「摘要」の意味とは?帳簿での書き方や備考・摘要との違いも紹介

「摘要」は、会計ソフトで帳簿をつけるときなどには避けて通れないものです。しかし、日常会話で見聞きする機会が少ない言葉であるため、どのようなことを記載すればよいのかわかりづらいかもしれません。この記事では「摘要」の意味のほか、帳簿での書き方や備考・適用との違いなどについて紹介しています。

「摘要」とは?

「摘要」の意味は”要点を抜き出したもののこと”

「摘要」の意味は、“要点を抜き出したもののこと”です。読み方は「てきよう」です。「摘要」という語句を構成している文字のひとつである「摘」は、「摘出」という熟語からもわかるように選んで抜き出すことを指しています。

もうひとつの文字である「要」は、”要点”という熟語にみられるように大事な箇所という意味があり、ふたつの文字があわさって、大事な箇所を選んで抜き出すことを表す熟語である「摘要」となりました。

「摘要」は動詞としても使われる

「摘要」は”摘要する”という動詞の形でも使われます。全体の中から重要な個所だけを選んで抜き出すことを指して用いられる言葉です。

書籍や条文などのような長文の全体を読まなくても内容を理解できるようにまとめることをいいますが、必要な個所を短くまとめるためには内容をきちんと把握できる理解力と、的確な文章作成能力が求められます。

「摘要」の帳簿での書き方とは?

摘要欄に書くものは取引の具体的内容

会計業務で作成す帳簿や伝票には、摘要欄が設けられています。この欄に書くべきものは、具体的な取引の内容です。帳簿に記載する「消耗品費」や「現金」などの勘定科目だけでは、取引の具体的な内容まではわかりません。

そこで、その取引がどこで何に対して行われたかを明確にする目的で、取引先の名前や取引内容を書くための摘要欄が設けられているのです。

消費税の控除で必須の「摘要」

消費税法において、消費税の仕入税額控除を受けるためには帳簿の記載事項として以下の項目が求められています。

  1. 課税仕入れの相手方の氏名・名称(取引の相手)
  2. 課税仕入れを行った年月日
  3. 課税仕入れに係る資産又は役務の内容(取引の内容)
  4. 課税仕入れに係る支払対価の額

上記の2と4は帳簿に記載しますが、1と3については摘要欄に記入する必要があります。

領収書で「摘要」に該当するのは「但し書」

領収書には日付と金額のほかに、「但し書」を書く欄があります。ここには「品代」などと書かれていることがよく見られますが、本来は「パソコン1台」などのように具体的な取引内容を書く必要があるのです。

領収書は該当取引が税法上での経費として認められるために必要なものですが、「品代」としか書かれていない領収書では通用しないこともあります。

なお、金銭受理の証明書として認められるためには宛名が必要です。そのため、領収書には「上様」ではなく名前や会社名を記載するようにしなければなりません。

「摘要」と「備考」の違いとは?

「備考」とは参考のために書き添えたもの

「摘要」と似た言葉として、「備考」があります。 参考のための備えとして書き添えるもののことを指しており、具体的には本文の不足を補うために書き記されるもののことです。

履歴書には「摘要欄」ではなく「備考欄」が設けられていますが、ここには履歴書の要点ではなく自分の希望などを書きます。

「備考」は単なる覚え書

「摘要」に書かれた内容は本文の要点をかいつまんだものであるため、一通り読めば概要を理解することができます。

一方「備考」は単なる覚え書にすぎないものであるため、記載されている内容から本文の大意を読み取ることはできません。この点が「摘要」との大きな違いです。

「摘要」と「適用」の違いとは?

「適用」は当てはめて用いること

「適用」は”てきよう”と読む、「摘要」の同音異義語です。「適」はちょうどよいという意味を持つ文字で、「適切」という熟語からも意味合いが読み取れます。

用いるという意味の「用」とあわさって、ちょうどよいように当てはめて用いることを指す「適用」という語句となりました。

つまり「適用」は”摘要”と意味がまったく異なっており、読みに惑わされて混同しないように注意する必要があります。

「摘要」の類語と英語表現とは?

類語①「要旨」とは論文の要点をまとめたもの

「摘要」と似た意味を持つ言葉として、“要旨”があげられます。「要旨」は述べられていることの大切な内容という意味の言葉で、熟語に使われている「旨」は「内容」という意味合いです。主に発表や論説などに対して用いられ、箇条書きにされることもあります。

類語②「大意」とはあらすじのこと

「大意」は、文章のおおまかな意味のことで、”物語の大意をつかむ”というように使います。箇条書きにすることもある「要旨」とは違い、「大意」はあらすじという意味合いが強い言葉です。なお「大意」は「大志」の同義語でもあり、雄大な考えという意味もあります。

「摘要」の英語表現は”digest”

「摘要」の英語表現「digest」の元の意味は”消化する”ということです。「物語や文章を要略したもの・内容をかみ砕いたもの」ということを指す英単語です。

カタカナ語としてのダイジェストは、内容を短くまとめたものや数多くのものの内容をピックアップしたもののことを指しています。

まとめ

「摘要」の意味のほか、帳簿での書き方や備考・適用との違いなどについて紹介しました。「摘要」は、他人が見ても内容が理解できることが必要です。

特に会計業務で「摘要」をしっかり書いておくことは、税務調査が入ったときの備えとして大切なことといえます。漏れや抜けのない「摘要」のためには、テンプレートを作って機械的に埋めていくようにすると作業が簡単になるでしょう。