「事象」の意味や類語とは?「現象」との違いや使い方も解説

「事象」は簡単な漢字で構成されていて、何となく意味もつかめる熟語です。しかし、日常的な生活や会話ではあまり使われない言葉で、数学における確率や統計でよく用いられています。この記事では「事象」の意味や類語のほか、「現象」との違いと使い方・例文などを紹介しています。

「事象」の意味とは?

「事象」の意味は”ものごとや現象のこと”

「事象」の意味は、“さまざまなものごとや現象のこと”です。読み方は「じしょう」です。熟語に使われている「事」という文字は「ものごと」「ことがら」「できごと」という意味を指し、「象」には「かたち」「ようす」という意味があります。

「事」と「象」が合わさって「ものごとの様子」となり、具体的にはある場所や時刻において発生する出来事や事件などのような客観的事実のことを指します。

「事象」の数学的な意味は”試行の結果”

「事象」は、数学においても用いられている言葉です。たとえば確率で、サイコロを投げたときのどの目が出るかというような、一定の条件下で繰り返し“試行したときに現れる結果のこと”を指します。

その他にも集合におけるベン図で示される区分や、統計学で取り扱う標本のことなども「事象」と呼んでいます。

「事象」の類語とは?

「事象」の類語は”出来事”

「事象」の類語として挙げることができる言葉は、「出来事」です。事故や事件だけでなく、身の回りに起きた一般的なものごとに対して用いられ、さまざまなものごとや現象のことを表す「事象」と同様に使うことができます。

「出来事」と「事象」の違いは、「出来事」は日常的で身近なものに対して使われますが、「事象」は学術的なことがらに対して使われるという点にあります。

「イベント」は催し物という意味

使用できるシーンは限定されますが、「イベント」も「事象」の類語のひとつです。「イベント」はものごとや現象のことを表す言葉ですが、コンサートやお祭りのほか試合・競技などのような行事が対象となっています。

したがって、「イベント」は一般的に環境や条件によって発生したものではなく、人為的に作り出されたものに対して用いられる言葉で、「事象」に比べると使用できる対象となる出来事は限定的です。

「問題」は”事象”が引き起こすもの

「問題」には「問い」「課題」「厄介な事柄」「話題」などの意味がありますが、ものごとや現象という意味合いであれば、「事象」の類語として用いることができます。

客観的なものごとである「事象」が引き起こした「事象」が当事者にとって不都合なものである場合に、「厄介な事柄」という意味の「問題」となります。

「事柄」とは”ものごと”のことや様子

「事柄(ことがら)」も「事象」の類語です。「事柄」はものごとそのものや、ものごとの様子・内容のことを指しているため、「事象」と同じ意味を持っています。

なお「事柄」には「骨柄(こつがら)」が転じた、人体の骨組みや人柄という意味もあります。

「事項」はものごとの詳細のこと

「事項(じこう)」は、ものごとを構成しているひとつひとつの事柄のことです。熟語に使われている「項」という漢字には、ものごとを細かく分類したものという意味があり、数学での数式や数列を組み立てる各々の要素のことも指しています。

つまり、「事項」の対象となっているのは、ものごとそのものではなくものごとを組み立てているそれぞれの内容についての詳細です。

「事象」と「現象」との違いとは?

「現象」と「事象」の違いは具体性

「現象」は「事象」の類語としてよく使われる言葉ですが、熟語として「象」の頭につく漢字に違いがあります。

「現」の意味は、「出現」という熟語からも分かるように「あらわれる」ことで、人間が見たり聞いたりといった五感で感じ取ることができる具体的なものです。

一方「事」は、「ことがら」「できごと」のことを指しています。つまり「現象」のほうが「事象」より具体性が高く、体感として認識できるものに対して用いられる言葉です。

「事象」の使い方とは?

「事象」を使った例文

「事象」の使い方が分かる例文を紹介します。

  • サイコロの振り方を変えたところで、計算で求められた事象が変わることはない。
  • 事象は客観的なできごとに過ぎないため、大きな問題ととらえるかどうかは人によりけりだ。
  • より精密な計測器具を用いた観測によって得られた事象によって、新たな研究課題が見つかった。
  • どのように事象を解釈するかによって、その後の考察が大きく違ってくるものだ。

まとめ

「事象」の意味や類語のほか、「現象」との違いや熟語を使った例文などについて紹介しました。簡単な漢字で構成されている「事象」ですが、日常生活であまり使われていないこともあり、明確な意味が分からないままになっているかもしれません。

けれども、意思の疎通や思考の共有を目的として言葉を使うのであれば、できるだけ分かりやすい用語を選ぶことが大切です。この機会に、「事象」の意味や類語を再確認してみてはいかがでしょうか。