「ボトムアップ」の意味は?使い方や「トップダウン」との違いも

「ボトムアップ」は職場でよく聞かれる言葉ですが、活用されるシーンによって意味が違うため、使い方には注意が必要です。また、対比されることが多い「トップダウン」とはどのような違いがあるのでしょうか。この記事では「ボトムアップ」の意味と、シーン別の具体的な内容や「トップダウン」との違いも紹介しています。

「ボトムアップ」の意味とは?

「ボトムアップ」の意味は”下から上へ進めること”

「ボトムアップ」の意味は、“全体のなかで下位にあるものからスタートして、上位に向かって手続きなどが進んでいく手法のこと”です。

「ボトムアップ」は、英語の「bottom-up」をそのままカタカナ読みした言葉で、直訳すると底(ボトム)が上がる(アップ)ということを表しています。

「ボトムアップ」の使い方とは?

設計での「ボトムアップ」は部分から全体へ

「ボトムアップ」は各種設計や企業活動など、さまざまなところで使われる言葉です。しかし、使われるシーンによって、具体的な内容が異なっています。

たとえばシステム設計においての「ボトムアップ」は、まず個々の構成要素から着手し、各要素の詳細な設計を固めてからそれらの部品を組み合わせて大きな部分を作成し、最終的にシステム全体を作り上げていくという方式です。

つまり、システム設計における「ボトムアップ」とは、部分から全体へ少しずつ大きくしていく方法のことを指します。

企業活動での「ボトムアップ」は現場から上層部へ

企業や組織においての「ボトムアップ」は、現場担当者の提案や試算を上層部へ提議し、これを受けた上層部が承認するという流れによって意思決定が行われることを指します。

つまり企業や組織においての「ボトムアップ」は、下から上へ上がっていくことで業務が進んでいくことで、最終決定の判断材料として、現場の声を積極的に吸い上げながら意思決定に反映するという手法です。

対義語の「トップダウン」との違いとは?

「トップダウン」は上から下へ下ろすこと

「ボトムアップ」の対義語である「トップダウン」は、英語の「top-down」をカタカナ読みした言葉です。直訳すると頂上(top)から下がる(ダウン)ということを表しています。

「トップダウン」も「ボトムアップ」と同様に直訳がそのまま日本語につながり、全体のなかで高いところにあるものから下方に向かって手続きなどが進んでいく手法のことを指しているのです。

機械設計での「トップダウン」は全体から部品へ

機械設計における「トップダウン」は、製品全体のレイアウトを先に決めておいてから、段階的に各部品設計していく手法です。

ソフトウェアやシステムなどの設計では「ボトムアップ」がよく用いられますが、機械設計においてはほとんどの場合、「トップダウン」方式で設計が進められています。

企業活動での「トップダウン」は上意下達

企業活動における「トップダウン」を一言で説明すれば、上意下達となります。組織の上層部が意思決定をし、下部組織に指示して実行させる方法で、企業や組織においては古くから採用されています。

独裁やワンマン経営などと否定的に見られるケースもありますが、カリスマ経営者の剛腕で業績がV字回復するという成功事例は少なくありません。

「ボトムアップ」のメリット・デメリットとは?

「ボトムアップ」のメリットは社員が育つこと

「ボトムアップ」型の企業活動では、現場の意見を積極的に取り入れて意思決定に反映させることで、顧客ニーズや現場の現状に即したスピーディな対応を目指しています。

したがって、現場社員ひとりひとりが問題意識を持って日々の業務を行う必要があるのです。「ボトムアップ」において指示待ちは許されず、自らが問題を発見しなければならないため、社員の能力や責任感の向上が期待できます。

「ボトムアップ」のデメリットは時間が掛かること

「ボトムアップ」においては、現場から集めた数多くの意見を反映させた意思家って尾を行うことになるため、どうしても時間が掛かってしまいます。

社会の急激な変化について行くためにはスピーディな対応が必要で、意思決定が遅れがちという点は「ボトムアップ」の大きなデメリットといえます。

「トップダウン」のメリット・デメリットとは?

「トップダウン」のメリットは意思決定の早さ

「トップダウン」のメリットは、意思決定の早さです。特に事業から撤退するような場合、決断が遅れると再起できないダメージを負うこともあります。

「ボトムアップ」の場合、部署の利害関係や調整に時間が掛かることが多いのですが、「トップダウン」であればトップの「鶴の一声」で瞬時に実行できるのです。

「トップダウン」のデメリットはトップの能力頼みになること

能力が高いトップがいれば、的確な判断をすばやく実行に移すことができ、めざましい業績の伸びが期待できます。しかしトップが判断を誤ってしまうと大変です。

またトップの能力が高くても、人望がなければ実行部隊である現場の人間が動きません。逆にトップが優秀であるために、組織全体が依存的な体質におちいったり反対意見をいえない雰囲気になったりすることもデメリットとして挙げられます。

まとめ

「ボトムアップ」の意味のほか、使い方や対義語の「トップダウン」との違いについて解説しました。

「ボトムアップ」と「トップダウン」はよく比較される言葉ですが、それぞれに長短があるためどちらか一方が優れているというものでもありません。メリットとデメリットを判別しながら、業務や組織に合った手法を取り入れてください。