「戦略」と「戦術」の違いとは?マーケティングでの具体例も紹介

「戦略」と「戦術」は、戦争だけでなくビジネスの世界でもしばしば登場する用語です。しかし、違いを正しく理解して使い分けることは難しく、両者を混同している事例も見受けられます。この記事では、「戦略」と「戦術」の違いがよくわかるように解説し、マーケティングでの具体例も紹介しています。



「戦略」と「戦術」の違いとは?

「戦略」あってこその「戦術」

「戦略」と「戦術」は並列的なものではなく、階層的なものです。「戦略なき戦術」という言葉からもわかるように、戦略を置き去りにして考えた戦術は意味を成しません。

「戦略」は「戦術」の上位にあるべきもので、「戦略」によって「戦術」が決定されるという関係にあるためです。まずこの順番をしっかりと頭に入れておくと、「戦略」と「戦術」の違いについての理解が進みます。

「戦略」は筋道で「戦術」は手段

「戦略」とは成功へ向かうための筋道のことで、「戦術」とは「戦略」を実現するための手段です。たとえば将来アメリカで暮らすことが夢だという高校生がいたとしましょう。その夢を実現するための筋道を考えることが「戦略」です。

ここで外国語学部への進学を「戦略」として選択したなら、「戦術」として志望大学に合格できるレベルの英語力を身につけるための具体的な手段を考えなければなりません。

しかし、現在アメリカ人の彼女がいる場合なら、彼女と結婚するという「戦略」をとることもできます。そうであれば「戦術」としては、英語力の強化より彼女との関係をよくしていく方法を考えたほうが、夢の実現への近道となるかもしれません。

「戦略」の英語の意味はだますこと

「戦略」は英語で「strategy」といいます。「謀略」「だます」という意味のギリシャ語「strategia」が語源です。日本語の「戦略」に使われている「略」という文字にも「かすめ取る」「はかる」という意味があり、英語の「strategy」と同じニュアンスが感じられます。

「略」には「はぶく」という意味もあり、戦略の大家である孫子の「兵法」でも戦わずに勝つ、つまり戦いを省いて勝つことがよいとされています。

「戦略」「戦術」と「作戦」との関係

「作戦」とは「戦略」と「戦術」の間にあるもの

「戦略」と「戦術」の間には、もう1ステップが必要です。先に挙げたアメリカ移住の例で、外国語学部への進学を「戦略」とした場合、「戦略」を実行する方法はひとつではありません。

合格率を調べたりTOEFL iBTテストの成績を上げたりするなど、さまざまな「作戦」を並行して進めていくことが必要です。

「作戦」のためのタスクが「戦術」

「戦術」は「作戦」を構成する一連の行動で、タスクのようなものと考えると理解しやすいでしょう。具体的には、合格率を調べるために進学サイトにアクセスしたり、TOEFL iBTテストのテキストを取り寄せたりすることが「戦術」です。

なお「戦法」とは、「戦術」で勝利するための具体的な方策のことで、より細分化されたタスクのようなイメージです。

マーケティングでの「戦略」と「戦術」

マーケティングとは「売れる仕組み」

ビジネスにおいてマーケティングは重要なポイントですが、市場調査・広告・販売促進などはマーケティングそのものではありません。

マーケティングの本質は「売れる仕組み」で、販売が不要になることが理想的なマーケティングです。つまり、顧客が欲しがる製品やサービスを提供すれば、顧客が勝手に買ってくれるということになります。

マーケティングの「戦略」に必要な方向性

「戦略」は目標を達成するための道筋のことですが、マーケティングでの戦略とは企業や商品・サービスの方向性を決めることです。

市場調査によって誰がどんなものを欲しがっているかを調べ、自社の製品やサービスを買ってくれるターゲットは誰なのか、彼らに対して自社と他社の差別化をどのように進めていくかという方針を決めます。ここまでをしっかり決めないままに、広告や販売促進を進めると「戦略なき戦術」となってしまうのです。

「戦略」と「戦術」のマーケティングでの具体例

webサイトの作成は「戦術」

実店舗に加えてwebサイトを作れば売上が増えるのではと考えたAショップの店主が、web制作会社にサイトの作成を依頼するというケースはよくあります。

webサイトの作成は「戦術」ですが、売上向上は「戦略」ではなく目的で、売上向上のための方向性を決めることが「戦略」です。

売上向上のための「戦略」は3つだけ

売上向上のための基本的な「戦略」は、大きく次の3つに分けられます。

  • 顧客を増やす
  • 客単価を上げる
  • 購入回数を増やす

これらの「戦略」のいずれを採用するか、もしくは組み合わせるかを決定してはじめて、「戦術」を検討できるのです。

しかし、Aショップの顧客がwebサイトにアクセスできなければ、効果は期待できません。また商圏が狭ければ、webサイトや埋もれがちな新聞広告よりもチラシをポスティングしたほうがよいでしょう。

広告や販促活動は「戦術」

ブランディングは高級品だけの専売特許ではなく、「Aショップといえばあの商品」「この商品を買うならAショップ」という意識をターゲットに植え付けることです。

つまり顧客をリピーター化することを目指すのですが、この場合のAショップにおける「戦術」としての販促活動であれば、広告のバラマキよりDMのほうが向いています。優待特典付きのDMならなおさら効果的でしょう。

まとめ

「戦略」と「戦術」の違いのほか、マーケティングでの具体例も紹介しました。「戦略」や「戦術」は大企業の経営陣だけではなく、個人事業主や被雇用者にとっても必要な知識です。

もし考えに行き詰ったら「戦略」は何のためのものなのか、「戦術」はどうやって行うのかという基本認識に立ち返ると、新たなアイデアが浮かんでくるでしょう。