「内容証明」の書き方と意味とは?効力や料金・文字数について解説

「内容証明」は、法律関係の仕事に携わっていない方にとってなじみが薄いものかもしれません。しかしなんらかの契約を交わしている方であれば、利用する機会が訪れる可能性があるものです。この記事は「内容証明」の意味と書き方のほか、効力や料金などについても解説しており、いざというときに役立つ内容となっています。

「内容証明」の書き方とは?

「内容証明」の書き方は縦書き・横書きで文字数が異なる

「内容証明」の書き方は、決められた書式がありますが、縦書き・横書きで異なっています。

≪縦書きの場合≫

  • 用紙1枚につき26行以内・1行につき20字以内

≪横書きの場合≫

  • 用紙1枚につき26行以内・1行につき20字以内
  • 用紙1枚につき40行以内・1行につき13字以内
  • 用紙1枚につき20行以内・1行につき26字以内

内容証明郵便にタイトルは不要ですが、差出人と受取人の住所・氏名は必ず記載しなければなりません。使用できる文字は「ひらがな・カタカナ・漢字・数字・一般的な記号」で、英字は固有名詞でのみ使用可能です。

句読点は1文字として、〇で囲んだ文字・数字や平方根などは2文字として数えますが、括弧(「」など)は1文字としてカウントします。

「内容証明」は3通必要

「内容証明」では同じ文書を3部作成しなければなりません。「内容証明」のための用紙に規定はなく、パソコンで作成してプリントアウトしたもので通用します。

手書きする場合には、3枚複写になっている内容証明郵便用の用紙を使うか、作成した原本のコピーを2部とるかして、原本を相手に送ってください。なお印鑑についてはコピー不可で、3部それぞれに押印する必要があります。

「内容証明」で使う印鑑は同一のものを

「内容証明」では何ヶ所か印鑑を押す必要がありますが、すべて同じ印鑑を使用しなければなりません。

文書内で訂正する場合は、間違えたところを二重線で消したうえで欄外に「〇字削除」「○字加入」「○字削除」「○字修正」などと書き、そこに押印します。

また、用紙が2枚以上にわたる場合には、ステープラーなどで綴じたうえでページの間に契印(割印)が必要です。文書の最後に記載する差出人名に押印する場合、これも同じ印鑑で統一します。

封筒と文中の表記をそろえる

「内容証明」を送るための封筒は、一般的なもので大丈夫です。封筒には受取人と差出人の住所・氏名を記載しますが、内容証明の文中と同じ表記でなければなりません。

たとえば文中で「1丁目1番1号」と記載したなら、封筒には「1-1-1」ではなく「1丁目1番1号」とします。また、受取人名に付けた敬称も同一の表記にそろえます。

「内容証明」の差出は郵便局の窓口で

「内容証明」の差出は郵便局の窓口で行いますが、「内容証明」を取り扱っていない郵便局もあるため、事前に確認してください。文面などを郵便局が確認したうえで手続きを行うため、封筒は封をせずに持参します。

なお「内容証明」の場合、手紙以外の資料や写真などは同封できません。また、内容に不備があった場合の訂正に備えて、使用した印鑑も用意しておくとよいでしょう。

「内容証明」の意味とは?

「内容証明」とは”文書の内容証明郵便の略称”

「内容証明」とは、“内容証明郵便の略称で、送った郵便物の内容などを証明する郵便”のことです。通常の郵便では、どんな手紙をいつ誰に送ったかについての証拠が残らないため、相手が手紙を受け取ったことを認めなければ、手紙そのものの存在さえ証明することはできません。

しかし「内容証明」の場合なら、郵便物の「内容・差出人・受取人・差し出した日付」が郵便局によって証明されるのです。

「内容証明」は郵便物の控えが残せる

「内容証明」では、出した手紙と同じ内容の文書が自分自身の手元と郵便局に残され、郵便物の作成日も確定されます。

これによって、相手が手紙を受け取ったことを認めなかったり、受け取った手紙を廃棄したりしても、「いつ・誰から・どのような内容の」郵便物が送られたかという証拠が残ることになるのです。

なお、別途「配達証明」を付けることで、郵便物がいつ相手に配達されたかについても証明することができます。

「内容証明」の効力とは?

「内容証明」に法的な効力はない

「内容証明」は、郵便物の内容がどのようなものであったかを証明するものですが、内容について法的な正当性を与えたり、法的な効力を発揮したりするものではありません。

たとえば未払金の支払いを求める手紙を「内容証明」で送った場合、相手に対して支払いを実行させる法的効力はないのです。

しかし、意思表示を行った日付や内容について立証することができるので、訴訟などの際に大変有効となります。

身近な「内容証明」はクーリングオフ

「内容証明」がよく使われる身近なケースは、クーリングオフです。高齢者が訪問販売で高額な契約を結んでしまうような事例が頻発したことから、少しずつ知られるようになりました。

クーリングオフでは契約書を受け取ってから8日以内に書面で通知する必要があるため、差し出した日付と書面の内容を証明できる「内容証明」が効力を発揮するのです。

他にも以下のようなケースで、「内容証明」がよく利用されています。

利用される例
  • ネットオークションなどで詐欺に遭ったとき
  • 借金・家賃・養育費などの滞納請求書
  • 別居中の離婚協議
  • 時効援用通知の送付

※時効援用とは、時効期間を過ぎた借金について債権者に時効を主張するして債務を消滅させる手続きの事です。

「内容証明」の料金とは?

「内容証明」には別途料金が必要

「内容証明」を利用するためには、通常の郵送料に加えて以下の料金が発生します。

  • 内容証明料:430円(2枚目以降は1枚当たり260円)
  • 書留料:430円
  • 配達証明料:310円(任意)

配達証明はぜひ利用したい

配達証明は任意ですが、相手が手紙を受け取ったことを示す証拠になるものです。差出後1週間程度で「〇月〇日に配達したことを証明します」と記載された配達証明書が手元に届きます。

この配達証明書は今後、交渉や裁判などを有利に進めるために大切なものとなるため、内容証明郵便の控えとともに保管しておきましょう。

まとめ

一般的に、手紙は証拠として有力なものと考えられています。しかし相手にその手紙を出したことと、相手にその手紙が届いたことのふたつを証明しなければ、証拠として機能させることはできません。「内容証明」を出すならぜひ、「配達証明」をセットで利用するようにしてください。