「天は二物を与えず」の意味とは?使い方と類語・対義語も紹介

「天は二物を与えず」ということわざがありますが、どのようなときに使うとよいのでしょうか?また、類語や対義語も知っておきたいものです。この記事は「天は二物を与えず」の意味と使い方のほか、言い替えに使える類語や対義語なども紹介しながら、ことわざを深く理解できるようにサポートしています。



「天は二物を与えず」の意味とは?

「天は二物を与えず」は完璧な人間はいないという意味

「天は二物を与えず」での二物(にぶつ)とは、ふたつのものという意味ですが、このことわざではいくつもの美点や才能のことを指しています。

飛び抜けた美点や才能を与えられた人であっても、何らかの欠点があることがふつうです。つまり「天は二物を与えず」は、天は一人の人に長所をいくつも与えるようなことはしないため、完璧な人間など存在しないということを言い表しています。

才能は天から与えられたものという意味も

「天賦(てんぷ)の才」という言葉があります。生まれつきの才能は本人の努力ではなく、天から与えられたものであるという意味で、「天は二物を与えず」ということわざの前提となっている考え方です。

つまり、いくつもの才能を持っているような人であっても、生まれつき備わっているものに関しては本人の努力で獲得したものではなく、たまたま与えられたものに過ぎないということです。

努力の大切さを教える意味も

世の中には、いくつもの才能を発揮している人もいます。そんな人と自分を比べると、ついうらやましさを感じてしまうかもしれません。

しかし「天は二物を与えず」ということわざによれば、天が与えたものは一つだけで、残りの才能は本人が努力によって開花させたものであるということになります。つまり、努力なしでいくつも才能が開花するほどに、天は人を甘やかしてはいないということです。

「天は二物を与えず」の使い方

誰にでも欠点があることをいいたいときに使う

「天は二物を与えず」は、以下のように人間は欠点をあわせ持った存在であることをいいたいときに適したことわざです。

  • 天才的なアーティストである彼だが、「天は二物を与えず」というとおりとても口下手だ。
  • あんなに美しい彼女だが、「天は二物を与えず」のことわざどおりものすごく口が悪い。

すばらしい人をほめあげたいときに使う

欠点が見当たらないすばらしい人のことを表現したいときにも、以下のように「天は二物を与えず」を用いることができます。

  • 「天は二物を与えず」というが、マルチタレントの彼には当てはまらないようだ。
  • 才色兼備で人柄もいい彼女を見ていると、「天は二物を与えず」にも例外があるように思える。

「天は二物を与えず」の類語

言い替えに使える「牙あるものは角無し」

「天は二物を与えず」の言い替えにも使える類語は、「牙あるものは角無し」です。「角ある獣に上歯(うわば)なし」ともいい、角と牙の両方を持った動物はいないということから、「天は二物を与えず」と同様にすべてを持った人間はいないということを表しています。

強者にも弱点があることを指す「弁慶の泣き所」

「弁慶の泣き所」とは、どんなに強い人にでも弱点があることを表した言葉です。怪力無双で知られた弁慶ほどの豪傑でさえも痛がって泣くほどの急所という意味で、向う脛の別名でもあります。完璧に見える人にでも弱点や欠点があるという意味で、「天は二物を与えず」の類語といえることわざです。

「天は二物を与えず」と対義語(反対の意味の言葉)

「博学多才」は知識と才能が豊かなこと

「天は二物を与えず」と反対の意味の言葉として、「博学多才」が挙げられます。博学とは知識が豊富でさまざまな学問に精通していること、多才とは多くの才能に恵まれていることを表しており、「天は二物を与えず」とは逆の意味合いを指しています。

似た意味を持つものとして「多芸多才」もあり、各方面の技能や才能をあわせ持っていることを表す言葉です。

「才色兼備」は才能と容色ともに備えた女性のこと

「才色兼備」は、才知と容色ともに優れた女性のことを指す言葉です。才色は女性に対して使う言葉であるため、男性に対して使うことは本来誤りですが、ジェンダーフリーが進む昨今、男性への誉め言葉として使われている例をみかけるようになりました。

なお「才色兼美」と書いてしまいがちですが、これは完全に誤りなのでご注意ください。

「文武両道」は学問・武芸ともに優秀なこと

「文武両道」は本来、学問にも武芸にも秀でていることをいう言葉です。現在では武芸に限らずスポーツ全般を指すようになり、進学校などに校訓として掲げられていることがよくあります。

学業とスポーツという限られた分野ですが、学生にとっては最高の誉め言葉でしょう。なお、高学歴でスポーツが得意な社会人に対しても「文武両道」を使うことができます。

「八面六臂」は多方面に活躍すること

「八面六臂(はちめんろっぴ)」は、もともと八つの顔(面)と六本の腕(臂)を持った仏像のことを指します。仏像の面と臂は仏の能力を形に表したもので、面と臂の数が多いほどさまざまな能力を持っていることを意味しています。

ここから、多方面に活躍することや一人で何人分もの活躍をする多彩な人を指して「八面六臂」というようになりました。

まとめ

「天は二物を与えず」の意味と使い方のほか、類語・対義語も紹介しました。「天は二物を与えず」は有能な人への戒めや自分の欠点を気にする人への慰めのほか、平凡な人への励ましとしても使える意味の深いことわざです。

ひとりで何でもこなせるようになるための努力も大切ですが、他人を理解して協力し合える能力を高める努力も忘れてはいけないものだといえるでしょう。