「堪える」の意味と読み方とは?「耐える」との違いや類語も解説

「堪える」は話し言葉でもよく使われているため、日常的に見聞きすることの多い言葉です。しかし読み方が複数あるため、使い分けに迷うことがあるかもしれません。この記事では「堪える」の読み方ごとの意味のほか、「耐える」との違いや類語についても紹介していおり、「堪える」の用法を深めるために理解役立つものです。

「堪える」の意味と読み方とは?

「堪える(こたえる)」の意味①耐えられないほど苦しいこと

「堪える」の意味は、“我慢しているけれどもう耐えきれないほど苦しいこと”です。この場合、読み方は「こたえる」となります。「持ち堪える・踏み堪える」というように他の動詞とともに用いられることも多くあります。

なんとかやっと我慢してその状態を保っているというニュアンスで、ただ我慢しているというより厳しい状況を指すものです。

なお、「堪える(こたえる)」の否定形となる”堪えられない”は我慢できないという意味ですが、「堪えらない旨さ」というように、この上なく素晴らしいという意味でも使われます。

「堪える(こらえる)」の意味②我慢し続けること

「堪える」の意味は、“我慢し続けること”です。この場合、読み方は「こらえる」となります。「涙を堪える(こらえる)」というように使います。

「こたえる」には”骨身に堪える”というように、ダメージが心身の奥深くまで染み入っているニュアンスがありますが、「こらえる・たえる」はそこまでには至っていません。

また、「堪えない」という否定の形で用いることもよくあり、「見るに堪えない」は「見ることに我慢できない」=「とても見ていられない」という意味です。

「堪える(たえる)」の意味③優れている

「堪える」を”たえる”と読む場合も、「苦痛に堪える(たえる)」というように我慢するという意味合いで用いられています。しかし「大人の鑑賞に堪える」という場合には、大人の審美眼に充分対応できるという意味合いがあるのです。

「堪」という文字には、”たえる・こらえる”という意味のほかに、「堪能」という熟語からもわかるように”うちかつ・すぐれている”という意味もあります。能力があるから負担にたえられるということは、我慢できるということにもつながっているわけです。

なお、否定・肯定のいずれも同じ意味合いになる用法として、大いに感動したことを表す「感に堪える・堪えない」があります。

「堪える」の読み方は3つある

「堪える」の読み方には、以下の3つがあります。

  • こたえる
  • こらえる
  • たえる

読み方によって意味合いが変わってきますが、文書で見る場合には音の区別ができないため、前後の文脈から読み解く必要があります。

なお、「こたえる」は「堪える」のほかに「応える・答える」と書くことができます。それぞれに意味が違っているため、書き間違えないように注意しなければなりません。

「堪える」と「応える」「答える」との違いとは?

「応える」は相手からの働き掛けに応じること

「応える」とは、相手からの働き掛けに応じることを表した言葉です。「期待に応える」というように用いられることや、「反応・対応」という熟語からも「応」という文字が持つ意味合いがわかります。

「応える」にはもうひとつ意味があり、刺激・衝撃などを強く感じるということも指しています。耐えられないほど苦しいことという意味の「堪える」に近いのはこの用法で、「骨身に堪える」は「応える」で置き換え可能です。

「答える」は返事をするということ

「答える」は返事をすることと、問いに対して自分の考えや意見を述べることを指した言葉です。「答える」の英語表現である「answer」や「回答」や「答弁」という熟語からも、外からの問い掛けに対して返事をするという基本的な意味合いがうかがえます。

「堪える」と「耐える」との違いとは?

「耐える」に優れているという意味はない

「耐える」とは、”こらえる”という意味をもつ言葉です。身体的・精神的な苦痛に負けずに忍耐し続けることを指しているため、「堪える」を”こらえる・たえる”と読む場合の言い替えとして使うことができます。

しかし「耐える」には、”堪える”のような優れていることを表す意味合いがないため、混同しないように注意が必要です。

「堪える」の類語とは?

類語①「堪忍」は耐え忍ぶこと

「堪忍」は”かんにん”と読みます。「我慢する」という意味で、もう我慢できないことを表す「堪忍袋の緒が切れる」という慣用句でお馴染みの言葉です。

「堪忍」には”許す”という意味もあり、相手に許しを請う時に「堪忍してください」というように用いられます。

類語②「辛抱」は辛いことに耐えること

「辛抱」は”しんぼう”と読み、辛いことや苦しいことに耐えることを表しています。「辛棒」と書くこともありますが、もともとは「心法」と書かれた仏教用語で、”心を修める方法”という意味でした。

ただ辛いことに耐えるだけでなく、自らの心を自在にコントロールするというポジティブな意味合いがあったのです。

まとめ

「堪える」の読み方とそれぞれの意味のほか「耐える」との違いや類語についても紹介しました。何かを成し遂げようとするとき、右肩上がりにうまくいくことはまれです。

さまざまな困難や苦労にみまわれると堪えて(こたえて)しまうこともあるでしょう。堪える(こらえる・たえる)ことは辛いことですが、目的地に到達できたときの喜びはそれを上回るはずです。