「後期高齢者医療制度」の「保険証」有効期限や自己負担割合は?

75歳を迎えると国民健康保険や被用者保険から脱退し「後期高齢者医療制度」に加入します。保険証はどのように入手するのでしょうか?申請手続きは必要なのでしょうか?高齢の家族がいて気になっている人も多いようです。

この記事では、「後期高齢者医療制度」の保険証の仕組みや取り扱いについて解説します。あわせて医療機関等にかかって保険証を使う際の自己負担額(医療費の負担割合)についても解説しています。

「後期高齢者医療制度」の保険証はいつ送付される?

75歳の誕生日の前日までに保険証が送付される

「後期高齢者医療制度」は、75歳以上の全ての人が加入する独立した医療制度です。75歳の誕生日を迎えると、それまで加入していた国民健康保険や被用者保険(きょうかい健保や健保組合など)から脱退し、広域連合が運営する後期高齢者医療制度に加入することになります。被保険者証は住民票のあるお住まいの市区町村から送付されます。

加入にあたっては、申請手続きは必要なく、75歳の誕生日を迎える前日までに住民登録のある住所に保険証が送付されます。

紛失した場合は市区町村の窓口で再発行できる

保険証を紛失または破損した場合は、市区町村の後期高齢者医療制度窓口にて、再発行を依頼できます。その際は身分証明書の提示等が必要です。本人以外が申請に出向く場合は委任状が必要です。

保険証は市区町村が管理し、広域連合が保険料の決定を行う

後期高齢者医療制度の運営は、広域連合と市区町村が共同して行っています。広域域連合とは、都道府県ごとに設立される特別地方公共団体の一つで、被保険者の認定や、保険料の決定、医療費の給付などを行っています。市区町村は、被保険者証の管理や保険料の徴収、被保険者からの各種の申請などの受付を行っています。

「後期高齢者医療制度」の保険証の「有効期限と更新方法」は?

有効期限は1年だが自動的に更新される

「後期高齢者医療制度」の保険証の有効期限は1年となっています。原則として毎年8月に更新され、有効期限満了までに新しい保険証が市区町村より送付されます。

有効期限が経過した保険証は使用できなくなりますが、破棄する際はクレジットカードと同じように裁断して破棄することが推奨されています。あるいは窓口に返却します。

転居する場合には、保険証の住所変更や返却手続きが必要

有効期限内にお住まいの市区町村から転居する場合、保険証の住所変更をしたり、返却するなどの手続きが必要です。

同じ市区町村で住所が変わった場合は、今お住まいの役所窓口で住所変更を行います。県外への転出・転入や、同じ都道府県内でも市区町村が変わった場合は、まず保険証の返却をして、新しい住所の役所で新しい保険証を受け取ります。

また、一部負担金(医療機関等にかかった時の窓口での自己負担割合)に変更があった場合には新しい保険証が再発行・送付されます。「後期高齢者医療制度」医療費の窓口における自己負担割合については次に解説します。

「後期高齢者医療制度」窓口における医療費の負担割合は?

原則「1割」、現役並み所得者は「3割」の自己負担

「後期高齢者医療制度」において、医療機関等にかかった場合に窓口において支払う医療費のうち、自己負担額の負担割合は原則として「1割」負担となりますが、現役並み所得者は「3割」負担となります。いずれも負担の上限額が設けられています。

住民税非課税世帯や低所得者世帯も負担は1割ですが、負担の上限額が低く設定されています。詳しくは下記の記事でくわしく解説しています。

◆参考記事
「後期高齢者医療費制度」自己負担割合と上限は?財源も解説

「後期高齢者医療制度」被保険者が支払う保険料は?

保険料は所得に応じた額を個人ごとに負担する

医療機関等にかかった際に窓口で支払う医療費の自己負担金とは別に、被保険者は毎月の保険料も支払います。

保険料は、それぞれの所得に応じて負担する「所得割額」と、被保険者全員が負担する「均等割額」との合計額です。均等割と所得割は半分ずつになるように設計されています。低所得者には所得割額が軽減されます。

参考までに、厚生労働省の資料によれば、所得割のかかる被保険者の平均的な年金収入は令和2年度で341万円で、その年間保険料は21.4万円となっています。

また、保険料負担のバランスを取るために年間保険料には賦課限度額が設けられています。制度発足時の平成20年度の限度額は50万円でしたが、徐々に引き上げられ、令和1年には62万円、令和2年度にはさらに2万円引き上げられ64万円となっています。

保険料率は2年ごとに改定されている

保険料は、後期高齢者医療広域連合が個人の所得等に応じて決定し、2年ごとに保険料率を改定しています。あわせて毎年、世帯の所得に応じて設けられた保険料軽減措置も見直されています。

なお、保険料は原則として年金から天引きされます。保険料については下記の記事でくわしく解説しています。

◆参考記事
「後期高齢者医療制度の保険料」はいくら?計算方法や保険料率も

まとめ

後期高齢者医療制度の保険証は75歳の誕生日の前日までにお住まいの住所(住民票のある住所)まで送付されてきます。保険制度に加入するための申請手続きは必要ありません。

外来・入院費の窓口負担は原則としてかかった医療費のうち1割を負担します。現役並みの所得がある人は3割を負担します。

「後期高齢者医療制度」は都道府県ごとに設置された広域連合と市区町村が運営していまます。窓口は市区町村となりますので、保険証などに関するお問い合わせはお住まいの市町村窓口となります。