「キャパシティ」や「キャパ」は、ビジネスや日常においてよく使われている言葉です。「キャパ」が足りないとオーバーしますが、この場合「キャパシティ」は狭い・小さいのいずれでしょうか。この記事では「キャパシティ」の意味や類語のほか、形容する場合に狭い・小さいのいずれが正しいのかについても解説しています。

「キャパシティ」とは?

「キャパシティ」の意味は”許容量のこと”
「キャパシティ」の意味は、“許容量のこと”です。英語の「capacity」の読みをカタカナ表記した言葉です。つかみ取ることを意味するラテン語 「capere」に由来する「cap」に、状態や性質を示す名刺や形容詞を作る接尾辞の「-ity」がついて、把握できる量や能力を表しています。「capacity」の意味はたくさんあり、以下のようなものが挙げられます。
- 建物や乗り物などの収容可能数・定員
- 容器などの最大容積
- 生産能力・最大生産量
- 成長などの潜在的な可能性
- 対応できる能力・性質
- 建物や乗り物などの収容能力いっぱいの
- 容量・容積などが最大限の
- 仕事などの処理能力いっぱいの
日本語ではキャパと略されることが多い
日本語では、「キャパシティ」を縮めた「キャパ」がよく用いられています。意味は英語の「capacity」と同じで、「このホールのキャパは200名だから、余裕で収容できる」といった場合は、会場の収容力にまだ余裕があることを指します。
「彼のキャパは未知数だ」「彼にとってこの案件はキャパオーバーだったようだ」というように、「キャパ」は、人の能力の限界や度合いについて言及したいときにも使われます。
ITでの「キャパシティ」とは処理能力の最大値
IT関連業務において「キャパシティ」が使われる場合の意味合いは、システムやデバイスにおける処理能力の最大値を指すもので、機能や業務を行うための能力の大きさを表します。
コンピュータに関連して「キャパシティ」という場合はデータの保存容量を指すことが多く、「動画編集で必要なストレージ(HDDやSSD)のキャパシティは1TB」というように使います。
一方、処理速度が問われるCPUやメモリなどを指す場合には、「画像処理に必要なCPUのスペックはCorei7」というように「キャパシティ」ではなく、「スペック」がよく用いられています。
「キャパシティ」が狭い・小さいはどちらが正しいのか?

「キャパシティ」は”小さい”が正しい
「キャパシティ」は許容範囲や能力に対しても用いられますが、もともとは量的なものの許容度を指す言葉で、容積や容量を表す立方(㎥・ℓ)をイメージすると理解しやすくなります。
容積・容量の大小を言う場合には「大きい・小さい」という形容詞を用いることが正解で、「広い・狭い」は平方(㎡)、「高い・低い」は長さ(m)の大小を表すため、「キャパシティ」の形容には使いません。
なお、「キャパシティを広げる」という言い回しは、「広い」という意味ではなく「拡大する」という意味であるため、誤りではありません。
「キャパシティ」の類語とは?

類語①「アビリティ」とは能力のこと
「キャパシティ」の類語として、「アビリティ」が挙げられます。「アビリティ」は英語の「ability」をカタカナ表記した言葉で、可能な・有能なということを表す「able」に名詞を作る接尾辞の「-ity」がついてできました。
上手にできる能力・力量・手腕のことや、特定分野における才能・技量のことを指す「アビリティ」は、「キャパシティ」と同様に「できる」ということを指しています。
しかし、許容しうる量のことを形容している「キャパシティ」に対し、「アビリティ」は能力や才能そのものを指している点が異なります。
類語②「スキル」とは技能のこと
「スキル」とは、訓練によって身に着けた能力・技能のことです。英単語の「skill」の読みをカナカナ表記した言葉で、「能力」「技術」という意味があります。
先に挙げた「アビリティ」とは異なり、日本語での「スキル」では後天的なトレーニングによって会得したという意味合いが強調されます。また、「キャパシティ」のような許容量という意味合いはありません。
「キャパシティオーバー」とは?

「キャパシティオーバー」とは自分の許容量を超えてしまうこと
自分が抱えることができる仕事や問題の量を超えてしまうことを、キャパシティオーバー(キャパオーバー)といいます。キャパシティオーバーになってしまうと疲労感や無力感が強くなることもあるため、早めの対応が必要です。
キャパシティオーバーと感じた場合には、今の自分のキャパシティを超えている部分を、ひとりで抱え込まずに、他の人に助力を求めてみてもよいでしょう。
「キャパシティ」を広げる努力も必要
「キャパシティ」はすぐに拡大できるものではなく、許容量にも限界がありますが、今の自分のキャパシティを少しずつでも大きくしていくために努力することは大切です。
キャパシティが大きくなれば、相対的に仕事や問題は小さく感じられます。サクサクと仕事をこなすことができれば疲労を感じることは少なくなり、他の人に手を貸せるゆとりさえも生まれるでしょう。
まとめ
「キャパシティ」の意味や類語のほか、正しい形容詞の使い方や「キャパオーバー」の解決方法などについても解説しました。
「キャパシティ」は訓練によって広げることができるため、仮に今「キャパオーバー」で悩んでいたとしても、1年後には平気でクリアできるようになっているかもしれません。適度に負荷を調整しながら「キャパシティ」を広げていくことは、ビジネスにおける重要なスキルの一つといえます。