「本籍」の意味とは?調べ方や変更方法「戸籍」との違いも解説

「本籍」はパスポートの取得などで必要となる情報ですが、「戸籍」との違いをはっきり言える人は少ないかもしれません。また、自分の「本籍」が分からないときの調べ方や変更手続きについても知っておきたいものです。この記事では「本籍」の意味と「戸籍」との違いや、調べ方や変更はどこでできるのかを解説しています。

「本籍」の意味とは?

「本籍」とは”戸籍がある場所”のこと

「本籍」とは、“戸籍がある場所のこと”です。日本国内の地番があるところならどこにでも置くことができ、変更することも可能です。そのためひとつの場所を複数の方が「本籍」にしているケースもあり、人気が高い場所トップ3は以下のようになっています。

  1. 皇居:東京都千代田区千代田1番
  2. 大阪城:大阪府大阪市中央区大阪城1番
  3. 阪神甲子園球場:兵庫県西宮市甲子園町1番

「本籍」と「本籍地」は別もの

「本籍」と「本籍地」は同じような意味合いで使われることがありますが、別ものです。戸籍のある場所を指す「本籍」に対して、「本籍地」は戸籍を管理する自治体のことを指しています。

たとえば「本籍」が大阪府大阪市中央区大阪城1番だとすると、「本籍地」は大阪府大阪市となるのです。

未婚の方の本籍は親と同じ

先の項で「本籍」は自由に変えられることを紹介しましたが、未婚の方の場合は親の「戸籍」のなかにいるため、親の「本籍」がご自身の「本籍」となります。

結婚すると、親の「戸籍」から抜けて夫婦で新しい「戸籍」を作ることになりますが、このときに好きな場所を「本籍」に決めることができるのです。

一般的には、夫婦いずれかの「本籍」や新居を構えた場所を「本籍」に選ぶケースが多くみられます。

「本籍」の確認方法とは?

「本籍」は住民票で調べられる

「本籍」は「戸籍」に記載されているので、「戸籍謄本」または「戸籍抄本」を入手すればすぐにわかります。

しかし、「戸籍謄本」「戸籍抄本」のいずれも本籍地でなければ発行してもらえないため、現地に出向くか郵送で請求する必要があり、手間が掛かります。

また、そもそも本籍地が分からないということもあるでしょう。そのような場合には、「住民票の写し」を請求するという方法をおすすめします。

住民票はコンビニでもとれる

「住民票の写し」を請求するときに注意したい点は、提出する申請用紙に設けられた「本籍地と筆頭者を記載する」という選択欄で「記載する」を選んでおかなければ、住民票に本籍地が記載されないということです。

住民票は現在住所を登録している市区町村の役所で取得できますが、自治体によっては役所に出向かずにコンビニエンスストアで手続きできるところもあります。

お住まいの自治体がコンビニエンスストアでの交付に対応していれば、住民基本台帳カードやマイナンバーカードを使って簡単に「住民票の写し」を取得できます。

「本籍」の変更手続きはどこでできる?

「本籍」の変更手続きは住所地でできる

「本籍」が記載された戸籍の取得は本籍地でなければできませんが、変更手続きは住所地の役所でできます。ほかにも本籍地の役所や新たに「本籍」を置く市区町村の役所でも可能です。

なお「本籍」の変更には転籍によるものと分籍によるものがありますが、いずれの場合でも新旧の本籍地か住所地の役所で「転籍届」または「分籍届」を提出すれば手続きできます。

転籍すると既婚歴は記載されない

転籍をした場合は新しい本籍地で新たな戸籍が作られますが、元の戸籍に記載されていた事項のすべてが引き継がれるわけではありません。たとえば、離婚の記載は新しい戸籍から消えてしまいますが、元の戸籍にはしっかり離婚歴が残されています。

遺産相続の際に被相続人の現在の戸籍謄本だけでなく、出生から死亡までの戸籍謄本などが必要になる理由は、転籍によって存在が確認できなくなっている相続人がいる可能性もあるためです。

「本籍」を変えても住所は変更されない

「転籍届」や「分籍届」を提出した場合に変更されるのは本籍地だけで、住民票の住所はそのままです。したがって、住所も変更したい場合は別途、住民票を移す手続きを行う必要があります。

住民票の住所変更には、「転出届」と「転入届」、市区町村内での転居の場合は「転居届」の提出が必要になります。なお、手続きの期限は転居から14日以内です。

「本籍」と「戸籍」の違いとは?

「本籍」は場所で「戸籍」は書面

「戸籍」とは、「本籍」が記載されている書面のことです。「戸籍」は家族単位で作られており、日本人の身分を公的に証明します。「戸籍」には、「本籍」以外にも戸籍筆頭者や家族の氏名、身分事項として両親の氏名・生年月日・出生地・筆頭者との続柄・届出日・届出人、婚姻日・配偶者氏名・婚姻前の本籍と筆頭者など、多くのことがらが記載されています。

「戸籍謄本」とは戸籍原本の写しのこと

相続やパスポートの取得などの際に「戸籍謄本(とうほん)」を取り寄せますが、これは戸籍の原本ではなく写しです。

戸籍の原本は本籍地の役所で管理されており、自分の戸籍であっても原本を入手することはできません。戸籍原本の写しには「戸籍謄本」のほかに「戸籍抄本(しょうほん)」があります。

「戸籍謄本」は「戸籍全部事項証明書」とも呼ばれる原本の内容すべてを写したもので、その戸籍に入っている全員の事項が記載されたものです。「戸籍抄本」は「戸籍個人事項証明書」とも呼ばれていて、戸籍のなかの一個人の事項のみを抜粋して写したものです。

まとめ

「本籍」の意味と「戸籍」との違いのほか、調べ方や変更はどこでできるのかなどについて解説しました。「本籍」は簡単に変えられますが、「本籍」が記載された戸籍謄本や抄本の取得は、本籍地でなければできません。

不用意に「本籍」を変更すると、戸籍謄本や抄本が必要となったときに余計な手間や時間が掛かるのでご注意いただければと思います。