「柔和(にゅうわ)」は人の優しさや表情を表す言葉です。漢字の印象から「じゅうわ」と誤った読み方をしているケースも多いため、使う際には注意したいワードでもあります。
この記事では「柔和」の意味や読み方、使い方の例文を紹介します。類語・対義語も参考にしてください。
「柔和」の意味とは?
「柔和」の意味は「やわらかで優しいことやさま」
「柔和」の意味は、“人の性質や表情・言動などがやわらかで優しいことやその様子”です。熟語に用いられている「柔」という文字が持つ”やわらかい・やさしい”という意味は、「柔軟」や「温柔」という言葉からも読み取れます。
もう一つの文字である「和」も、”なごやか・おだやか”というように「柔」と同じ意味合いがあり、同じ意味の言葉を重ねて強調した「柔和」という語句が形成されているのです。
「柔和」の読み方は「じゅうわ」ではなく「にゅうわ」
「柔和」の読み方は“にゅうわ”です。「柔軟」のほか「柔道・懐柔(かいじゅう)」など、「柔」という言葉を用いた語句はたくさんありますが、そのほとんどが「じゅう」と読むものとなっています。
四字熟語の場合も「外剛内柔(がいごうないじゅう)・優柔不断(ゆうじゅうふだん)」などのように、「じゅう」と読ませるものが大半です。そのため、「柔和」も「じゅうわ」と読んでしまいがちになるのでご注意ください。
「柔和」を「にゅうわ」と読む理由
「柔」の読み方には、呉音の「ニュウ」と漢音の「ジュウ」があります。このような読みわけは「人」の”ニン・ジン(人間・人類)”、「然」の”ネン・ゼン(天然・自然)”などにも見られ、前者が呉音で後者が漢音です。
どちらを使うかに厳密な法則はないため、「柔和」は「にゅうわ」であると覚えることが早道でしょう。
「柔和」の使い方と例文
「柔和」は人を模したものにも使える
「柔和」は、人に付随する性質や表情などに用いますが、仏像や絵画などのような人を模したものに対しても使うことができます。たとえば、「阿弥陀仏の柔和な表情に癒される」「モナリザのまなざしはとても柔和である」といった用法です。
「柔和」を使った例文
- 和尚の柔和なお顔を拝していると、自然と心が落ち着いてくる。
- 私が悪戯をしても、祖母は叱ることなく柔和なまなざしを注いでくれた。
- 傍若無人なお客を前にしても、店長は柔和な態度を崩すことはなかった。
- 接客業において柔和さは、女性だけでなく男性にも求められる性質だ。
「柔和」の類語
「温厚」とは人柄が温かく穏やかなこと
「柔和」の類語として“温厚”をあげることができます。人柄が温かく穏やかなことやその様子を指す言葉で、「温厚篤実」という熟語にも用いられているものです。
行動に対しても使われる「柔和」とは違い、「温厚」では人柄や性格に限定して使われることです。たとえば「柔和な眼差し」を「温厚な眼差し」と言い替えることはありません。
「温和」とは穏やかで落ち着いているさまのこと
「温和」とは、穏やかで落ち着いている様子のことを表した言葉です。やわらかで優しいことやさまのことをいう「柔和」や「温厚」と似た意味を持っていて、「柔和な性格」を「温和な性格」と言い替えることができます。
「温和」は「温和な気候」というように、人以外の性質を表すときに使うこともできるという点が、「柔和」や「温厚」とは異なっていることにご注意ください。
「穏健」とは言動や考えが穏やかなさま
「穏健(おんけん)」とは、言動や考え方がおだやかで安定しているさまを表した言葉です。「柔和」や「温厚・温和」との違いは、「穏健」が性格ではなく言動や考えに対して使われるという点です。たとえば「柔和な性格」を「穏健な性格」と言い替えることはできません。
「柔和」の対義語
「粗暴」とは性質や動作が荒々しいことやさま
「粗暴」とは、性質や動作が荒々しく乱暴なことや様子を表した言葉です。「粗暴な振る舞い・粗暴な男」というように使い、性質や物腰・言動などがやわらかで優しいことやさまを表す「柔和」と、ちょうど反対の意味合いがあります。
「辛辣」とは表現や見方が手厳しいさま
「辛辣」とは”しんらつ”と読み、表現や見方が手厳しいことを表す言葉です。言い方や内容がきつく、言われた側がたじろいだり傷ついたりするほどに否定的であることがよくみられます。
「辛」は辛い、「辣」はヒリヒリするほど辛いという意味があり、「厳しい・きつい」ということも指している文字です。
「険悪」とは表情や性質がとげとげしいこと
「険悪」とは、人の表情や性質がとげとげしいことを指した言葉です。「けわしい・きびしい」ということを表す「険」と、「よくない」ことを表す「悪」があわさってできています。
また「険悪な関係」というように、状況が悪化して油断できないことを表したいときにも使うことができる言葉です。
まとめ
「柔和」の意味や類語・対義語をはじめ、読み方や例文などについて紹介しました。「柔」の読み方さえ覚えておけば、意味については容易に理解できます。
また「柔和」は人に対して使いますが、仏像や絵画のような人の表情を写したものにも使えることも押さえておきたいポイントです。