「回る」と「周る」の違いとは?観光や営業での使い分けも解説

「回る」と「周る」は、どちらもぐるりとまわるという意味合いで使われているため、使い分けが難しい言葉です。両者は意味合いだけでなく読み方も違っているので、一度おさらいしておくとよいでしょう。この記事では「回る」と「周る」の違いのほか、観光や営業での使い分けについて漢字の意味も含めて解説しています。

「回る」と「周る」の違いとは?

「回る」は回転することで「周る」は取り囲むこと

「回る」と「周る」の違いは、「回」と「周」という文字と、それぞれを用いた熟語の意味から考えると理解しやすいでしょう。

「回」は「まわす」「もとにもどす」「何度もまわる」という意味があり、それぞれの意味を含む熟語としては「回転」「回収」「回路」があります。一方「周」は、「まわり」「めぐる」「あまねく」という意味を持っており、「円周」「周遊」「周知」がそれぞれの意味を含んだ熟語です。

「回る」は「round」で「周る」は「around」

「回る」と「周る」の関係は、英語の「round」と「around」に似ています。「round」に方向性を示す「to」という意味の接頭辞 「a-」がついた「around」 は、「round」が持つ用法や意味合いに制限が加わったものです。

「round」は日本語の「回る」と同様に動的なイメージで使われますが、「around」はどちらかというと場所や位置を示す静的なイメージで使われる単語で、イギリスでは,round は「ぐるっと回って」,around は「あちこちで」というような使い分けがされています。

「回る」と「周る」の意味とは?

「回る」はある点を中心に動くイメージ

「回る」には車輪が回転するような、ある点を中心とする反復した動きという意味合いがあります。ここから「仕事が回る」というように滞りなくよく動くことや、「焼きが回る」というように影響が及んでいくことを指すようになりました。

また、「つけが回る」のように、後から報いとして戻ってくることをいうときにも「回る」が使われます。その他、「回り」には「水回り」のように「手近なところ」という意味や、「ひと回り大きくなった」というように「ものの大小」という意味もあり、幅広い意味合いで使われています。

「周る」は囲むもののイメージ

「周る」は「まわる」と読まれることが多いのですが、正確な読みは「めぐる」です。また、「周り」のように送り仮名が「り」となっている場合は、「まわり」と読みます。

これら2つの訓読みからも分かるように、「周る」はあるものの周りを広い範囲で取り囲むものごとや動作を指す言葉で、一筆書きのようにぐるりと大きくつながっているイメージです。

なお、ゴルフコースをまわるといいたい場合は、「回る」が正しい用法です。ゴルフ場の周辺を周っているだけでは、いつまでたってもホールアウトできませんから。

「廻る」は「回る」とほぼ同じ意味

「廻る(まわる)」は常用漢字ではないため「回る」に置き換えられて使われており、意味合いもほぼ「回る」と同じです。しかし厳密に言うと、「廻」は江戸時代に港から港へ旅客や貨物を運んで回った菱垣廻船や樽廻船のように、巡るという意味合いが強い文字でした。

なお「恢復」や「蛔虫」の「恢」と「蛔」も常用漢字ではないため、現在では「回」に置き換えられて「回復」「回虫」と書き表し、元の文字と同じ意味で使われています。

「回る」と「周る」の使い分け

観光地をまわるは「回る」

世界一周や周遊という言葉があることからか誤解されがちですが、そもそも「周る」を「まわる」と読むことは誤りで、観光地をまわるは「回る」が正解です。

つまり、「まわる」といいたいときには「回る」を使うと覚えておけば間違いありません。各地を「回る(まわる)」ことによって世界を「周る(めぐる)」というように考えると、理解しやすいでしょう。

営業での得意先まわりも「回る」

営業でいくつかのお得意様を訪問することを指す言葉は「回る」です。複数の訪問先を巡回するのだから「周る」と書いてしまいそうになるかもしれませんが、先に紹介した通り「まわる」といいたいときには「回る」が正解です。また、得意先周り(めぐり)という言い方はしません。

ある時間を過ぎることは「回る」

〇時をまわるといいたいときも「回る」を使います。時計の針は何度もぐるぐると回ると覚えるとよいでしょう。なお時間を表す用法では、七回忌や6周年というように「回」と「周」の両方が用いられる例があります。

七回忌は死後6周年目の祥月命日に死者の冥福を祈って行う法要のことで、死後満6年、数えて7年目の忌日です。つまり周年は起点となる日から丸1年が過ぎたときとなるので、回忌は周年から1を引いた数が該当します。

まとめ

「回る」と「周る」の違いについて、観光や営業のほか時間での使い分けも交えて解説しました。「周る」は「まわる」と読まないことが、違いを理解するうえで大きなポイントです。

加えて、それぞれの言葉のイメージや指す範囲の大小など、一度しっかり押さえておけば用法で迷うことは少なくなるでしょう。