「書評」は新聞だけでなくネット上でもよく見かけるもので、本を選ぶとき参考にしているという方も多いでしょう。しかしいざ自分で書くとなると、どう書けばよいのか悩んでしまうかもしれません。この記事では「書評」とは何かについての解説と、ブログや大学のレポートでの「書評」の書き方についても紹介しています。
「書評」の意味とはそもそも何か
「書評」の意味は本の紹介文
「書評」とは、書籍の内容について紹介したり評価したりする文章を指した言葉です。
従来は新聞の紙面で新書の書評をよく見かけていましたが、現在ではインターネットの普及によって、ブログや書籍を販売するサイトなどでも目にするようになりました。
「書評」の英語表現は「book review」
「書評」の英訳は「book review」です。書籍を指す「book」と批評・批評という意味の「review」があわさってできており、日本語の「書評」と同じ成り立ちとなっています。
「review」という単語の成り立ちは「再び(re)よく見る(view)」で、ここから「批評する」「よく調べる」という意味合いが生じました。
「書評」の書き方で注意すべきポイント
「書評」は「感想文」ではない
ときおり「書評」を「感想文」と混同しているケースがみられます。確かに「感想文」も、本の内容や評価を記述したものです。
しかし「感想文」では自分の主観を展開すればよいのですが、「書評」では書評を読む人にとってその本が読むに値するものであるかどうかの判断基準となる情報を記述する必要があります。
なお「書評」内の書籍からの引用個所は、「」でくくるなどして明示しなければなりません。
「書評」の内容紹介でネタバレは禁忌
「書評」では書籍の内容を紹介しますが、ここでネタバレになってしまってはいけません。
特に小説の「書評」で結末がわかってしまうと、その本を買って読もうという意欲が薄れてしまうこともあり得ます。内容の紹介については、もっと読んでみたいと思わせる匙加減が肝心です。
「書評」のブログでの書き方
「書評」の評価は客観的に
一般的に「書評」の評価は、客観的に記述することが望ましいものです。読者に判断基準を提供するというスタンスで、自分の好き嫌いや思想・信条に偏りすぎないよう注意して書きます。
特に書籍の販売を目的としての「書評」では、売らんがためのの「まれにみる名著」というような過剰評価をしがちなので気を付けましょう。
「書評」の構成要素は「紹介」と「評価」
「書評」を構成する柱は、書籍の「紹介」と「評価」です。「紹介」では書籍の内容だけでなく、著者の経歴や書籍が書かれた時事的な背景にも軽くふれておくとよいでしょう。
「評価」では自分の感想や得られた知見のほか、どのような読者におすすめできるかなどを書きます。
ブログでの「書評」は個性を出してもよい
客観性を重んじる「書評」ですが、個人が運営している書評ブログの場合なら書き手の個性を感じられるものがよいでしょう。
本は読む人によって受け止め方が違い、読む人がそれぞれ持っているものの見方が反映されるものですが、ベストセラーの「書評」では似たような内容が数多く公開されています。
そのなかで「こんな視点があったのか」というようなユニークな「書評」に対しては、読者からのリアクションも期待できるでしょう。
読者を裏切らない「書評」を
個性を出すということを取り違えて自分の意見ばかりを並べてしまうと、「感想文」になってしまいます。
あくまでも、「書評」は本を紹介するためのものという点を外さないようにしてください。
加えて、読者が対象書籍を読んだときに「イメージ通りだった」と思えるような「書評」であれば、数多くの読者からの信頼を勝ち得ることができるようになるはずです。
「書評」の大学でのレポートの書き方
大学の「書評レポート」はレビュー論文ではない
大学の課題として、書評を小論文にまとめた「書評レポート」を出されることがよくあります。
なお、前の章で「書評」の英語表現は「book review」と紹介しましたが、先行論文の徹底的な分析・総括を指す「レビュー論文」と「書評レポート」はまったく別のものです。
レポートは「序論・本論・結論」の形式で
「書評レポート」であっても、大学で課題として提出するレポートであれば「序論・本論・結論」の形式を踏襲します。
「本論」で「書評」を展開しますが、書籍を叩き台にして自説を論じるというような課題の場合には、「書評」ではなく論文を書くつもりで内容を組み立てることになります。
また、一冊の書籍ではなく複数冊を比較した「書評」を書くような課題が出されることもありますが、課題図書が同一著者の書籍であるか否かによって論点が違ってくる点にも注意が必要です。
まとめ
「書評」の意味のほか、ブログや大学でのレポートの書き方も紹介しました。「感想文」と混同されがちな「書評」ですが、第三者に書籍の紹介をするためのものと理解することと、「書評」を書く目的を明確にしておくことによって、適切な「書評」をスムーズに書き進めることができるでしょう。
また「書評」を書くことによって、読了後の定着率を高めることができるという「余禄」も期待できるので、チャレンジしてみられてはいかがでしょうか。