「ネットリテラシー」は最近よく聞かれるようになった言葉です。また、ネットリテラシーが低いことによる事件やトラブルが発生し、会社や教育現場でも対策がとられて始めています。ここからは、「ネットリテラシー」の意味と使い方をはじめ、ネットリテラシーの低い人の特徴や教育法についても解説します。
「ネットリテラシー」とは?
「ネットリテラシー」の意味は”インターネットに関する知識・能力”
「ネットリテラシー」の意味は、“インターネットを使用するために必要な知識や能力”です。インターネットリテラシーを短縮した言葉です。
リテラシー(literacy)を直訳すると「読解力・記述力」となり、読み書きする能力のことを指していますが、日本語では「特定分野における認識力」という意味合いで使われています。
したがって「ネットリテラシー」とは、インターネットの利用時に情報や事象を正しく理解し、適切に判断・運用を行う能力のことです。
「ネットリテラシー」は知識・能力で「ネチケット」はマナー
以前よく聞かれた「ネチケット」は、ネットとエチケットをつなげた合成語で、ネットマナーともいわれていたものです。
インターネットを利用するうえで当然守るべき一般常識のことですが、ガラケーが大半だった頃は、メールに半角カナや機種依存文字を使わないことや、重すぎるファイルを添付しない、チェーンメールを送らないといった簡単なことがほとんどでした。
しかし多機能のスマートフォンが普及したことや、違法・有害コンテンツが増えたことなどにより、単なるエチケットやマナーでは対応できなくなり、インターネットを適切に活用する能力=「ネットリテラシー」を意識的に習得する必要が生じたのです。
「ネットリテラシー」の使い方と例文とは?
「ネットリテラシーを持つ」や「ネットリテラシーが高い」などと使われる
「ネットリテラシー」は、「ネットリテラシーが高い・低い」「ネットリテラシーがある・ない」「ネットリテラシーを持つ」などの形でよく用いられます。
「ネットリテラシー」を使った例文
「ネットリテラシー」を使った例文をご紹介しましょう。
- ネットスキルが高い人であればネットリテラシーも高いとは、必ずしもいえない。
- 学生のネットリテラシーを向上させるために、高校や大学で特別講座が設けられ始めている
- ネットリテラシーが欠如した社員は情報漏えいのリスクとなるため、注意が必要だ。
「ネットリテラシー」が低い人とは?
ネットリテラシーが低い人は情報を鵜呑みにする
ネットリテラシーが低い人の特徴は、情報を鵜呑みにしてしまうことです。インターネットで流れている情報は、正しいものばかりとは限りません。嘘やでたらめ、誤報なども多いため、情報の真偽や正誤を判断する能力が必要です。
ところがネットリテラシーが低い人は、情報を鵜呑みにしてしまうだけでなく、よく分からないままSNSで拡散してしまうことさえあります。
ネットリテラシーが低い人はセキュリティが甘い
ネットリテラシーが低い人は、セキュリティが甘いという傾向がみられます。社内にパスワードを付箋に書いてPCに貼っているような人はいませんか?
そこまでひどくなくても、誕生日や名前などのような分かりやすい数字や文字列をパスワードに設定している人は結構います。
また、無料のコンテンツや広告などをクリックして個人情報を入力したり、守秘義務のある情報を気軽に公開してしまうようなこともあるのです。
ネットリテラシーが低い人はプライバシーに無頓着
ネットリテラシーが低い人は、プライバシーに無頓着です。顔がはっきり分かる写真や位置情報が含まれた画像のほか、個人を特定できる情報などがネット上でよくみられます。
特にSNSでその傾向が強く、自他を問わずプライバシーは守らなければならないものであるという認識に欠けた人がたくさんいるようです。
プライバシーと同様に著作権にも注意が必要です。グレーソーンが広いため判断が難しいものですが、著作権を侵害してしまうと裁判沙汰になってしまうかもしれません。
「ネットリテラシー」が低い人の教育法とは?
ネットの危険性を教えることが教育の第一歩
ネットリテラシーが低い人の多くは、特に悪気はなく無頓着に危険な行動ととっています。したがって、自分がしていることがどれほど危険なことであるかを自覚させなければなりません。
つまり、ネット上には嘘の情報があふれていることや、セキュリティーやプライバシーに注意を払わずにいると犯罪につながりかねないということを、具体事例を挙げながら教えることが必要です。
総務省のリテラシー指標を教育に活用
ネットリテラシーの教育には、総務省が定めたリテラシー指標ILAS(アイラス・Internet Literacy Assessment indicator for Students)を活用すると便利です。
ILASは、総務省が青少年のネットリテラシーを実態調査した結果概要を取りまとめたもので、違法有害情報リスク・不適正利用リスク・プライバシー・セキュリティリスクなどへの対処に必要な能力が、具体的に挙げられています。
また、ネットリテラシーを診断するツールがweb上で公開されています。選択式でクイズに答えたり項目をチェックしたりしながら、ネットリテラシーのレベルや今後気をつけるべきことなどが理解できるので、活用してみられてはいかがでしょうか。
まとめ
「ネットリテラシー」の意味と使い方のほか、ネットリテラシーが低い人の特徴と教育法も紹介しました。いつでもどこでも気軽にインターネットを楽しめるようになり、SNSの利用者も爆発的に増えています。
情報を受け取るだけでなく、誰でも簡単に発信することもできる便利な世の中になりましたが、あっという間に何万人もの人に情報が伝わることの影響力を理解して、慎重に利用することも必要でしょう。