「献杯」の意味とは?挨拶は誰がやるかについて例文もあげて紹介

葬儀や法要で行われる「献杯」ですが、意味合いや具体的にどのような流れで行われるのかについては、よくわからないものでしょう。しかし、ふるまい方や挨拶を頼まれた場合に備えての予備知識を持っておけば安心です。この記事では、「献杯」の意味や挨拶は誰がやるといいのかについて、例文もあげて紹介しています。

「献杯」の意味とは?

「献杯」の意味は”故人に杯を捧げること”

「献杯」の意味は、“葬儀や法事などで故人に敬意を表して杯を捧げること”です。「献杯」は“けんぱい”と読み、「献盃」と書くこともある言葉です。

「杯」と「盃」はいずれも酒を飲むために使う器で、「献杯」と似ている言葉である「乾杯」や「賜杯」にも、「杯」の代わりに「盃」という文字をあてることがあります。

「献杯」は弔事で行われる大切な儀式であることから、知っておくべきマナーや作法があるため注意が必要です。

「献杯」の元の意味は”相手に杯を差す事”

「献杯」という熟語に使われている「献」は、捧げる・たてまつるという意味のほか、「どうぞ一献」というように酒を客にすすめることも表している文字です。

ここから弔事に限らず、酒席で相手の杯に酒を注いで酒をすすめることも「献杯」といいます。この場合の「献杯」には特別な作法はなく、和やかにお酒を楽しむことができればよいのです。

「献杯」で挨拶は誰に頼むか?

「献杯」の挨拶は親族の年長者が適切

葬儀や法要の際に行われる「献杯」の挨拶は、親族のなかの年長者など代表格となる方にお願いすることが一般的です。他にも血の濃い立場にある故人の兄弟や親しい友人、会社関係の方などにお願いすることもあります。

いずれの場合にもその場でいきなり「献杯」の挨拶を頼むのではなく、事前にお願いして了解をいただいておくことが大切です。

「献杯」は喪主が行ってもかまわない

「献杯」をお願いできる適切な人が見当たらない場合は、喪主が行っても問題ありません。平均寿命が延びていることから、参列者の多くが高齢の方であるケースが増えています。

もし「献杯」の挨拶を負担に感じる方が多いのではないかと思われるのであれば、喪主が精進落しの挨拶のあとそのまま「献杯」まで行ったほうがよいでしょう。

「献杯」で挨拶の方法とは?

「献杯」の挨拶は簡潔に

「献杯」は、葬儀や法要のあとに続く精進落としでの儀式です。精進落としでは、 冒頭の喪主の挨拶のあと「献杯」の挨拶が行われて会食が始まるという流れとなっているため、会食を開始する合図の役割を「献杯」が担っているということになります。

つまり、参列者は「献杯」が終わるまで食事に手を付けることができないので、挨拶は簡潔に終えることが望まれるのです。

忌み言葉を使わない

弔事においては、縁起が悪いため禁句とされる「忌み言葉」というものがあります。「くれぐれ・度々」などのような同じ言葉を繰り返す「重ね言葉」や、「死」を直接的に表現する言葉などは、「献杯」の挨拶で使ってはいけません。また、宗派によっては「冥土」という言葉も禁句です。

「献杯」は静かに行う

「献杯」は「乾杯」と発音が似ているうえ、儀式の参加者がそろってお酒を口にするという点において同じものです。しかし、「乾杯」の挨拶のようにグラスを打ち合わせて鳴らしたり、拍手をしたりすることはありません。

挨拶の際には、グラスやさかずきを軽く持ち上げながら静かに「献杯」と発声し、合掌もしくは黙祷で締めくります。

「献杯」の挨拶の内容と例文とは?

挨拶は自己紹介から

献杯の挨拶で言うべき内容は故人との関係などによって違いがありますが、おおむね以下のとおりです。

  • 自己紹介(故人との関係)
  • 現在の心境または故人の生前のエピソード
  • 参席者へ献杯唱和のお願い
  • 献杯の発声
  • お礼の言葉

「献杯」の挨拶例文

葬儀での弟の場合

△△の弟の○○でございます。
本日はお忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。 おかげさまで葬儀も無事終えることができ、兄も安堵していることでしょう。 これから皆さんと兄の思い出を語らうひと時をお過ごしいただければと思います。それでは献杯させていただきますので、ご唱和をお願いいたします。
「献杯」
ありがとうございました。

葬儀での上司の場合

〇〇株式会社〇〇部の〇〇でございます。
△△さんは、常に率先して仕事に取り組み成果を上げる頼もしい部下でした。あまりに突然の悲報にただ愕然とするばかりです。ここに故人を偲び、皆様とともに供養の献杯をいたしたいと存じますので、ご唱和をお願いいたします。
「献杯」
ありがとうございました。

法事での長男の場合

本日はお忙しい中、父△△の一周忌法要にお集まりくださり誠にありがとうございました。長男の〇〇でございます。
父が永眠してから一年が過ぎました。この間、皆様方の温かいご支援をいただき、心より感謝いたします。本日はささやかな酒食の席を設けましたので、皆さまとともに父との思い出を語り合いたいと思います。ここで故人の霊に杯を捧げたいと存じますので、ご唱和をお願いいたします。
「献杯」
ありがとうございました。

まとめ

「献杯」の意味と挨拶について、具体的な方法や誰がやるかについて例文もあげて紹介しました。乾杯とは違って「献杯」は故人や遺族への儀式であることから気を遣うものですが、形式を守れば大丈夫です。挨拶を頼まれた場合は、例文を参考にしながら簡潔に行うことを心掛けてください。