「バルザック」とは?その生涯と『ゴリオ爺さん』など代表作を紹介

「バルザック」は、19世紀のフランスを代表すると称される小説家で、自らの長編・短編を小説群『人間喜劇』にまとめたことでも知られています。「バルザック」は、その写実的作品で、ほかの小説家に影響を与えたとも言われる人物です。本記事では、「バルザック」の生涯や代表作品を紹介します。



「バルザック」とは?

「バルザック」は「天才」とも呼ばれる芸術性の反面、私生活では事業の失敗や度重なる暴食など不摂生な生活だったと言われています。

「バルザック」はフランスを代表する小説家

「オノレ・ド・バルザック(1799年~1850年)」は、19世紀に活躍したフランスを代表する小説家のひとりです。ロシアを代表する作家トルストイやドストエフスキーらに影響を与えた写実的小説家としても知られています。

「バルザック」は、その素晴らしい才能とは裏腹に、生後すぐに乳母に預けられたり、寄宿学校で過ごしたりと孤独な少年時代を送ったとされています。この母の愛の渇望は、のちの華々しい女性遍歴へとつながったと言われることも多く、のちに、18年間文通を続けたハンスカ夫人と結婚しています。

小説執筆のきっかけは事業の失敗

孤独な彼が小説の執筆を志したきっかけは、自らが興した事業の失敗でした。その借金返済のために、「バルザック」は執筆に力を入れ、1829年以降数々の作品を世に送り出します。中でも、1931年に発表した『あら皮」は成功を収めた一作で、社交界デビューのきっかけとなったとされる一冊です。

夜間の執筆と豪快な食生活でも有名

「バルザック」は、その特異な執筆スタイルと豪快な私生活もしばしば話題に上ります。

「バルザック」は、夜中に薄暗い室内で長時間執筆するというスタイルを好み、コーヒーを浴びるほど飲むのも特徴です。一方で、華やかな社交界へも足しげく通い、知人らと楽しく過ごす時間も大切にしていたとされています。その大食いっぷりは「伝説」とも言われ、そうした不摂生が晩年の不調につながったようです。

不摂生な生活がたたったのか、1850年3月にハンスカ夫人とようやく結婚しましたが、その5か月後に「バルザック」はこの世を去っています。

「バルザック」の代表作

「バルザック」は、客観的な現実をありのままに描く「写実主義」作家のひとりで、社会に存在するあらゆる人物・あらゆる状況を小説として残しています。中には、幻想的であったり、サスペンス的であったりと娯楽性が高いのも特徴です。「バルザック」のアイディアは尽きることなく、様々なテイストの作品を残していることからも、その才能の高さがうかがえます。

『あら皮』1831年

『あら皮』は、「バルザック」が小説家として認められ、社交界デビューのきっかけとなった一冊です。

若い貴族が賭けで破産し自殺を考えるものの、偶然骨董屋で望みをかなえてくれる「あら皮」を譲り受けます。この「あら皮」は、望みが叶うと少しずつ小さくなり、それに比例するように、彼自身の命も削られていく、というもので、「あら皮」を手にしたことで変わりゆく貴族の一生が描かれた作品です。『あら皮』は、発表と同時に人気を博し、世界中で読まれる作品となりました。

『ゴリオ爺さん』1835年

『ゴリオ爺さん』は、パリの粗末な下宿に住む3人の男性が、お金や出世欲などに苦悩する様が描かれています。「バルザック」の優れた心理描写が称賛される一冊で、写実主義を見事に表した本作は、当時のフランスの社交界や階級を垣間見ることのできる作品としても、評価を得ています。

また、『ゴリオ爺さん』の主人公のひとり「ラスティニャック」は、先に紹介した『あら皮』の登場人物のひとりです。「バルザック」の作品では、このように小説Aのわき役が小説Bの主役、という「人物再登場法」が用いられていて、書籍をまたいでリンクしているのも大きな特徴です。

『谷間の百合』1836年

恋愛をテーマとする作品が多いのはフランス文学全体の特徴でもありますが、「バルザック」の『谷間の百合』もそのひとつです。

貴族家庭の末っ子である「フェリックス」は、舞踏会で出会った伯爵夫人に恋をします。彼女のことで頭がいっぱいになったフェリックスは病気を疑われ、奇しくも、夫人の住む地で療養をすることになり、そこから物語はさらに進んでいきます。

伯爵夫人と若き青年の恋という題材も魅力的ですが、谷間の風景描写の美しさが高い評価を受けている点も特徴的です。フェリックスの熱い想いと重ねて描かれるその文章は、一読の価値ありと称されます。

『従妹ベット』1846年

中年女性が周囲を破滅に導く様を描く『従妹ベット』には復讐・強欲・貞淑など様々な特徴を持つ人物が登場します。その写実的な描写には、19世紀当時のフランス社会や風俗が表れているのも特徴です。

また、「バルザック」は本作の続編として、『従兄ポンス』を執筆しています。

バルザックの作品群『人間喜劇』

『人間喜劇』は、バルザックが自らの作品を体系的に分類し、小説群として発表したものです。しばしば、「バルザック」の作品群の総称としても紹介されます。

「バルザック」は、風俗・哲学・分析の観点から自らの小説を分類し、体系化することを1930年代から構想し始めてたようです。「バルザック」の作品は、あらゆる階層のあらゆる状況の人を描いていることから、『人間喜劇』はフランス社会を映し出すものとも称されます。

まとめ

彩色あふれる写実的作品でフランス社会を壮大に描いた小説家「バルザック」は、フランスを代表する作家として世界中で読まれています。登場人物がリンクしているのが「バルザック」作品の大きな特徴でもあるので、1冊ではなく複数手に取ることで、作品を体系的に楽しむことができます。