「弄る」の意味とは?別の読みや言い換えできる類語も例文つきで

「弄る(いじる)」という言葉は、テレビのお笑い番組だけでなく日常生活のなかでも耳にします。「弄る」は別の読み方で「まさぐる」とも読めるため、誤解を避けるために「いじる」とひらがなで書かれることも多いものです。この記事では「弄る」の意味のほか、使い方と言い換えできる類語を例文つきで紹介します。

「弄る」の意味とは?

「弄る(いじる)」の意味は”軽くさわる”こと

「弄る」の意味は、“しっかりとした目的や必要なしに接触する”ことです。

ここから「もてあそぶ・趣味として行う・なんとなくものごとを改変する」という意味に展開していて、例文としては以下のようなものがあります。

「弄る(いじる)」の例文

  • 少年は手持無沙汰なのか、しきりに帽子のつばを弄っている。
  • 雨が降らなければ、休みの日は庭を弄って過ごしています。
  • 気まぐれにタイムテーブルを弄られて、大変迷惑をしている。

「弄る」には”人をからかう”という意味も

「弄る」には、“人をからかって困らせる”という意味もあります。落語家や役者が、舞台上から観客に話しかけて笑わせることで場の雰囲気を和らげる「客いじり」が由来です。

「弄」という文字には、”いじくる・まさぐる・たわむれる”のほか、「あなどる・からかう」という意味もあり、「人をからかう」ことを指す用法では、後者の意味が反映されています。

「弄る」がいじめになることも

相手を「弄る」ことで親密さを増したいと考えていても、相手が不快に感じていることもあります。相手が苦痛に思う状態なら、もはや「弄る」の範囲に収まらずいじめやパワハラに該当するようになってるでしょう。

「そんなつもりはなかった」で済まなくなるリスクを考えると、相手を「弄る」のはほどほどにしておいたほうが賢明です。

「弄る」の読み方は”いじる”

「弄る」の読み方は“いじる”です。「弄」は音読みで「ロウ」、訓読みでは「いじる(弄る)」の他に、「もてあそぶ(弄ぶ)」「いじくる(弄くる)」「たわむれる(弄れる)」など複数の読み方があります。

「弄る」は別の読み方で「まさぐる」とも読みますが、この場合は意味が異なります。「まさぐる」は次で解説します。

「弄る(まさぐる)」の意味は?

「まさぐる」の意味は「手先でさわって探す」

「弄る」は”いじる”のほかに、「まさぐる」という読み方もできます。「ポケットの中を弄る(まさぐる)」というように、目で見て確認しながらではなく、手の先でさわった感触を頼りに目的のものを探すときに使う言葉です。

なお「まさぐる」は、表面に現れていないものを探り当てるという意味合いから、「記憶をまさぐる」というように実際に手で触れることのできないものに対しても用いられます。

指先でさわることも「まさぐる」

「弄る」という言葉は、”まさぐる”と読んでも「いじる」と読んでも指先でさわることを表します。

しかし、「まさぐる」にはポケットの中のような奥まったところにあるものをさぐるというニュアンスがあるため、「ネクタイを弄る(まさぐる)」というような言い回しはしません。

「まさぐる」には”からかう”という意味はない

「弄る」を”まさぐる”と読む場合、「いじる」のような相手との距離を縮めるために軽くからかうといった意味はふくまれません。

漢字で書くなら見分けがつきませんが、話し言葉で用いるときには明確に区別しなければならないため、注意が必要です。

「弄る」はひらがな表記がわかりやすい

「弄る」は読み方が”いじる・まさぐる”の二通りあります。加えて次の章で解説するように、送り仮名次第で読み方がまったく違ってくる言葉です。

そのため文字で表す場合には、「いじる・まさぐる」というようにひらがなで表記したほうが相手に伝わりやすくなります。

「弄る」の言い換えにできる類語とは?

「茶化す」とは冗談めかしてからかうこと

「茶化す」とは、冗談めかして相手をからかったり、ごまかしたりすることを指した言葉です。

「彼には新人を弄って楽しむ悪い癖がある」というように、相手をからかうという意味で「弄る」を用いている場合、「茶化す」を言い換えとして使うことができます。

「揶揄」とは相手を馬鹿にしてからかうこと

「揶揄(やゆ)」も相手をからかうという意味で用いられており、「弄る」の言い換えとして使える言葉です。熟語に使われている「揶」と「揄」はともに「からかう」ということを示す文字で、二つをあわせて意味を強調しています。

「揶揄」でのからかいは、皮肉や嘲笑をこめて相手を貶めるものです。したがって「弄る」と同様に、程度や相手の気持ちをわきまえておかないと重大な問題を引き起こすおそれがあるため、ご注意ください。

「弄ぶ」の意味とは?

「弄」の読みとしては”もてあそぶ”が一般的

「弄」を使った語句で、「弄る」とは異なる送り仮名を使うものとして「弄ぶ」がありますが、この場合の読み方は「もてあそぶ」です。

「いじる・まさぐる」と読むときと同様の”手でいじる”という意味もありますが、それ以外にも次のような意味合いがあります。

「弄ぶ(もてあそぶ)」の意味と例文

  • 心の慰みとする:骨董品を弄ぶ
  • 思いのままに操る:言葉を弄ぶ
  • なぶりものにする:人の気持ちを弄ぶ

「弄ぶ」にはネガティブなイメージが

「弄」という文字から思い浮かぶ読み方は、「いじる」より「もてあそぶ」のほうが一般的です。

「もてあそぶ」は遊び半分でなぶりものにするという意味で使われることが多いため、ネガティブなイメージを持たれる傾向が強い言葉といえます。

まとめ

「弄る」の意味のほか、別の読みや言い換えできる類語も例文つきで紹介しました。人をからかうということは、人間関係におけるスパイスのようなものですが、ほどほどにしないと台無しになってしまいます。

相手との関係性を考慮したうえで、手加減しながら使うという上級テクニックが求められるため、迂闊に手出ししないことをおすすめします。