「お気遣い」の意味と類語との違い!返事やメールの例文も紹介

「お気遣い」は、ビジネスの場でよく使われている表現です。丁寧な言葉ですが使い方を誤ると相手に対して失礼で、マイナスの印象を与えてしまいます。

「お気遣い」の正しい意味や類語のほか、適切な使い方や言い換えに役立つ例文を紹介しますので、参考にしてください。

「お気遣い」の意味と使い方

「お気遣い」の意味は気をつかうこと

「お気遣い」の意味は、「気をつかうこと」です。

「気遣い」には懸念の意味もあり、「備品が不足する気遣いはない」というように打ち消しの言葉を伴って使われますが、「お気遣い」という用法には懸念の意味は含まれません。

「お気遣い」を要求してはいけない

「お気遣い」は、相手側が主体的に行う行為です。また「お気遣い」は当然行うべきものではなく、「本当はしていただかなくてもよいことを厚意してくださったもの」でもあります。

したがって「お気遣いしていただけますか」というような言い方はしません。ただし「お」を付けずに「気遣い」と言う場合には、「気遣いを忘れてはいけません」といった使い方ができます。

「遣い」と「使い」は区別が必要

「お気遣い」の「遣い」を「使い」と書くのは間違いですが、「気をつかう」のつかうは「使う」が正解です。使い分けのポイントは、名詞形と動詞形のどちらで使われるのかにあります。

また一般的には「使う」を用いますが、気持ちや心の面において工夫する場合には、贈りものという意味合いがある「遣う」を用いるというように区別されます。

パソコンで入力するときには、通常「気遣い」「気を使う」というように変換されますが、手書きするときには間違わないよう注意が必要です。

「お気遣い」は敬語?ビジネスシーンで使える?

お気遣いは「気遣い」の尊敬語

「お気遣い」は心遣い・配慮・懸念を意味する「気遣い」に尊敬を表す接頭辞である「お」を付けたものです。

目上の人には「お気遣いありがとうございます」と使う

ビジネスシーンでは、相手の配慮に対して「お気遣いありがとうございます」とお礼を述べるときや、「お気遣いならさないでください」と相手の負担を軽くしたいときなどによく使われます。

「お気遣い」の類語との違い

「お気遣い」の類語表現は「お心遣い」「ご心配」など

「お気遣い」の類語としては「お心遣い」のほか、「ご心配」「ご配慮」「ご深慮」などがあります。このなかで「お心遣い」は「お気遣い」と一字違うだけの言葉ですが、全く同じように使うと違和感が生じます。

「お気遣い」と「お心遣い」の違い

「お気遣い」は礼儀として意識的に気を回すような場面で使われますが、「お心遣い」は意識せず心から相手を思いやるような場面で使われます。

「温かいお心遣い」とは言いますが「温かいお気遣い」とは言わず、「お気遣いなく」とは言いますが「お心遣いなく」とは言いません。

お金や品物をいただいたときの返事のしかた

金品をいただいたら丁重に返事を

ビジネスの場で金品をいただくことは、しばしば見られます。この場合、受け取ってよい金品であるかどうかを確認したうえで、お気遣いいただいたことへの返事としてお礼の気持ちを伝えることが大切です。

受け取ってはいけない場合には、お気遣いいただいたことについてのお礼に続けて、受け取れない旨を伝えてしかるべき処置をとります。

受け取ってよい場合にはお返しが必要かどうかを確認して、失礼のないように対処します。

金品を差し上げるときは「お気遣いなく」

こちらから金品を差し上げるときには、相手に負担を掛けないように「お気遣いなく」と伝えます。

なお目上の方に対して使う場合には、「お気遣いなく」だけでは失礼にあたります。「どうそお気遣いないようお願いします」や「どうかお気遣いなさらないで下さい」というような言い回しが、相手への敬意を示す表現です。

「お心遣い」の方がふさわしいことも

お礼を伝えるときには「お気遣いに感謝いたします」という言い回しでよいのですが、「お気遣い」を「お心遣い」と言い換えて使うことで、相手からいただいた厚意をより強調できます。

ただし、こちらから金品を差し上げるケースでは、「お気遣いなく」を「お心遣いなく」と言い換えることはできません。相手側が心から差し出す「お心遣い」を断ることは、大変失礼な行為にあたるからです。

「お気遣い」を使ったメールの例文

メールではより丁寧な表現で

「お気遣い」という言葉を使う時、口頭とメールで同じような表現をするとよくありません。

口頭では問題のない言い回しであっても、そのまま文章に表すとぞんざいに感じられることがあるため、「お気遣いなく」というような言い切りや前置きなしでの使用は避けます。

メールは書き言葉で表現

ここでは「お気遣いなく」を例に、メールとしてふさわしい「書き言葉」に変える手順を示します。

例文:どうかお気遣いなどなさいませんよう お願い申し上げます

①「お気遣いなく」の「なく」を尊敬語の「なさいませんように」と言い換える
②冒頭に「どうか」を置いて、丁寧にこちらの希望をお伝えする
③「お願い申し上げます」と丁寧な謙譲語で終える

まとめ

「お気遣い」は相手の厚意に対して使う言葉ですが、儀礼的なシーンで用いられることが多いため、失礼に当たらないよう注意が必要です。また適切な類語を知っておくことで、表現に広がりと深みを添えることができます。

正しい意味を把握して、ビジネスシーンに役立ててください。