「調整」の意味とは?「調節」「調製」との違いや類語も解説

「調整」という語句は「スケジュールを調整する」など日常的に用いられており、馴染みのある言葉といえるものです。しかし大筋の意味は理解できていても、「調節」や「調製」との違いまでは明確でないかもしれません。この記事では「調整」の意味と例文のほか、類語や「調節」「調製」との違いについても紹介しています。

「調整」の意味とは?

「調整」の意味は”正しい状態に戻すこと”

「調整」の意味は、“ある基準に合う状態に戻るように整えること”です。熟語に用いられている「調」という文字には”程よくする・なる・均す・まとめる・ととのえる”という意味が、「整」には”過不足や乱れを正してととのえる”という意味があります。

つまり「調整」とは、何らかの理由で不具合が生じたものに対して、本来の状態に戻すように手を加えることを意味したものです。

「調整」には”バランスよく整える”という意味も

「調整」には、“元に戻すこと以外にバランスよく整える”という意味もあります。仕事においてはさまざまな偏りが生じ、「ムリ・ムラ・ムダ」がみられるようになります。このようなとき、偏りを均して整えることで、円滑な業務の推進が可能となるのです。

業務だけでなく人間関係においても「調整役」がいれば、個々の事情などを鑑みながらメンバーの意見をすり合わせることができます。

「調整」の例文とは?

「調整」を”不具合を正す”という意味で使う場合の例文

「調整」を”不具合を正す”という意味で使う場合の例文をご紹介しましょう。

  • プリンターの調子が良くなかったが、ヘッドの調整をし直すことで改善できた。
  • 配線の調整を素人がやるのは危険すぎるので、専門の業者に依頼しよう。
  • 急な割り込み案件だったが、スケジュールを調整することで何とか対応できた。

「調整」を”バランスをとる”という意味で使う場合の例文

「調整」を”バランスをとる”という意味で使う場合の例文をご紹介しましょう。

  • 各部署から寄せられた数多くの意見を調整して折り合いをつけることは難しい。
  • 人員の配置を調整することができれば、我々の残業を減らせるかもしれない。
  • 彼女の目配りと気配りはすばらしく、チームの調整役として皆が頼りにしている。

「調整」の類語とは?

調整の類語①「修整」とは”整った状態にすること”

「修整」とは、きれいに整った状態にすることを指す言葉です。身近な事例としては証明写真があり、顔色を良くするなどの修整が施されています。

「修理」や「修飾」などの熟語からもわかるように、「修」には”正す・飾る”という意味があり、「修整」においては後者の意味合いがあります。なお、同音の「修正」は前者の意味合いで使われており、正しい状態に戻すことを表すものです。

調整の類語②「補充」とは”足りないものを補うこと”

「補充」とは、不足しているものを補うことです。「欠員補充」や「欠品の補充」というように使われ、主に人や物を対象としています。

似た言葉である「補填」との違いは、「補充」が不足を完全に補う場合に用いられることに対して、「補填」では一部を補う場合に用いられるということです。加えて「補填」は、保険金や給付金などのような金銭の損失や不足に対して用いられます。

調整の類語③「加減」とは”適度に調節すること”

「加減」とは、物事を適度に調節して程よくすることを表す言葉です。「空調温度を加減する」というように用います。

また、ものごとの程度や具合のことも指しており「湯加減はいかがですか」や、健康状態を指して「お加減はどうですか」といった用法もあります。

ほかにも四則演算の足し算と引き算のことや、ここから転じて加えることと減らすことという意味もある言葉です。

「調整」と「調節」との違いとは?

「調節」とは”程よくする”こと

「調節」とは物事を程よい状態にすることです。「節」という文字には、 「適切・節度」などの言葉からわかるように “程よい・適度”という意味があり、同じ意味合いの「調」と合わさって「程よくする」ことを表す「調節」という熟語を構成しています。

「調節」に一定の基準はない

「調節」における程よさには、一定の基準がありません。「調整」には”元の正しい状態”という基準があり、ここから外れてしまったものを元に戻すことを表しています。

しかし、「調節」の場合には戻すべき明確な基準というものはなく、「調節」する人が好みに合わせて加減するのです。なお、「調節」には他とのバランスを考えて折り合いをつけるという意味はありません。

「調整」と「調製」との違いとは?

「調製」の意味は”注文通りに作ること”

「調整」と読みが同じ語句の「調製」には、注文や規格に応じて作るという意味があります。「調製」で使われている「調」は、必要なものをそろえることを指した”ととのえる”という意味合いを持つ文字です。

ここに作ることを表す「製」が合わさって熟語を構成しており、用法としては「処方箋通りに薬剤を調製する」、「オードブル20人分を調製する」などがあげられます。

「調製」は「調整」の類語ではない

「調製」は「調整」と読みが同じで見た目も似ていますが、意味は全く違います。「調製」の主な意味は物を作ることであり、対象は「物」に限定されるものです。

加えて「調整」のような不具合を正したり、リバランスを行ったりするという意味合いはありません。したがって「調製」は「調整」の類語ではないので、用法の誤りに気を配りたいものです。

まとめ

「調整」の意味を、例文や類語とともに「調節・調製」との違いも含めて紹介しました。「調整」のように同音異義語を持つ言葉では、用法の違いをしっかり把握しておく必要があります。その際に熟語を構成している漢字に注目すれば、理解しやすいだけでなく忘れにくくなるのでお勧めです。