「利子」と「利息」の違いとは?使い分けと金利・利率の計算も

一般的に「利子」と「利息」はあまり区別されず、混同されて用いられる事例をよく見掛けます。日常生活でさほど困ることはないものの、金融業界や納税においては厳密に使い分けられている用語です。この記事では、「利子」と「利息」の違いと使い分けのほか、金利・利率の計算方法についてもわかりやすく紹介しています。

「利子」と「利息」の違いと共通点とは?

「利子」と「利息」の違いは”借り賃か貸し賃か”

「利子」と「利息」の違いは“借り賃か貸し賃か”という点にあります。「利子」は”お金の借り賃”のことで、「利息」は”お金の貸し賃”のことです。

「利子」「利息」の共通点は”金銭貸借の対価”

「利子」「利息」は“お金の貸し借りに対する対価として生じるもの”を指しているという点で、共通しています。

例えば車をレンタルする場合にレンタル料金を支払いますが、お金の場合も同じように考えると理解しやすいでしょう。つまり、お金の使用料が「利子」や「利息」にあたるものなのです。

「利子」とはお金の借り賃

銀行や消費者金融業者などからお金を借りるとき、元金の返済とともに「利子」の支払いが求められます。つまりお金を借りたときの借り賃が「利子」です。

一般的な借金の返済方法として、毎月の支払額が一定となる元利均等方式と、毎月の返済額のうち元金が一定となる元金均等方式があります。そのほか、一定期間元金の返済が据え置かれるタイプの返済方法があり、この場合は毎月「利子」部分のみを返済することになります。

「利息」とはお金の貸し賃

「利息」とは、お金を貸したときに受け取るお金のことです。ひとつの金銭貸借で発生する「利子」と「利息」は同額ですが、お金を貸した側が受け取るときには「利息」、借りた側が支払うときには「利子」と呼びます。

銀行でローン契約を行うときに、銀行側から「年間のお利息は〇〇円です」というような説明を受けますが、「利息」は借金だけに関係するものではなく、預金したときにも登場するものです。

使い分けがあいまいな「利子」と「利息」

お金を預けて受け取るお金も「利息」

銀行にお金を預けたときに受け取るお金のことも、「利息」と呼びます。貸金庫にお金を預けると金庫の利用料金を取られることに対して、銀行にお金を預けるとわずかながらでも「利息」を受け取ることができる理由は、銀行が預かったお金を運用して収益を得ているからです。

つまり、「預金」することで銀行にお金を貸していることになっているため、「利息」はお金の貸し賃という理解が正しいことがわかります。

ゆうちょ銀行での「利息」は「利子」

銀行にお金を預けることを預金といいますが、ゆうちょ銀行では貯金といいます。ゆうちょ銀行にお金を預けたときに受け取るお金のことも「利息」ではなく「利子」と呼ぶように、銀行とゆうちょ銀行では用語に違いがあるのです。

このように「利子」と「利息」の使い分けは慣習による面があり、一般的には厳密に区別されているものではないのです。したがって、銀行でお金を借りた人が支払う「利子」のことを「利息」と呼んでも完全に間違いというわけではありません。

法律では「利子」「利息」は区別される

日常生活においては、「利子」と「利息」はあいまいであってもさほど問題はありません。しかし、利息制限法なにおいては「利子」という言葉は用いられておらず、銀行や貸金業者のwebページでも「利息」という言葉が用いられています。

一方、所得税法においては受け取る場合も支払う場合も「利子」で統一されているように、法律ごとに「利子」と「利息」の使い分けは厳密に区別されているのです。

「金利」や「利率」との関係と計算方法とは?

「金利」とは元金に対する「利子」「利息」の割合

「金利」とは、貸し借りされた元金のお金に対する「利子」や「利息」の割合のことです。たとえば100万円を1年間借りたときに支払った「利子」の合計額が5万円だったなら、「金利」は5%となります。

また、100万円を1年間銀行に預けたときに受け取った「利息」の合計額が税抜きで1,000円だったなら、「金利」は0.1%です。

「金利」と「利率」はほぼ同じ意味

「金利」と「利率」は基本的にほぼ同じ意味です。いずれも1年に発生する「利子」「利息」の元本に対する割合のことで、通常「%」を用いて表します。

「利率」は「年利」を指すことが一般的ですが、「月利」「日利」のことを指すこともあるので注意が必要です。月利は年利の1/12、日歩は年利の1/365となり、カードローンやキャッシングでは「利率」を「年利」で表現していますが、質屋の質入れでは「月利」で表されます。

「利子」「利息」は「金利」「利率」で計算できる

「利子」「利息」は、元金・借入/預入期間・「金利」または「利率」がわかれば計算できるものです。たとえば100万円を金利0.2%の3ヵ月定期に預けた場合、満期時の税引き前「利息」は

100万円×0.2%×3/12=500円
となります。一方50万円を金利10%で半年間借り入れた場合に支払う「利子」は
50万円×10%×6/12=25,000円
で、「アドオン方式」と呼ばれているものです。しかし通常のローンは毎月分割して返済するため、正確な計算式は「残債方式」と呼ばれる以下のものとなります。
借入残高×金利×借入期間
「残債方式」で表される年利率を「実質年率」といい、「アドオン方式」の金利ではなく「実質年率」を表示することが法律で義務化されています。

まとめ

「利子」と「利息」の違いや使い分けのほか、金利・利率の計算についても紹介しました。超低金利が続く昨今、預金の「利息」は微々たるものですが、借金の「利子」に関してはその限りではありません。

用語の使い分けとあわせて正しい金融知識を身につけておくことは、今後の生活設計において必要なことといえるでしょう。