「問題」と「課題」の違いとは?書き方や解決への対策も紹介

「問題」と「課題」は、似た意味合いで使われるケースがあります。ところがビジネスにおいては、明確に使い分けないと「問題」や「課題」を抱えたままとなるのです。この記事では、「問題」と「課題」の違いを解説したうえで、報告書や企画書などでの書き方や、「問題」への対策事例としての「課題」も紹介しています。

「問題」と「課題」の違い・それぞれの意味とは?

「問題」と「課題」の違いは”解決すべき対象か解決のための対策か”

「問題」と「課題」の違いは”解決すべき対象か解決のための対策”かという点あります。「問題」は”解決すべき対象”のことで、「課題」は”解決のための対策”のことです。

「問題」の意味は”解決すべきことがら・対象”

「問題」とは解決すべきことがらのことで、分かりやすい用例としては「テストの問題用紙」が「社会問題」などがあります。

未達の目標やトラブルなどのような、あるべき姿・ありたい姿と現実との間にギャップがある状態のうち、解決しなければならないもののことです。何らかのギャップが生じていても、解決を問われていないものであれば「問題」にはなりません。

「課題」の意味は”問題を解決するために取り組む解決策のこと”

「課題」とは、問題を解決するために取り組んだり与えられたりすることがらのことで、「問題」の解決策のことを指します。

ところが「課題図書」や「論文の課題」という場合の「課題」は、達成すべき「問題」としていきなり与えられえるものであり、「問題」あっての「課題」ではなく「問題」と同じ位置づけとなるものです。そのため、「問題」と「課題」の使い分けがあいまいになる傾向があります。

ビジネスにおける「問題」は対象で「課題」は対策

曖昧さが残る「課題」ですが、ビジネスでの「問題」は解決すべき対象そのもののことで、「課題」は問題を解決するための対策のことを指します。

つまり、「問題」が先にあり、「課題」は問題を解決するための取り組みとして後から挙げられるものです。このように、ビジネスにおける「問題」と「課題」は、明確に使い分けられています。

「問題」と「課題」の書き方とは?

「問題」の提起と「課題」の設定が必須

報告書や企画書などで「問題」と「課題」について取り上げるとき、書き方に悩むことがあります。しかし、「問題」の提起と「課題」の設定がきちんとされていれば、基本的には問題ありません。

書き方としては、箇条書きにするほか、フローチャートやロジックツリーなどを活用すると分かりやすくなります。各項目の詳細などは、参照資料を用意して別添するとよいでしょう。

理想と現実のギャップを明確に

「問題」を提起する際に、いきなり「問題」だけを提示するのではなく、理想や目標とする状態と現実の状態を上げたうえで両者のギャップを明示するというステップを踏むことをおすすめします。

事情に明るくない第三者に、なぜそれが「問題」なのかということを理解させるためです。また、「問題」を明確化することで、次の「課題」の設定が行いやすくなります。

「課題」とは理想の実現へのステップ

「問題」を提起したら、次は「課題」を設定します。「課題」は「問題」の解決を目的とするものですが、「問題」だけに注目していると、肝心の理想や目標を見失って論点が外れてしまう懸念があります。先に「理想」「現実」「両者のギャップ」の3点を挙げたのは、論点を外さないためでもあるのです。

また、理想に近づくための「課題」は、実践的かつ計量的であることが必要です。「課題」は設定して終わりではなく達成してこそのもので、実践してその結果を計測することができなければ、達成に向かっているかどうかを判断できません。

「問題」に対する「課題」設定の具体例とは?【原因別】


ここでカフェの売上低下という「問題」を例に挙げて、原因ごとに「課題」を設定してみましょう。

お客が増えないことが原因のケース

カフェの売上が上がらない理由としてお客が増えないことが考えられる場合、お店の知名度が低いためにお客が来ないのなら、「課題」は新聞広告やDMとなります。しかし、お店や商品に魅力がないためにお客が来ないのであれば、店内装飾やメニューの改善が「課題」です。

客単価が低いことが原因のケース

来客数はそこそこなのに売上が上がらないなら、客単価を上げることが「課題」となります。具体的には付加価値の高い高額商品を開発したり、お店のイメージアップを図ったりすることや、売りたい商品の購買へ誘導することなどが考えられます。

ライバル店の出現が原因のケース

売上低下の原因が、近隣にライバル店が出店したことによる一時的な客離れであればよいのですが、競争力において自分のお店が劣っていれば、このまま負け続けることになるでしょう。

一般的に価格競争は消耗戦となるため、避けたい手法です。お客にライバル店ではなく自分のお店を選ばせるための「課題」は、差別化となります。ブランド戦略は大企業や高級店だけのものではないのだから、小さなお店が生き残るために積極的に活用すればよいのです。

まとめ

「問題」と「課題」の違いのほか、書き方や解決への対策も紹介しました。「問題」の原因をはっきりさせて、その解決策としての「課題」を設定するという手順を踏むことが、適切な対応を行うために必要です。

加えて何が「問題」かを明確にしておくことで、チーム内での「課題」の共有に役立ちます。理想を実現するための距離を短縮するためにも、「問題」と「課題」の違いを理解することが大切です。