「いただけません」の意味と用法とは?「頂けません」との違いも

「いただけません」は、普段何気なく使っている言葉です。けれども意味が複数あるうえ敬語として使うため、用法に注意を要します。加えて漢字表記にすると意味が違ってくるという、なかなか手強い言葉でもあります。この記事では「いただけません」の意味と用法のほか、「頂けません」との違いについても紹介しています。

「いただけません」の意味と用法とは?

「いただけません」は「いただくことができません」という意味

「いただけません」は、「いただくことができる」という意味の「いただける」に、否定の意味を加える丁寧語の「ません」がついた敬語用法です。「いただく」には以下のように3つの使い分けパターンがあるので、それぞれについてみていきます。

  1. 「もらう」の謙譲語
  2. 「食べる」「飲む」の謙譲語
  3. 相手に依頼するときに用いる補助動詞
  4. 相手に許可を与えるときの婉曲表現

したがって「いただけません」の意味は、「いただく」がどのような意味を表しているかによって、以下のように変化します。

  • 1のパターン:もらうことができないことの謙譲表現
  • 2のパターン:飲食することができないことの謙譲表現

2の「食べる」「飲む」の敬語は「召し上がる」ですが、「いただいてください」としてしまっている事例をよく見聞きします。

食事の前の挨拶である「いただきます」は、今から自分が行う行動について述べる言葉です。この「いただきます」を思い出せば、間違った敬語を使わずにすむでしょう。

用法によっては使えない「いただけません」

先に挙げた3と4のパターンは、少し紛らわしいので注意が必要です。例えば「ご乗車いただく」の場合、3のパターンは相手に乗車することを依頼する表現であるため、「ご乗車いただけません」のように否定形で用いることは不自然です。

しかし、4の場合は乗車することを許可するという意味になるため、「ご乗車いただけません」という使い方ができます。

「いただけません」は「いただけない」の敬語?

「いただけない」には「感心しない」という意味も

「いただけない」には、「感心しない」「評価できない」という意味合いもあります。「今回の彼の提案はいただけない」といった場合、もらうことができないということではありません。

積極的に肯定できないという意味になる「いただけない」を用いて、彼の提案に対して「感心しない」「評価できない」と否定的な見解を示しているのです。

「いただけません」「いただけないです」は両方可

「いただけない」を敬語で表すとき、「いただけません」と「いただけない(こと)です」のいずれが正しいかの判断について迷ってしまうという人が多いようです。

「いただけない」を「いだだける」の否定ととらえるか、「いただけない」をひとかたまりの語としてとらえるかによって結果が違ってくるためですが、現在はどちらの用法でも通用しています。

「いただけません」と「頂けません」の違い

「頂けません」は謙譲語としての用法に使える

「いただけません」は漢字で書くと、「頂けません」となります。ところが漢字で書いた場合、先に紹介した「もらう」「食べる」「飲む」の謙譲語としての用法に限定されるのです。

つまり「このお品は頂けません」「お酒は頂けません」と書くことはできますが、「ご乗車頂けません」と書くことはできません。なお、「受け入れられない」という意味の「いただけません」は「頂けません」と書くことができます。

「戴く」は物品に用いられる

「頂戴」という熟語からもわかるように、「戴く」も「頂く」と同じ意味合いを持った漢字です。しかし、「戴く」は「食べる」「飲む」の謙譲語としてより,「もらう」の「頂く」より強くへりくだった謙譲語としてよく用いられています。

例えば、「贈答品を頂く」はもらうことの謙譲表現ですが、「贈答品を戴く」の場合はありがたく押しいただくという意味合いになるのです。また「いただきもの」の漢字表記は、「頂き物」ではなく「戴き物」が正解です。

「いただけません」と「いただきません」の違い

「いただけません」「いただきません」はお断りの言葉

「いただけません」と「いただきません」は「け」と「き」の一字が違うだけですが、いずれも相手の申し出をお断りするときに用いる言葉です。断り方の良し悪しで相手に与える印象が違ってくるため、伝え方には気を遣う必要があります。

好意への感謝の言葉を添えながら、断らなければならない事情を説明して理解を求めるようにすれば、不躾な印象を持たれることなくスムーズにお断りすることができるでしょう。

「いただきません」は強い意思を示す表現

「いただけません」と「いただきません」は「け」と「き」の一字が違うだけですが、意味合いは異なっています。

「いただけません」は事情があって受け取れないということを表しています。たとえば、院内の規定で患者からの贈答品を受け取ってはいけないことになっているような場合です。

一方の「いただきません」は、事情は特にないが自分の意思で受け取らないということを伝えたいときに用います。

まとめ

「いただけません」の意味と用法に加え、「頂けません」との違いなどについても紹介しました。簡単に思える言葉や日ごろよく使っている言葉こそ、知らず知らずのうちに誤った使い方をしてしまっているものです。

特に敬語のなかの謙譲語を尊敬語や丁寧語と間違えるとマナー違反になってしまうため、慎重に取り扱っていただければと思います。