「月下氷人」の意味とは?由来と「月下老人」との違いや使い方も

「月下氷人」は、ビジネスの現場であまり聞かれない馴染みの薄い四字熟語ですが、ゲームサイトや結婚式場で見聞きすることもあるため、どのような意味があるのか分かりにくい言葉でもあります。この記事では、「月下氷人」の意味と由来や似た言葉である「月下老人」との違いや、使い方が分かる例文などを紹介しています。



「月下氷人」の意味とは?

「月下氷人」とは仲人を意味する言葉

「月下氷人」とは、仲人(なこうど)のことを意味する四字熟語で、「げっかひょうじん」と読みます。仲人は結婚の仲立ちをする人であり、かつては未婚の男女の見合いを段取りしたり、披露宴においては新郎新婦にそれぞれ付きそって介添えしたりしていました。

「仲人は親も同然」といわれるほどに、仲人は結婚において重要な役割をはたしていましたが、現在では仲人が仲立ちして出会いから挙式までお世話するケースはほとんどみられなくなりました。

媒酌人や介添人も「月下氷人」

仲人だけにとどまらず、媒酌人や介添人に対しても「月下氷人」と呼ぶことがあります。また単に男女の仲をとりもったり橋渡ししたりといった、キューピッドのような役割を演じる人のことを指すときにも、「月下氷人」を使うことができます。

仲人は本来、男女の出会いから結婚後までまとめて面倒を見ていました。しかしお見合いが減ってきた近年では、挙式のときのみ仲人役を依頼される媒酌人や、結婚式当日に花嫁のお世話役を務める介添人などのような、従来の仲人とは違う形の役割が歓迎されるようになっています。

「月下氷人」の由来とは?

「月下氷人」は「月下老人」と「氷上人」がひとつになってできた言葉です。そこで、「月下老人」と「氷上人」それぞれの由来ついて説明します。

「月下老人」の由来は『続幽怪録』

「月下老人」は『続幽怪録(ぞくげんかいろく)』に登場する人物のことです。唐の韋固(いこ)という人物が独身のとき宋城へ旅したとき、袋に寄り掛かって月光の下で書を読んでいる老人に出会いました。

袋から赤い紐が出ていることに気付いた韋固が老人に紐の使い道を尋ねたところ、「この紐で足をつなげば、どんな男女でも夫婦の縁で結ばれる」と答えたと記されています。

さらに老人は韋固の未来の妻を予言しましたが、14年後に韋固が結婚した女性は老人が予言した娘その人でした。これらのことから男女の縁を結ぶ人のことを、「月下老人」と呼ぶようになりました。

「氷上人」の由来は『晋書索紞伝』

「氷上人」の由来は、『晋書索紞伝(さくたんでん)』に登場する、晋(しん)代の中国にいたとされている策耽(さくたん)という名前の高名な占い師です。

ある日、「氷の上に立って氷の下の人と話をした」という夢を見た令狐策(れいこさく)という人物が策耽を訪ね、夢占いをしてもらいました。すると索は、「氷の上下は陰陽であるから、その夢はあなたが結婚の媒酌をすることの前兆だ」と言われたのです。

その翌日に令狐策は本当に大守の子息の仲人を頼まれた、というお話が『晋書索紞伝(さくたんでん)』で、そこから「氷上人」が仲人のことを指すようになったのです。

「月下氷人」と「月下老人」との違い

「月下氷人」は「月下老人」と「氷上人」の合成語

「月下氷人」という言葉そのものは、由来となった『続幽怪録』や『晋書索紞伝』には登場せず、中国で使われてもいません。日本で「月下老人」と「氷上人」が混同された、あるいは結びついたかによって「月下氷人」という言葉ができあがったようです。

「月下氷人」は「げっかひょうじん」と読みますが、「月下老人」と文字と音がよく似ており、仲人を意味するという点も同じであるため「月下老人」の異称と受け取られています。

「月下氷人」と「月下美人」につながりはない

「月下氷人」とよく似た言葉として、一字違いの「月下美人」があります。「月下美人」はメキシコや中南米を原産地とするサボテン科の植物で、初夏から秋にかけて白い大輪の花を咲かせます。

強い芳香を放ちながら夕暮れから夜にかけて咲き始めますが、朝にはしぼんでしまうという美しくもはかない花です。したがって文字や音は似ているものの、「月下美人」と「月下氷人」にはなんらつながりはありません。

「月下氷人」の使い方

「月下氷人」の使い方を例文で紹介します。

  • 取引先の受付嬢への橋渡しとして、顔が広い先輩に「月下氷人」役を依頼した。
  • クレームへの対応がきっかけで彼女と親しくなれたのだから、あのお客は自分にとって「月下氷人」だ。
  • 両親は「月下氷人」となってくださったご夫妻と、長年にわたり親子同然のお付き合いを続けている。

まとめ

「月下氷人」の意味と由来や似た言葉である「月下老人」などとの違いのほか、使い方が分かる例文を紹介しました。結婚事情の変化にともない、「月下氷人」が活躍する場面はかなり減っています。

しかしそのものズバリをあからさまに言い表すのではなく、別のものになぞらえる床しい表現として、「月下氷人」は覚えておきたい言葉の一つといえるものです。