「百戦錬磨」の意味と使い方とは?類語・対義語や英語表現も解説

「百戦錬磨」はビジネスの場や日常生活だけでなく、ゲームにまで用いられている言葉です。しかしよく見聞きする言葉は何となくわかっているようで、正確な意味や使い方などがあいまいなままになっていることが多々あります。この記事では、「百戦錬磨」の意味と使い方のほか、類語・対義語や英語表現も紹介しています。

「百戦錬磨」の意味と使い方とは?

「百戦錬磨」の意味は”数多くの戦いで鍛えられること”

「百戦錬磨」の意味は、“数多くの戦いによって様々な経験を積み重ね、戦闘の技術や能力が鍛え上げられること”です。

100回の戦いということではなく数が多いことを指した「百戦」と、練り上げ磨くという意味の「錬磨」とがあわさって、熟語を構成しています。なお「錬磨」の「錬」はきたえるという意味の 文字ですが、習熟するという意味の「練」を用いることもあります。

戦闘以外にも使われる「百戦錬磨」

「百戦錬磨」は、もともと実際に武器を取って行う戦闘に由来する四字熟語です。 しかし時代が下るにつれ、ビジネスやスポーツなどにおける困難や危機を戦闘になぞらえて用いられるようになりました。

様々な局面に立ち向かうなかで、数多くの経験を重ねて人格や能力が磨き上げられますが、このような状態を表す言葉として「百戦錬磨」がしばしば登場します。

「百戦錬磨」を使った例文

「百戦錬磨」を使った例文をご紹介しましょう。

  • うちの営業部長は百戦錬磨のつわものだが、どこから見てもそうは見えない。
  • わが社の社員は数こそ少ないが、いずれも百戦錬磨のベテランぞろいだ。
  • 対戦チームは百戦錬磨の優勝候補だが、最後まで全力で喰らいついていこう。

「百戦錬磨」の類語とは?

類語①「千軍万馬」とは人生経験が豊富な人のこと

「千軍万馬」は、”せんぐんばんば”と読みます。人生経験が豊富な人のことを指した、「百戦錬磨」の言い替えに使うことができる言葉です。

もともとは規模の大きな軍隊のことを表した四字熟語で、軍隊に勢いがあることを指す場合もあります。そこから、大規模な軍隊で様々な戦闘や苦難を重ね、経験豊富な人材となった人のことを表すようになりました。

同じ意味合いの四字熟語として、「千兵万馬(せんぺいばんば)」がありますが、こちらも「万馬」を「まんば」と読み誤らないように注意が必要です。

類語②「飽経風霜」とは苦労して世渡り上手になったこと

「飽経風霜(ほうけいふうそう)」とは、飽きるほど苦難を経験して世渡りの上手さを身につけたことを表した言葉です。

「飽経」は飽きるほど何度も経験することを、「風霜」は世の中の苦労や試練のことを指しており、両方があわさって熟語を形成しています。

なお、「飽経風霜」は経験の豊富さよりしたたかであることを強く表しているため、使う場面に注意したい言葉です

類語③「海千山千」とは世の中を知り尽くしていること

「海千山千(うみせんやません)」とは、様々な経験を積み重ねて世の裏も表も知り尽くしているという意味の言葉です。とくに異性関係における経験が豊富であることに対して用いられる場合が多い言葉といえます。

なお「飽経風霜」と同様に、「海千山千」は熟練という意味よりは狡猾さが表に立つため、ややネガティブなイメージをもたれがちです。

「百戦錬磨」の対義語とは?

「浅識非才」とは修行が足りず能力が乏しいこと

「百戦錬磨」の直接的な対義語はみあたりませんが、「浅識非才(せんしきひさい)」は経験が浅く能力が乏しいことを表した、「百戦錬磨」とは反対の意味を持つ四字熟語があります。

「浅識非才」は学問や知識に対して用いられるという点と、 自分のことを謙遜していう言葉であるという点に注意する必要があります。なお、「浅学短才(せんがくたんさい)」は「浅識非才」とほぼ同じ意味合いの言葉です。

「口尚乳臭」は未熟で無知な若者のこと

「口尚乳臭(こうしょうにゅうしゅう)」は「口尚乳臭し」ともいわれる、まだ経験が足りないため未熟で世の中のことをわかっていない若者を指した四字熟語です。

経験豊富で熟達していることを示す「百戦錬磨」とは逆の意味を持った言葉で、「乳臭い」という言葉は、まだ乳離れしていないということから比喩的に幼稚さや未熟さを表しています。

「百戦錬磨」の英語表現とは?

英語表現①「veteran」は老練・老巧という意味

「百戦錬磨」の英語表現として、“veteran”があげられます。

「veteran」は”ベテラン”とカタカナ表記されて日本語のなかでもよく用いられており、その道に長く携わって熟練していることを表した言葉です。なお、英語では退役軍人のことも指しています。

英語表現②「expert」は熟練者・専門家という意味

「expert」は”熟練者・専門家”という意味で、日本でもカタカナ語の「エキスパート」として広く用いられている言葉です。

英語の「veteran」は一定の年齢を経た人に対して用いられますが、「expert」では年齢より専門性や技量の高さにウエイトが置かれています。

まとめ

「百戦錬磨」の意味と使い方のほか、類語・対義語や英語表現などについて紹介しました。経験を重ねることによって技量を高めていくことができるか否かは、本人の自覚に負うところが大きく、一回ごとの経験から何かを得ようとする貪欲さが必要でしょう。キャリアの長さに見合う能力を身に着けたいものです。