「美人局」の読み方と意味とは?語源や犯罪に遭わない対策も紹介

「美人局」を知識なしで正確に読むことは困難ですが、たいていの人は聞いたことのある言葉でしょう。文字と関連のない読み方をするようになったことについて、不思議に思われるかもしれません。この記事では「美人局」の読み方と意味を解説するとともに、語源や犯罪に遭わない対策についても紹介しています。

「美人局」とは?

「美人局」の意味は”男女が共謀して行う犯罪”

「美人局」の意味は、“男女が共謀して行う犯罪”のことです。一般的な手口は、まず女が男性を誘惑します。そして共犯の男が「俺の女に手を出した」などと言って男性から金銭を脅し取るというパターンがよくみられます。

タイミングよく現場を押さえるやり方は、ターゲットの男性に疑念を抱かれるおそれがあるため、数日後に電話やメールなどで脅迫するという手口も使われているようです。

「美人局」の読み方は”つつもたせ”

「美人局」の読み方は“つつもたせ”です。読み方を知っていてはじめて読める漢字で、熟語の文字をどう解釈しても「つつもたせ」という読みは出てきません。

文字と読みにまったくつながりがないのは、もともとの「美人局」と「つつもたせ」は由来が異なった別の言葉であることが理由です。

本来の「美人局」は、中国の古い文献にも見られる犯罪を指す言葉でした。手口は娼婦が少年に近づき、頃合いを見て登場した共犯の男が娼婦を自分の妻や妾のように偽り金品を奪うというものです。

「美人局」は詐欺・脅迫・恐喝罪にあたる

「美人局」は、詐欺罪・脅迫罪・恐喝罪にあたる犯罪です。「美人局」は、ターゲットを欺いて誘惑し、そのことをネタにして脅し金銭を巻き上げるという3つのステップを踏んで行われます。

詐欺罪とは、人を欺いて財物(=金銭や物品)を交付させたり、財産上不法の利益を得たりする犯罪です。詐欺罪は被害者をだまして金品を奪いとる犯罪ですが、「美人局」の場合は脅迫や恐喝がセットになっています。

「美人局」の語源とは?

「つつもたせ」の語源は賭博用語

日本語の 「つつもたせ」の語源は、「筒持たせ」という賭博用語です。サイコロを振るために「筒」と呼ばれる道具が使われていましたが、思惑通りの目を出すために細工をした「筒」用いることがありました。

このように細工をした「筒」を用意することを「筒持たせ」といい、賭博でのイカサマ行為を指していたのです。のちに詐欺行為全般を表すように意味が広がり、中国での「美人局」という文字が「つつもたせ」にあてられるようになったのです。

「美人局」の手口とは?

共犯者がいない「美人局」もある

古典的な「美人局」は、男女がペアになって実行されるものでしたが、盗聴や盗撮ができる機器や電子メールなどが普及してからは、女が単独で行うケースもみられるようになりました。

女が男性を誘惑するところまではこれまでの「美人局」と同じですが、盗聴や盗撮で「現場」の様子を記録し、電子メールに添付してターゲットの男性に送りつけることで、脅迫や恐喝までを女ひとりでこなすことができるからです。

泣き寝入りしやすい未成年による「美人局」

「美人局」の被害に遭ったのに、誘惑してきた女が18歳未満だった場合は自分が加害者になってしまうかもしれません。13~17歳とみだらな行為を行うと「淫行」、13歳未満だと「強制わいせつ」の罪に問われる恐れがあるためです。

女が18歳未満であることを知ったターゲットは警察や弁護士に相談することをせず速やかに金銭を支払うだろうとみて、女が未成年であることを隠しているケースはよくあります。

女性が被害に遭うケースも

「美人局」の被害者は男性が一般的ですが、女性がターゲットにされるケースもあります。男がターゲットの女性を誘惑して親密な関係になったあと、男の妻もしくは恋人が登場して女性に慰謝料を請求するというパターンです。男女格差が問題視されていますが、「美人局」の世界では格差が取り除かれつつあるといえます。

「美人局」の被害に遭わない対策とは?

ひとりで飲みに行かない

ひとりで飲んでいると、ターゲットとして狙われやすくなります。差しつ差されつしているうちに酒量が増えていくと理性が緩みがちになるものです。

そんなタイミングを狙って甘い言葉で誘惑されると、つい魔が差してしまうことにもなりかねません。どうしてもひとりで飲みたいときには、ムーディーなお店を避けたほうがよいでしょう。

よく知らない相手と深い関係にならない

「美人局」の被害に遭わないためには、よく知らない相手とは深い関係にならないことが一番です。特に出会い系サイトやSNSは危険で、初めから「美人局」を仕掛ける目的で登録しているケースもあります。

既婚者がターゲットになった場合は、不倫目的であることや配偶者に知られたくないことが多いため、犯行が容易になりがちです。

まとめ

「美人局」の読み方と意味のほか、語源や犯罪に遭わない対策も紹介しました。「美人局」をビジネスで用いる機会は少ないと思われますが、オフでの会話などで登場することがあります。

うっかり「びじんきょく」と読んでしまうと恥をかくことになるでしょう。加えて犯罪に巻き込まれないためにも、「美人局」の意味や手口についても知っておかれることをおすすめします。