「遺憾」の意味と使い方とは?怒りの有無と類義語・対義語も紹介

「遺憾」は見た目も語感もいかめしく、日常会話に登場することはあまりない言葉です。しかし、新聞やテレビの報道などではしばしば見聞きするため、おおよその意味は知っている言葉でもあります。この記事では「遺憾」の詳しい意味と使い方のほか、怒りや謝罪の意味の有無と類義語・対義語について紹介しています。

「遺憾」の意味とは?

「遺憾」の意味は”残念に思うこと”

「遺憾」の意味は、“残念に思うこと”です。読み方は「いかん」です。熟語に使われている「遺」という文字には、”遺族・遺品”などの語句からもわかるように「のこす」という意味があります。

もうひとつの「憾」という文字は、心残りに思うことを表しており、両方の文字があわさって心残りなことや残念に思う様子を指しています。

「遺憾」の使い方とは?

「遺憾」は不本意だったときに使う

「遺憾」という言葉が日常会話で使われることはほとんどなく、政治家や企業責任者の会見のような公的なシーンで用いられています。

本来あるべき状態から外れてしまったり、期待にこたえられなかったりしたような、結果が不本意であった場合に「誠に遺憾です」などという言い回しで使われますが、自分自身の個人的な問題ではなく、組織の不祥事や他人の言動に対して使われることが多い言葉です。

「遺憾なく」は”完全に”という意味

「遺憾」を「遺憾なく」といういい方で用いる場合は、「思い残すことなく完全に」「申し分なく」という意味になります。

「持てる力を遺憾なく発揮する」というように、後に「発揮する」を続ける用法がよくみられますが、「遺憾なきよう願います」という場合は、「遺漏のないようにお願いします」という意味合いです。

「遺憾」に怒りや謝罪は含まれる?

「遺憾」に怒りや謝罪の意はない

他人の不適切な行為に対して、「遺憾です」というコメントが発せられる場面をよく見かけます。やんわりと非難している印象を受けますが、「遺憾」という言葉に相手を非難するような怒りの意味はなく、ただ「残念です」といっているに過ぎません。

また、謝罪の会見報道などでは神妙な面持ちで「遺憾にたえません」と頭を下げている責任者の姿がよくみられます。この場合も謝罪の意味はなく、「こんなことになって残念です」ということを難しく表現しているだけです。

抗議や謝罪には「遺憾」だけでは足りない

お役所などが「遺憾です」と発言した場合、その後何もしないことが多くみられますが、「遺憾」という言葉に怒りや謝罪などのような発言者の意志や責任が含まれていないことを物語っているといえます。したがって、本当に講義や謝罪を表明したいときには「遺憾」だけでは足りません。

抗議する場合には、具体的に改善させたい点と、入れられないときの対応もあわせて提示する必要があります。謝罪する場合にはお詫びの言葉とともに補償や賠償の方法も示し、相手の許しを請うことが大切です。

「遺憾」の類義語とは?

類義語①「残念」とは”満足できず心残りがすることや様子”

「残念」は、満足できず心残りがすることや様子のことを指す言葉です。「念」は思いや気持ちのことを指し、「残」がついてできた「残念」をそのまま読んだ「念(思い)が残る」が熟語の意味となります。

「残念」は心残りであることを表した「遺憾」と同じ意味であり、同義語として言い替えに使うことができる言葉です。

類義語②「無念」とは”悔しく思うこと”

「無念」とは、悔しく思うことや様子のことです。「念」には「望み」というもあり、「無」がついて望みがなくなって悔しい気持ちを表しているのです。

もうひとつの解釈として、「無」には数えられないほど多いという意味があることから、念じ切れてないことを悔しく思うというものがあります。「残念無念」という熟語がありますが、「無念」は「残念」より悔しく思う気持ちが強く表れた言葉です。

類義語③「気の毒」とは”気持ちの毒になるようなこと”

「気の毒」は他人の不幸を思いやって使われることが多い言葉で、「気の毒な親子だ・彼には気の毒な事をした」というように用います。

しかし、もともとは自分の気持ちにとって毒になるという意味で、不快に思うことや決まりが悪いことに対して「気の毒だ」と表現する用法があります。なお、自分が不本意な状態にあるというときに「気の毒」は使いません。

「遺憾」の対義語とは?

対義語①「満足」とは”不足なく満ち足りていること”

「満足」の意味は熟語を読み下した通りで、満ち足りていることや様子を表した言葉です。必要なものが欠けることなくそろっていることを指す「満足」は、期待通りの結果が得られず不十分な状態である「遺憾」の反対の意味を持っています。

対義語②「本望」とは”望みが叶うこと”

「本望」は”ほんもう”と読みます。「かねてからの望み」という意味ですが、「~なら本望だ」という用法では、そうなれば望みが叶って満足であるという意味になります。

その状態になれたら望みが叶ったことになって満足であるということを表したもので、この用法での「本望」は「遺憾」の対義語です。

まとめ

「遺憾」の意味と使い方や、怒り・謝罪の有無と類義語・対義語について紹介しました。「遺憾」は公の場面で使うことができる言葉ですが、単に残念であると言っているに過ぎないのです。

抗議や謝罪のために「遺憾」を使うだけでは相手にこちらの本意を伝えることはできませんが、ひとまずその場を収める効果はあるため、その後の対応をきちんと行えば問題は解決に向かうでしょう。