「千差万別」の意味とは?類語や例文と十人十色との違いも紹介

「千差万別」という言葉は、グローバリズムやダイバーシティと同じような多様性を感じさせる四字熟語ですが、正確な意味や使い方については少しあいまいなままですませているかもしれません。この記事では、「千差万別」の意味をよく理解できるように類語や十人十色との違い、使い方の例文についても紹介しています。

「千差万別」の意味とは?

「千差万別」の意味は違った種類のものが数多くあること

「千差万別」は「せんさばんべつ」と読みます。「せんさまんべつ」とも読みますが、あまり一般的ではありません。

「千差万別」の意味を文字通りに取れば、「千の異差と万の種別」ということになりますが、「千」と「万」はいずれもここでは具体的な数字を表していません。「千」は数が多いこと、「万」は数が非常に多いことを指しています。

つまり、「千差万別」は差や違いがそれぞれ無数にあり、異なるさまざまなものが数多く存在しているということを指す言葉です。なお「千差万別」は、人を含む生き物や物事・出来事など、あらゆる事象に見られる性質や機能のようなものを対象としています。

「千差万別」の出典とは?

「千差万別」の出典は『景徳伝灯録』

『景徳伝灯録(けいとくでんとうろく)』は全30巻におよぶ禅宗の歴史書で、中国・北宋の時代に道原によって編纂されました。このなかに「問う、至理無言なり、如何にして信を通ぜん、と。師曰く、千差万別なり、と」という一文があり「千差万別」が登場しています。

「理(ことわり)の絶対の境地に至ったなら、是非の言をいれる余地などありませんが、どうすればその境地に通じることができるのですかと師に問うたところ、師はいろいろだと応えられました」という意味です。

つまり、悟りに至る道は一つではなく人によりけりでいくらでもあるということで、安易に教えを乞い性急に見つけ出そうとするのではなく、人生そのものがその道であるという禅宗の深遠な教えのようです。

「千差万別」の類語とは?

「千差万別」の類語は「千姿万態」など

「千差万別」は、人を含む生き物や物事・出来事に見られる性質や機能などの違いに対して用います。その意味での類語としては、

  • 千姿万態(せんしばんたい)
  • 千態万状(せんたいばんじょう)
  • 千種万様(せんしゅばんよう)

などが挙げられます。いずれも「千差万別」と同様に「千◯万◯」の形を取っており、数え切れないほどたくさんの姿や種類、様子、状態のことを表す四字熟語です。「昆虫の生態は文字通り千姿万態で、興味は付きない」というように使います。

「千差万別」の類語は「多種多様」なども

「千差万別」の類語には、「多種多様(たしゅたよう)」や「種々雑多(しゅしゅざった)」なども挙げることができます。

「多種多様」は種類や状態などがさまざまであること、「種々雑多」はいろいろなものがたくさん入り交じっている様子を指す四字熟語で、いずれも「千差万別」と同様の意味合いがある言葉です。

「多種多様な製品を製造するため、部品の管理は厳重に行われている」「老文学者は種々雑多の書物に埋もれながら、研究を心から楽しんでいるようだ」というような使い方をします。

「十人十色」の対象は「人」限定

「千差万別」は人を含む生き物や物事・出来事に対して用いることができる言葉です。「十人十色(じゅうにんといろ)」も差や違いがそれぞれにあることをいっている四字熟語ですが、考えや好み、性質などは人によって違うことを指しています。

つまり、人や人に付随するもの以外に対して「十人十色」を使うことはできないという点が、「千差万別」と異なります。「三者三様」「百人百様」も「十人十色」と同様に、人はそれぞれに違いがあるという意味であり、人以外の生き物や物事・出来事に対して使うことはできません。

「千差万別」の使い方・例文


「千差万別」を使った例文を紹介します。

  1. 人類がたどってきた歴史は国ごとにさまざまであるため、その性質は千差万別といえる。
  2. 生物学的な性別によらないジェンダーは千差万別で、LGBTに収まらないケースもある。
  3. 消費者の好みは千差万別だから、売れ筋以外の商品も完全に撤去するわけにはいかない。
  4. 同じ言葉を聞いても、人によって想起されるものは千差万別となることを理解しておく必要がある。
  5. 地球上の気象は地域によって千差万別で、その違いは民族衣装にも現れている。

「千差万別」では人や人に付随しているもの以外も対象となりますが、「三人三様」は違います。そのため上記の例文のなかで、5については「三人三様」で置き換えることができません。

まとめ

「千差万別」の意味のほか、類語や例文と十人十色との違いについて紹介しました。ほぼ単一民族で構成されている日本では「みんな同じ」と決めつけがちで、少しの違いに目くじらを立ててしまう傾向があります。

「みんな違ってみんないい」という言葉がありますが、同じものばかりがそろっているより「千差万別」な状態のほうが、小さな違いにとらわれることなく、大らかな態度で対処できるようになるかもしれません。