「責了」の意味や使い方とは?「念校」と「再校」との違いも解説

「責了」をはじめ「念校」や「再校」など、印刷物作成に関わる用語はさまざまです。語句の意味合いはなんとなく分かっていても、明確な意味や使い分け方までは理解できていないかもしれません。この記事では、「責了」の意味や使い方のほか、「念校」と「再校」との違いなどについても解説しています。

「責了」の意味とは?

「責了」の意味は”印刷会社の責任で校正を終えること”

「責了」の意味は、“印刷会社の責任で校正を終えること”です。「せきりょう」と読み、責任校了を省略したものです。社内報などの印刷物を作成する際、提出した原稿がそのまま印刷されて完了というわけではありません。

出力されたものをチェックして文章や文字の間違いや、デザインなどの修正を指示する「校正」を何度か行い、最終の校正が終了すると校了(校正終了の略)となります。

校了のあと印刷を行って製品となるのですが、校了前の校正で訂正箇所が少ないときや納期が迫っているときなどには、印刷会社の責任で訂正させて校正を終了することがあり、これを「責了」いうのです。

「責了」後は印刷会社に委ねられる

校了の後の工程に入るとそれ以降は印刷会社に委ねる形となり、印刷や製本作業を経て製品が完成します。そのため校了後に不満な点が見つかったとしても、修正することは基本的にもうできないのです。

印刷会社の責任で校了とする「責了」も同様で、もし「責了」後に修正個所が見つかっても、対応してもらえません。したがって「責了」の指示を出す場合の判断は、慎重に行うことが必要です。

「責了」の使い方で注意したいこととは?

「責了」では修正箇所の確認はできない

実際に「責了」を使うときに注意しなければない点は、発注者側が「責了」後に修正個所を確認できないというところです。

最終の校正で修正箇所があったときに、修正と最終チェックを印刷会社に任せて「責了」とした場合に再度の原稿出力は行われません。そのため、修正を指示した部分がどのようになっているかを発注側が確認することはできないのです。

納期の関係で「責了」となることも

本当は修正箇所を確認したいけれど納期の関係で間に合わない場合、「責了」にせざるを得ないこともあります。

しかしレイアウトや色の変更などのようなケースでは、イメージどおりに仕上がらないことも考えられるため、二校や三校までに修正をすませて「責了」に持ち込まずにすむようにしたいものです。

「責了」の判断は慎重に

3回目の校正で「責了」とせず修正後の原稿出力をチェックしたい場合には、再度校正を依頼することになります。しかし一般的に校正は3回までとなっており、印刷会社の見積りでも校正は3回までとしているケースが多いようです。

そのため、3回目の校正後に校正を追加すると別途料金が発生するため、「責了」ですませたくなるかもしれません。とはいえ、万一修正漏れがあったりした場合のことを考えると、もう一度原稿を確認したうえで校了としたほうが安心です。

修正や修正後のチェックを印刷会社に任せることになる「責了」は、修正がわずかな場合や信頼できる印刷会社である場合のみにすることをおすすめします。

「念校」と「再校」との違いとは?

「念校」とは”念のための校正”のこと

「念校」とは「念のための校正」を略した言葉で、校了の直前にもう一度念のため行う校正や、その校正刷りのことを指すものです。

初校でみつかった修正箇所を訂正して出力した用紙のことを、二校といいます。この二校のあと校正を行い出力したものが三校ですが、二校で校了となるときの三校のことを「念校」と呼ぶ場合もあります。

その他、「責了」にしても問題がないようなわずかな修正の場合に行う校正のことを「念校」ということもあるのです。このように「念校」には複数の意味合いがあるため、どの段階のことを指しているのかを確認しておく必要があります。

「再校」には「二校」の意味と、印刷会社が自主的に行う「念校」も指す

「再校」は二校のことをいう言葉ですが、校了や「責了」のあとでもう一度校正を行うことも指します。「責了」後、通常はそのまま印刷工程に進みますが、このときに印刷会社が見本的な意味合いで出力することを「念校」というのです。

一方、「責了」後に発注側が会社に対して「念校」を依頼すると「再校」となります。出力されるものは「念校」と同じ体裁となりますが、「再校」の場合は追加料金が発生します。

なお「責了」を含む「校了」後に不備が見つかったとしても、すでに印刷工程が開始されているため修正に対応できないことが一般的です。

「念校」後には修正することができない

通常の校正においては最初の校正である「初校」に始まり、2回目以降「二校(再校)」「三校」と続きます。

おざなりにすませてよいわけというものではありませんが、「初校」や「二校」の場合なら万一ミスを見落としてしまっても後から修正が可能です。一方「念校」は「校了」や「責了」前に行われるものを除き、不備が見つかっても修正することはできません。

つまり、「念校」が行われるタイミングが「校了」や「責了」の前か後ろかによって、意味合いが全く違ってくるのです。

まとめ

「責了」の意味や使い方をはじめ、「念校」と「再校」との違いなどについても解説しました。原稿の提出から印刷物の完成まで、発注者と印刷会社の間で行われるやりとりは定型化されていますが、用語の意味や作業のタイミングなどは全国共通というわけではありません。

そのため、用語が意味する内容をきちんと押さえたうえで、定型化されているルールを確認することが、スムーズに作業を進めるための大切なポイントとなります。