「往々にして」の意味や語源とは?「しばしば」との違いや例文も

「往々にして」は、職場や日常生活の中でよく見聞きする言葉です。「よくあること」といった意味合いで用いられていますが、中には適切でない使い方をしている事例もあります。今回は「往々にして」の意味と語源、例文のほか、類語「しばしば」との違いや対義語も紹介します。

「往々にして」の意味とは?

「往々にして」の意味は「よくあること」

「往々にして」の読み方は「おうおうにして」です。「往往にして」と書くこともある言葉で、意味は「よくあること」です。

ものごとが起こる頻度のとらえ方は人によって幅があるため、「往々にして」が指す頻度も「ときどきある」から「ひんぱんにある」まで違いが出てきます。

「往々にして」のもう一つの意味は「そうなりがち」なこと

「往々にして」のもう一つの意味は、そのようになりがちであるというような、傾向性のことです。

この場合もよくあることという意味になりますが、たびたび起きるといった「頻度」ではなく、いつもながらお決まりの結末に至るといった「流れ」に重点がおかれた用法といえます。

「往々にして」の語源は「往く」の重なり

「往々にして」の「往」という文字は「往く(いく)」とも読み、「前に進む・先に向かう」という意味があります。

「往時」が以前・昔のことを表していることを、「往路」が目的地に向かう道のことを意味していることからも分かるように、「往」という文字は時間・場所の両方において用いられ、時間が進むことやどこかへ向かうことを指し示す文字です。

したがって「往々にして」の語源は「往」の文字が重なったことにあり、時間の流れとその地点つまり頻度や、流れが重なり一定の方向に向かう傾向にあるという意味を持つようになりました。

「往々にして」の使い方と例文

「往々にして」はネガティブな出来事に対して使う

「往々にして」という言葉は、喜ばしいことが重なった場合に「往々にして」と表現することには、違和感を持たれる傾向があります。

例えば、「人間は往々にして自らの過ちを否定するものだ」といったように、「よくあること」「そうなりがち」の説明として、失敗や問題などの悪い出来事を指すことが多いです。

「往々にして」を使った例文

  • 忙しいときにメールの返信をすると、往々にして変換ミスに気づかないものだ。
  • 通勤時間帯の路線バスは、往々にして時間どおりに到着しないものだ。
  • 彼は頭に血が上ると、往々にして言ってはいけないことを言ってしまう。

「往々にして」の類語

「よくあること」の意味の類語は「しばしば」

「よくあること」「頻度が高い」という意味で「往々にして」の類語として使うことができる言葉は、「しばしば」です。他に「たびたび」「ひんぱんに」も言い替えとして使うことができます。

「往々にして」と「しばしば」の違いは「使える場面」

「往々にして」は良い事柄については使いませんが、「しばしば」などは事柄の良し悪しにかかわらず使うことができます。

たとえば「彼女はしばしば人から信用される」「彼女はしばしば人から疑われる」はともに正解ですが、「彼女は往々にして人から信用される」は誤りです。

「そうなりがち」の意味の類語は「得てして」

「そうなりがち」「そういう傾向がある」という意味における「往々にして」の類語は、「得てして」です。同じ意味合いで「ややもすると」を使うこともできます。

「往々にして」と同様に、「得てして」「ややもすると」はネガティブな事柄について述べるときに用いられ、「欲張ると得てして損をする」「慎重すぎてややもすると機会を逃す」というように遣います。

「往々にして」の対義語

「まれに」はめったにないこと

「まれに」は「往々にして」と反対の意味を持つ言葉として挙げられ、めったに起こらないようなことやこれまでなかったようなことについて言及するときに使う言葉です。

よくあることやそうなりがちなことを表す「往々にして」の対義語として、「まれに」を使うことができます。

「たまに」はあまり起こらないこと

「たまに」は、ある程度の長い期間をあけて思い出したように起きる場合に用いる言葉です。どのくらいの期間を「たまに」というかについては、人によって幅があります。

たとえば「たまに風邪をひく」といった場合、シーズンに1度のことか、数年に1度のことかを決めることができないように、「たまに」を具体的な数値で表すことは困難です。

まとめ

「往々にして」の意味と語源をはじめ、例文や類語・対義語も紹介しました。人間は往々にして失敗してしまうものですが、それを自覚しておけばミスを未然に防ぐ手立てを考えるようになります。また、失敗に激しく落ち込んでしまうことも少なくなるでしょう。

「往々にして」を、傾向をつかむきっかけとしてのキーワードとして利用してみることもおすすめです。