パスツールとは?ワクチン開発の功績・自然発生説との関係も紹介

「ルイ・パスツール」は、19世紀に微生物の研究で大きな功績を遺した学者のひとりです。微生物研究を病気予防の「ワクチン」開発につなげるとともに、狂犬病ワクチンの開発にも尽力したことで知られています。また、「低温殺菌法」の開発も「パスツール」によるものです。「パスツール」の生涯とともに、彼の遺した偉大な業績について紹介します。



「ルイ・パスツール」とは

ルイ・パスツールとはどのような人物なのでしょう。まずは、その概要を簡単に紹介します。

「パスツール」はフランスの生化学者で細菌学者

ルイ・パスツール(Louis Pasteur、1822年~1895年)は、フランス出身の生化学者であり、細菌学者(微生物学者)です。

彼を指導した教授のひとりは、「化学者としては平凡だ」と評価したと言われていますが、化学をはじめ、生物学・微生物学(細菌学)・医学の分野で、パスツールは次々と注目すべき功績を残しています。特に、「ワインの腐敗原因を調べてほしい」という依頼を業者から受けたことが、パスツールの微生物学研究への大きな転機だといわれています。

パスツールは「近代細菌学の祖」と呼ばれる

パスツールは、同時代のドイツ人医師「ロベルト・コッホ(1843年~1910年)」とともに、「近代細菌学の祖」と呼ばれています。ワインなどの腐敗を防ぐ「低温殺菌法」をはじめ、「ワクチン」による予防接種を発表するなど、微生物学における研究成果を医学の分野まで広げたのがパスツールの功績でも特筆すべき点です。

また、パスツールは、微生物学での最高栄誉である「レーウェンフック・メダル」を1895年に受賞しています。

「ルイ・パスツール」の業績

ルイ・パスツールは具体的には何を成した人なのでしょう。その業績を紹介します。

パスツールは「光学異性体」を発見

パスツールの功績は、化学者としてのそれから始まります。彼は、1848年「光学異性体」と呼ばれる現象を発見します。これにより、彼は「酒石酸」の性質を解明し、博士論文にすることで、教授の座を獲得しました。

独自のフラスコで「自然発生説」を否定

「自然発生説」とは、読んで字のごとく、「生物の自然発生を認める説」のことです。この「自然発生説」は、古くは支持されていましたが、パスツールは、1861年に「自然発生説」を否定することに成功しています。

パスツールは、「生物が自然発生しない」ということを証明するために、一切のほこりも入らないよう工夫した「白鳥の首のフラスコ」を使い、中の肉汁が腐敗しないことを突き止めます。つまり、「肉汁を腐敗させた微生物は外から侵入したものである」ということを証明し、「自然発生説」を否定したのです。

このパスツールによる「自然発生説否定」の実験に使われた「白鳥の首のフラスコ」は、「パスツール瓶」とも呼ばれています。

パスツールは「低温殺菌法」を開発した

ある時パスツールは、「ワインの腐敗理由を調べてほしい」という依頼を製造業者から受けます。これがきっかけで、彼は、アルコール発酵が酵母によるものであることを確認し、そこから、1866年、腐敗を防ぐための「低温殺菌法」を開発します。

「低温殺菌法」は、60度程度の低温で液体を数十分間加熱し、微生物を殺菌する方法で、現代にいたっても広く活用されている方法です。本来の風味を損なわず、かつアルコール分を飛ばさずに行えますが、一方で微生物を完全に死滅させることはできません。なお、「低温殺菌法」の英語訳「パスチャライゼーション( pasteurization)」は、パスツールの名に由来しています。

微生物研究を医学にも応用、ワクチンの開発に

「微生物が発酵や腐敗を引き起こす」という理論から、パスツールは、「微生物が病気の原因にもなる」という発想に至ります。そこから、彼は伝染病へと関心を映し、家畜の炭疽病や鶏のコレラの原因となる細菌を弱毒化し、動物に摂取することが免疫の獲得につながるという発見をします(1877年)。いわゆる「ワクチンの開発」です。この技術を用いて、1881年には炭疽菌を用いた大規模実験により、ワクチン開発に成功しています。

なお、炭疽菌を発見したのはドイツの医師「ロベルト・コッホ」ですが、「予防接種(ワクチン)」という概念を確立し、感染症に対抗する技術を生み出したのがパスツールです。

「パスツール」は狂犬病ワクチンでも有名

その後、狂犬病のワクチン開発に成功したことも、パスツールの大きな功績のひとつです。

犬への実験ではその予防に数多くの成功例を得たにもかかわらず、パスツールは、狂犬病ワクチンの人への使用に当初慎重だったとされています。ところが、自らを頼ってやってきた少年への接種をきっかけに、人での成功例が生まれ、外国からも狂犬病ワクチンを求めて多くの人が詰めかけることになります。

列をなす患者のために専用の施設が必要となり、そこで作られたのが現在の「パスツール研究所」です。「パスツール研究所」は、今なお感染症研究や教育プログラムに取り組む機関として活躍しています。

まとめ

ルイ・パスツールは研究の途中で脳卒中に倒れ、左半身不随となっていますが、彼の功績の多くは病に倒れた後に発表されています。細菌の働きに注目した殺菌法「低温殺菌法」の開発や、病原体を弱毒化して接種する「ワクチン」を開発するなど、パスツールの功績は現代の私たちにも身近に感じることができるでしょう。