「自己憐憫」の意味や心理状態とは?類語や依存心との関係も解説

「自己憐憫」という言葉は、自分で書くことは少ないものの見聞きする機会はよくありますが、字面からは明るいイメージが思い描けない言葉でもあります。この記事では、「自己憐憫」の意味や類語のような国語的な解説に加え、「自己憐憫」の心理状態や依存心との関係のような、メンタル的な面についても述べています。



「自己憐憫」の意味とは?

「自己憐憫」は自分を憐れむこと

「自己憐憫」は「じこれんびん」と読み、自分自身のことを憐れんだりかわいそうだと思ったりことを表す言葉です。

本来「憐憫」の感情は、人の悲しみや不幸に対して同じように悲しみあわれに思うというように、他人に対して抱くものです。

そのため「憐憫」の感情を自分自身に対して持つ場合には、頭に「自己」をつけて「自己憐憫」とすることで通常の「憐憫」と区別しています。

「憐憫」の構成文字はいずれも「あわれむ」という意味

「憐憫」を構成している文字のひとつである「憐」は、「あわれむ・気の毒に思う・いとおしく思う」といった意味です。

もうひとつの「憫」という文字にも、「かわいそうに思う、あわれむ、心配する」といった意味があり、ふたつが合わさった「憐憫」は、憐れに感じ気の毒だと思うことを強調して表す熟語となっています。

「自己憐憫」の類語

「自己否定」とは自分を肯定しないこと

「自己憐憫」の類語として、「自己否定」を挙げることができます。「自己否定」は本来、新たな自己の発展のためにこれまでの自分のあり方を否定するものです。

しかし、否定にとどまって自分を認めないままの状態が続くと、精神状態が不安定になります。新たな自分の構築に進まない状態の「自己否定」は、不幸な自分を見つめて悲しんでいるだけの「自己憐憫」に近いものです。

「自己卑下」は自分を卑しめること

「自己卑下」とは、自分を卑しめることです。自分自身のよさではなく劣ったところに注目して、自分はつまらない人間だと考えることで、必要以上にへりくだった言動を取りがちです。

「自己卑下」的な考えを持つと、新しいことに挑戦するような積極性がなくなったり、保護を求めて弱い自分をアピールしたりするようになり、「自己憐憫」と似た心理状態になります。

「自己嫌悪」とは自分を強く嫌うこと

「自己嫌悪(じこけんお)」は、自分自身に対して強い不快感を持つことです。「悪」という文字には憎むという意味があるため、「嫌悪」は強い不快感をともなって強く嫌うことを指します。

「自己嫌悪」を埋めるために自分を向上させられたらよいのですが、うまくいかない場合には他人の承認を過度に求めてしまうようになるケースもあり、「自己憐憫」と似た言動として表面化することもあります。

「自己憐憫」の心理状態

「自己憐憫」はナルシストに近い心理状態

「自己憐憫」におちいっている時には、他人の不幸に気付きません。自分の不幸はほかの人とは程度が違っていて、自分ほど不幸な人間はいないというような、一種の「自分は特別」といった心理状態になっているのです。

「自分は特別」という感情は、ナルシストが自分自身に対して抱きがちなものです。つまり、自分が誰よりも「不幸だ」と思うか「素敵だ」と思うかという感情の内容は違っていますが、「自己憐憫」は「ナルシスト」に近い心理状態なのです。

「自己憐憫」は被害者意識の産物

「自己憐憫」は、自分がかわいそうだと思う気持ちです。自分がかわいそうな状態になった原因は、必ずしも他人や環境のせいではありません。

しかし、自分がかわいそうな状態のままでいる理由は、他人が助けてくれなかったり、社会が悪かったりしたためで、自分は被害者であると受け止める傾向が強いようです。

つまり、被害者意識が強いために「自己憐憫」を感じるようになり、被害者意識の強さゆえ自分がいっそうあわれに感じられてさらに「自己憐憫」の思いがつのっていくという悪循環が、延々と続くのです。

「自己憐憫」は自己防衛の表れ

「自己憐憫」は、自己防衛の表れでもあるのです。さきに解説した「被害者意識」と関連しますが、「自己憐憫」は悪いのは自分以外の他人や環境で、自分は悪くないという自己防衛的な感情であるともいえます。

つまり、自分の不幸は自分の責任ではないのだから自分の力で修復する必要はないという考えに結びつくため、誰かの援助や同情を期待するようになりがちです。

「自己憐憫」と依存心との関係

依存心が「自己憐憫」を生む

「自己憐憫」はあわれむべき不幸な状態にある自分を把握している状態ですが、自分への同情心が強すぎるゆえに、自分の身に起きたことの責任を自分以外のものにもとめることになります。

かわいそうな自分は悪くない、自分の不幸は他人や環境のせいという考えは、自分の幸・不幸を自分以外のものに依存していることにほかなりません。

依存心が強いと「自己憐憫」が強くなる

依存心が強いと、自分に他人が何かをしてくれることを当然だと考えるようになります。してもらって当然と思っていれば、感謝などするはずはありません。

それだけでなく、自分が期待したほどにしてもらえなければ、かわいそうな自分に対して冷たいと相手を責めたり、不満を抱いたりすることになります。

まとめ

「自己憐憫」の意味と類語のほか、心理状態や依存心との関係も解説しました。「自己憐憫」からは、建設的な思考や積極的な行動というような前向きさは感じられません。

「自己憐憫」にとらわれてしまうことは誰にでもありますが、誰にでもあるということと、「自己憐憫」のマイナス面を知っておく必要があります。

そうすれば、いつまでも「自己憐憫」にとらわれたままではなく、適切な時期に自分をノーマルな状態に立て直すことができるでしょう。