ず」は現実に則さずただ紙の上だけで戦の作戦を立てることを指したことわざであり、「机上の空論」と同じ意味合いです。また「畳の上の水練」は、水泳の練習を畳の上で行うことを言っており、実際に役立たないことのたとえです。

「砂上の楼閣」も「画餅」の類語

「砂上の楼閣」は、砂の上に建つ高い建物のことです。いくら立派に見えても、砂の上の建造物は基礎がもろいため長く維持できるものは建てられないということを言い表しています。

はかなく役に立たないもののことや実現不可能なことのたとえとして使われる慣用句で、役に立たず実現できないもののたとえとして使われる言葉である「画餅」と同じ意味合いを持っています。

まとめ

「画餅」の意味と読み方および由来や類語のほか、「画餅」を使った例文も紹介しました。常識や固定観念に縛られていては、斬新なアイデアは浮かびません。しかし現実を考慮しないままでは、実際には役に立たない案や実現不可能な案ができあがってしまいます。現実に即しながら実現可能で目的達成に役立つアイデアを練り上げるためには、バランス感覚も必要です。