「F1層」の意味と特徴とは?消費動向や「ペルソナ」についても

「F1層」はレースの「F1」のことではなくマーケティング用語ですが、経済誌などで取り上げられることもあるため、マーケティングに関わっていない方も見聞きする機会があるようです。この記事では「F1層」の意味と特徴のほか、消費動向や関連用語の「ペルソナ」についても紹介しています。

「F1層」とは?

「F1層」とは”20~34歳の女性”のこと

「F1層」とは、”20~34歳の女性”のことです。視聴率調査や商品開発などの広告・マーケティング関連業界で用いられている用語で、顧客の性別・年齢によって切り分けられます。

「F1」の”F”は英語で女性を表す「female」の頭文字、「1」は年齢層から取られています。参考までに年齢層の区分は、以下のようになっています。

年齢層の区分
  • 1:20~34歳
  • 2:35~49歳
  • 3:50歳以上

ちなみに年齢層の区分は男女共通で、20~34歳の男性は「M1層」となります。なお、男性の[M]は「man」ではなく、「male」の頭文字です。

「F1層」の特徴はトレンドに敏感なこと

「F1層」の特徴としては、トレンドに敏感なことと自分磨きに熱心なことがあげられます。特にファッションや美容への関心が高く、関連商品やサービスに対する消費意欲は他の層に比べて大変旺盛です。スキルアップや自己啓発にも意欲的で、投資を惜しまない傾向がみられます。

「F1層」の人口は減少傾向

国内の「F1層」の人口は9,418千人(総務省統計局・2019年)で、「F2層(12,870人)」や「F3層(32,211千人)」より少ないものとなっています。

国内人口そのものが減少していますが、なかでも若年層の減少は著しく、今後も「F1層」の減少傾向は続く見込みです。

「F1層」の消費動向とは?

「F1層」はマーケティングにおける最重要層

「F1層」は、マーケティング戦略において最も重視されるターゲット層となっています。その理由は、彼女たちがトレンドに敏感で消費意欲が高いことと、多くは未婚であり収入の大半を自分のために使うことができるからです。

そのため「F1層」は企業にとって魅力的なターゲットとなっており、テレビドラマでもスポンサーである企業の意向を反映した番組を制作する関係上、「F1層」を重視しています。

長引くデフレで消費動向に変化が

これまでマーケティングの重要なターゲットとなっていた「F1層」ですが、デフレが続く昨今の経済状況を反映して消費傾向にも変化が表れています。

節約志向の高まりから、安価で高品質なものを厳選する傾向がみられるようになり、シェアリングやサブスクリプションを利用するようにもなりました。

「F1層」そのものも多様化する傾向が

加えて生活の多様化が進み、「F1層」内でのライフスタイルやライフステージは一律でなくなっています。たとえば未婚であってもいずれ結婚するのか、あるいは一生独身で過ごすのかによって生活設計は異なり、何にお金を使うかも違ってくるのです。

したがって、年齢と性別でひとくくりにしていた「F1層」というとらえ方は、古いものとなりつつあるといえます。

「F1層」と「ペルソナ」との関係とは?

「ペルソナ」は心理学用語

「ペルソナ(Persona))」は、心理学者のユングが提唱した概念に基づく用語です。「ペルソナ」の英語本来の意味は「装っている人格・役割」ですが、ユング心理学では「人間の外的側面」と定義しています。

この考え方をマーケティングに応用して、ターゲットをより詳細に設定したものが「ペルソナ」です。

「ペルソナ」とは架空のユーザー像のこと

「ペルソナ」とは、マーケティングにおける架空のユーザー像のことです。年齢と性別で区分された「F1層」をさらに細分化して設定されるもので、居住地・職業・年収・家族構成などの定量的なデータだけでなく、想定するユーザーの生い立ちや身体的特徴のほか、性格や価値観なども加味します。

「F1層」を「ペルソナ」でさらに具体的に

「F1層」では同じ区分に属する「27歳の女性」である、AさんとBさんを例に考えてみましょう。

Aさん

  • 東京都在住
  • 商社勤務
  • 年収800万円
  • 未婚・一人暮らし

大卒後商社に入社、上昇志向が強くスキルアップに余念がない。結婚は考えておらず、良い物件があれば自分名義のマンションを購入したい。

Bさん

  • 沖縄県在住
  • 小売店勤務(パートタイマー)
  • 年収100万円
  • 既婚・夫と子供(2歳)との三人暮らし

高卒後地元の小売店に入社、23歳で職場結婚してから出産まで勤続。出産後はパート勤務に変更して子育てと両立させている。

この二人のニーズが同じであるとは考えられないため、「F1層」でひとくくりにしたマーケティング戦略だけでは通用しなくなっているのです。

多様化する消費動向に対応した商品やサービスの開発を行うために、「F1層」に加えて「ペルソナ」の設定も必要となっています。

まとめ

「F1層」の意味のほか、消費動向の特徴や「ペルソナ」などについて紹介しました。消費者のニーズは多様化し続けているうえ、トレンドの周期も短くなっているため、商品やサービスを開発する立場にとっては厳しい状況となっています。

よい商品やサービスを作れば売れた時代は過去のもので、顧客が欲しがるものを提供しなければ、市場からの退場を余儀なくされる時代になったようです。