「ジョン・スタインベック」とは?『怒りの葡萄』や代表作を紹介

アメリカの小説家・劇作家である「ジョン・スタインベック」は、数々の代表作を持ち、ノーベル文学賞やピューリッツァー賞など様々な賞を受賞しています。『怒りの葡萄』をはじめ『エデンの東』や『二十日鼠と人間(ハツカネズミと人間)』などの代表作をはじめ、彼の生涯についても紹介します。



「ジョン・スタインベック」とは?

「ジョン・スタインベック」は何を成した人なのでしょう。まずは、簡単に紹介します。

ジョン・スタインベックは「アメリカ文学の巨人」と呼ばれる

「ジョン・スタインベック(John Ernst Steinbeck)」(1902年~1968年)は、アメリカの小説家であり、劇作家です。代表作には、ピューリッツァー賞を受賞した『怒りの葡萄』をはじめ、映画化された『エデンの東』などが挙げられ、他にも多数の小説や戯曲を遺しています。

1962年には、その功績が称えられノーベル文学賞を受賞しているほか、「アメリカ文学の巨人」とも呼ばれています。

「ジョン・スタインベック」の生涯

ノーベル賞作家の「ジョン・スタインベック」はどのような生涯を歩んだのでしょう。

文学好きの少年で様々な職業経験を持つ

ジョン・スタインベックは、1902年、カリフォルニア州で生まれます。幼い頃から読書が好きで、『罪と罰』などをも読む文学少年だったようです。工場勤務を経て、スタンフォード大学英文学部に入学したスタインベックですが、大学を休学し、再度牧場や砂糖工場などで働き、結局、学位を取らずに中退しています。

中退後も、スタインベックは、作家として大成する前に、様々な職業を経験しています。先述した砂糖工場以外でも、山小屋やマスの孵化場、友人とのマネキン作りなど、多彩な経験が彼の執筆に生かされたようです。

また、1930年には、その後の人生における指導者と仰ぐ海洋生物学者のエド・リケッツと出会います。生物学や哲学など幅広い知識を持つリケッツに、スタインベックは強く惹きつけられました。

ジョン・スタインベックは生涯で27冊出版、ノーベル文学賞も受賞

スタインベックの著書は、生涯で27冊に上ります。その内訳は、小説が16冊、ノンフィクションが6冊、短編集が2冊となっています。

彼の作家としてのデビュー作は、大学を退学したその四年後である1929年の『黄金の杯』でしたが、注目を集めるようになったのは『二十日鼠と人間(ハツカネズミと人間)』や『長い谷間』を発表した1937~1938年ごろだったようです。

さらに、1939年に発表した『怒りの葡萄』ではピューリッツァー賞と全米図書賞を受賞しています。その後も、意欲的に作品を執筆し続けたスタインベックは、優れたユーモアや鋭い社会観察・想像力などを評価され、ノーベル文学賞を受賞しました(1962年)。

晩年は評価に恵まれず、66歳でこの世を去る

ノーベル文学賞以前にも、独裁国への市民の反発を描いた『月は沈みぬ』(1942年)ではノルウェー国王から勲章を授けられたり、アメリカ空軍の依頼に応じて執筆したりと、スタインベックは多方面から評価を受けていました。しかし、晩年ともなるとその評価は良い物ばかりとも限らず、(評価には)さほど恵まれてもいなかった、とも言われています。そして、1968年にはニューヨークで、心臓発作によって66歳で亡くなっています。

「ジョン・スタインベック」の代表作

「ジョン・スタインベック」の代表作をいくつか紹介します。

『ハツカネズミと人間』”Of Mice and Men”(1937年)

『ハツカネズミと人間(二十日鼠と人間)』は、世界恐慌を懸命に生き抜こうとする人々の物語です。出稼ぎ労働者であるレニーとジョージをはじめ、個性豊かなキャラクターたちの夢と実情を織り交ぜた悲劇が描かれています。スタインベック自身の季節労働者としての経験を基にした作品です。

『怒りの葡萄』”The Grapes of Wrath”(1939年)

ピューリッツァー賞や全米図書賞を受賞した『怒りの葡萄』は、スタインベックの著作の中でも代表的な一冊です。1930年代の農民を取り巻く社会問題を題材とし、砂嵐(ダストボウル)と機械化農業などで土地を奪われた農民が、仕事を求めてカリフォルニアを目指す姿が描かれています。逆境に耐え、生き抜こうとする人々の悲惨で哀愁漂う姿が特徴的です。

『怒りと葡萄』は映画化されたことでも有名で、スタインベックの名を不動のものにした作品と称されています。

『エデンの東』”East of Eden”(1952年)

『エデンの東』は、旧約聖書の創成期におけるカインの「エデンの東への逃亡」を題材とし、カリフォルニアの2つの移民家族の歴史をえがいた作品です。父の愛を求める息子の葛藤・反発・和解が描かれています。1955年には、ジェームズ・ディーン主演で映画化され、大ヒットを記録しました。

『チャーリーとの旅』”Travels with Charley”(1962年)

『チャーリーとの旅』は、スタインベックと愛犬チャーリーのアメリカ一周の旅を描いたものです。彼が見たアメリカの姿が描かれているだけでなく、スタインベックの考え方や生き様にも触れることができると評価が高い一冊です。

短編小説で有名なのは「朝食」

スタインベックは短編集も発表していますが、その短編小説の中でも人気が高いのが「朝食(Breakfast)」です。

わずか数ページと、短編というにも短い小説ですが、スタインベックの持ち味である情景描写の素晴らしさが堪能できる作品とされています。日本語訳では、『スタインベック短編集』(大久保康雄訳、新潮文庫、1954年)などに収録されています。

まとめ

スタインベックは、「アメリカ文学の巨人」とも呼ばれる作家で、ノーベル文学賞も受賞しています。世界恐慌の時代を題材としたものも多く、人々の悲哀や過酷な時代を生き抜く姿など、その優れた情景描写は高い評価を受けています。映像化されたことで有名な作品もありますので、ぜひ一度手に取ってみてはいかがでしょうか。