「退社」と「退職」の違いは?履歴書や挨拶・電話での使い方も

「退社」という言葉は、日頃会社を後にするときなどによく使う言葉です。しかし会社を辞めるという意味もあるため、「退職」との違いを意識した使い分けが必要となります。この記事は「退社」と「退職」の違いのほか、履歴書や挨拶、電話・メールなどの用例をあげており、使い方への理解が深まる内容となっています。

「退社」と「退職」の違いは?

「退社」とは会社を辞めること

「退社」の意味は、会社を辞めることです。履歴書の職歴にはしばしば、「一身上の都合により〇〇会社を退社」というように書かれています。

熟語に使われている「退」という文字は、訓読みの「しりぞく」「のく」「ひく」からわかるように、「あとずさる」「去る」「やめる」という意味を持つものです。

つまり「退社」は、文字の意味においても会社を辞めるということを示していることが表れています。

「退社」には帰宅するという意味も

「退社」は会社を出て帰宅するという意味でも使われており、この場合の「退」は「去る」という意味合いで使われています。

会社を辞めてもう戻ってはこないということではなく、その日には会社に戻ってこないということを指しているのです。

「退職」の意味は「仕事を辞めること」だけ

会社を辞めることを指して用いられる「退社」の類語として、「退職」があります。「退職」は「職を退く」ということを表した熟語で、仕事を辞めるという意味です。

「退社」との違いは「帰宅する」という意味はないことと、会社員ではない職業の人も使うことができるという点にあります。

履歴書での「退社」と「退職」の使い方

履歴書では「退社」が一般的

履歴書の職務経歴欄に仕事を辞めたことを記載するときには、「退社」と書くことが一般的です。しかし公務員や銀行員などのような「職員」の場合、「退社」ではなく「退職」と書きます。

なお会社員が会社に入ったことを「入社」と表現しますが、公務員では「奉職」、銀行員なら「入行」という表現を使います。

自己都合以外は「退職」とすることも

希望退職に応じるケースや契約期間の満了で仕事を辞めるようなケースのような、自己都合以外の理由で仕事を辞めるときには、「退社」ではなく「退職」とするほうが適切とする考え方があります。

しかし履歴書には仕事を辞めた理由をきちんと書くことが求められているため、「退社」「退職」のいずれの語句を用いるか以上に、理由を正確に書くことが重視されているのです。

アルバイトでは「退社」が適切

アルバイト歴を新卒以外の履歴書で記載することは通常ありません。しかし、職歴が少ない場合やアルバイト以外の職歴がないケースではアルバイト歴を記載し、用いる語句としては「退社」が適切です。

アルバイトは「就職」には当たらないため、職を辞するという意味合いの「退職」ではなく、会社を去るという意味合いの「退社」のほうがふさわしいといえるためです。

挨拶での「退社」と「退職」の使い方

口頭での挨拶の場合はどっちを使っても構わない

たとえば、会社員の方が仕事を辞める旨を挨拶として口頭で伝えたいという場合には、「退社」と「退職」のいずれも用いることができます。

会社から出るとき社内の人にひと声掛けたいときなど「今日はこれで退社する」と言いますが、会社を辞めるという意味合いかどうかはシチュエーションから理解できるので、混同されることはまずありません。

「退職」の挨拶は直接伝えたい

仕事を辞める場合は、「退社」と「退職」の使い分け以上に、取引先やお得意様に自分で直接退職の挨拶を行うことが重要です。訪問できない場合はメールや手紙で伝えますが、必要な項目は以下のとおりです。

  • 退職日(最終出社日)
  • 後任について
  • お世話になったお礼

後任については、可能であれば取引先やお得意様に直接引き合わせておくとよいでしょう。

メールで挨拶する場合には件名にはっきりと「退職のご挨拶」と記載し、本文に必要な項目を記入したうえでご挨拶に伺えなかったことへのお詫びを添え、結びの言葉で締めくくります。

電話での「退社」と「退職」の使い方

電話対応で必要な「退社」と「退職」の使い分け

電話対応では、「退社」と「退職」を使い分けることをおすすめします。担当者が不在で今日はもう会社に戻らないような場合は「本日〇〇はすでに退社しております」と伝えてください。

担当者が会社を辞めている場合には、「〇〇は先月末をもって退社いたしました」ではなく、「退職いたしました」と伝えれば誤解を招くことはありません。

会社に戻らない意味での「退社」の類語は「退勤」

会社を出て今日はもう戻らないという意味での「退社」は、「退勤」という語句で言い換えることができます。「退勤」とは仕事を終えて職場を出ることを表した言葉です。

厳密にいうと、「退社」は営業など社外で仕事をするために会社を出る場合に用います。そのため会社を出た時間が「退社時間」、仕事を終えた時間が「退勤時間」となるのですが、勤怠管理業務以外では「退社」と「退勤」を同じ意味合いで使っています。

まとめ

「退社」と「退職」の違いのほか履歴書や挨拶、電話・メールでの使い方についても解説しました。仕事を辞めるときには「退社」ではなく「退職」を用いた方が誤解を受ける恐れがないため、おすすめです。

新天地で気持ちよく活躍するためには円満な退職を心掛けたいもので、記事の内容がそのためのお役に立てたなら幸いです。