「体現」の意味とは?類語「具現」「実現」との違いや例文も解説

「体現」は少し硬い言葉ですが、意味合いは何となく理解できるものです。しかし「具現」や「実現」との違いについてはっきり説明できるほどには、意味をつかめていないかもしれません。この記事では「体現」の意味について、例文・類語とともに「具現」や「実現」との違いを交えながら詳しく解説しています。

「体現」の意味とは?

「体現」の意味は具体的な形にすること

「体現(たいげん)」とは、思想や観念などのような形がないものを具体的な形としてあらわすことを意味する言葉です。

熟語に用いられている「体」という文字には、「身体」のほかに「外から見えるありさま」という意味があります。もう一つの文字である「現」には、「見えなかったものを見えるようにする」ことや「目の前の」という意味を持ちます。

これら二つの文字があわさって、見えなかったものを外から見えるようにすることを指す「体現」という熟語を構成しているのです。

「体現」とは身をもって実行すること

「体現」の意味をかいつまんでいうと、実行することを指します。そのままでは実効力を持ちえない思想や観念などを現実に実行できるようにすることや、外から見えるよう具体化したり実行したりすることを表す言葉が「体現」で、抽象的なものを現実の世界で実行するようなイメージです。

「体」が持つ「身体」という意味から、特に自分自身の身をもって実体化させたり実行したりするという意味合いでも、「体現」は使われます。

「体現」の例文

具体化するという意味での例文

  • 彼は仏教の精神世界を作品として体現するために、日常的に禅定を行っている。
  • 我が社は社員のボランティア活動を支援することで、社是である「社会貢献」を体現している。
  • 創立者の理念を体現することを目的に、新たなプロジェクトが立ち上げられた。

身をもって実行するという意味での例文

  • 自らの信念を日ごろから体現している彼なら、安心して仕事を任せることができそうだ。
  • 身をもってあるべき姿を体現することを心掛けている父の言葉には、有無を言わせぬ力がある。
  • 寡黙だが着実にやるべきことを片付けている彼は、不言実行を体現している存在だ。

「体現」の類語・英語表現

「権化」は抽象的なものが具体化したかのような存在

「権化(ごんげ)」には二つの意味があります。一つは「体現」の類語といえるもので、抽象的なものが具体化したかのような存在を表すものです。

例をあげると、美しいものに強い関心を持ち、美しくあることをモットーにして実行しているような人のことを「美の権化」というようなケースを指します。

もう一つの意味は、神仏が仮の姿をとってこの世にあらわれることやその姿のことで、「化身(けしん)」「化現(けげん)」「権現(ごんげん)」ともいわれるものです。

「具象」はわかりやすく示すこと

「具象(ぐしょう)」とは、ものごとをわかりやすいようにはっきりと示すことで、「体現」の類語といえる言葉です。

思想や観念などのようなとらえどころがなく理解し難しいものをわかりやすいように表すもので、「抽象」の対義語として用いられています。また、はっきりとした姿や形を備えていることを指しても使われる言葉です。

「具体」は知覚できる形状をもっていること

「具体」は五感での知覚や、第三者による認識が可能な形状・内容を備えていることを指しており、「具象」の後者の意味合いと同じものです。

「体現」は抽象的なものを具体化することを表しており、「具体化されたもの」という意味合いを持っています。つまり「具体」は「体現」を説明する言葉といえるものです。

「体現」の英語表現は「embodiment」

「体現」の英語表現は「embodiment」です。「~に形態を与える」という意味の動詞「body」に、「~にする」という意味を加える接頭辞「em-(b・p・mの前に置かれるとき「en-」が変形したもの)」と、状態や手段を表す接尾辞「-ment」が加わって構成されています。

「体現」のほかに「具体化」や「権化」という意味もあり、日本語の「体現」の英訳語として使うことができる語句です。

「体現」と「具現」との違い

「具現」とは具体的に表すこと

「具現」とは、具体的ではっきりとした形として表すことを意味する言葉で、熟語に用いられている「具」という文字は両手で金品を捧げ持つ姿からできたものです。

「具」には「つぶさに」という意味があり、ここに目の前に表すという意味の「現」が加わって「具現」という熟語を構成しています。

「具現」は「体現」とほぼ同じ意味合いを持っていますが、「具現」は物を指して用いられることが多く、「体現」は人を指して用いられることが多いという点が異なっている言葉です。

「体現」と「実現」との違い

「実現」とは現実のものにすること

「実現」とは、計画や夢などが現実のものになることや、現実化することを指した言葉です。思想や理念などを「実現」させることを「体現」といい、同時に「体現」した状態のことを「実現」といいます。

したがって、「実現」と「体現」は同義語といってよい言葉ですが、「体現」の方が「自らが行う」という意味合いを強調したいときにより適したものです。

たとえばお金持ちになりたいという夢を持った人が宝くじに当選したようなケースでは、「夢を体現した」ではなく「夢が実現した」の方が適切でしょう。

まとめ

「体現」の意味について、類語との違いや例文などをあげて解説しました。「体現」は他の類語より本人や関係者たちが努力し、身をもって現したという意味合いが強い言葉です。

したがって、成り行きや偶然によってものごとが具体化したようなケースで「体現」を用いると、違和感を与えてしまうこともあるため注意が必要でしょう。