「晦日」の読み方による意味の違いとは?由来や反対語も紹介

日本人であれば、「大晦日」は誰もが馴染みのある言葉でしょう。しかし「晦日」の意味や、読み方が複数あることについては、よくわからないという方が少なくないようです。この記事は、「晦日」について読み方による意味の違いのほか、言葉の由来や反対語も紹介しており、語句への理解が深まる内容となっています。

「晦日」の読み方による意味の違いとは?

「晦日(みそか)」の意味は”月の最終日のこと”

「晦日(みそか)」の意味は、“月の最終日のこと”です。「晦日(みそか)」は本来、「三十日」のことです。「みそ」は「三十」を表し、現在でもよく用いられている「三十路」は30代のことではなく30歳のことを指しています。太陰暦(陰暦・旧暦)では月の最後は30日と決まっていたことから、「晦日」は30日にあたるものでした。

しかし太陽暦(新暦)に変わってからは、その月の最終日(1月や3月などの大の月なら31日、2月なら28日もしくは29日、4月や6月などの小の月なら30日)を指すようになったのです。なお「晦日(みそか)」にはもうひとつ、30日間という意味もあります。

「つごもり」の意味も”月の最終日”

「つごもり」と読んだ場合の「晦日」はその月の最終日を指し、「みそか」の一般的な意味合いと同じです。加えて、太陰暦における月末のほぼ10日間のことを表す言葉でもあります。

太陰暦は月の満ち欠けの周期を基にした暦で、1ヶ月は約29.5日、1年は約354日で計算されるものです。実際の1年(約365日)とのズレを調製するために、3年に一度の割合で閏月(うるう月)を加えます。

「つもごり」は”つごもり”の音変化したもの

「晦日」の読みとして、「つもごり」というものもあります。これは先にあげた「つごもり」の音が変化したものです。

「つごもり」そのものも「月隠り・月籠り(つきごもり)」の音が変化したものですが、多くの人が呼びならわすうちに文字が抜け落ちたり、前後が入れ替わったりすることにより生じる別の読み方が定着していくようです。

「かいじつ」は”晦日(みそか)”を音読みしたもの

「かいじつ」は、「晦日」を音読みしたもので、「晦」一文字だけでも「みそか」「つごもり」と読むことができます。「晦日」の意味は他の読みの一般的な意味と同じく、月の最終日のことを指すものですが、現代でも古語である「みそか」や「つごもり」を見聞きする機会が多いようです。

なお「晦」という文字には「暗い」という意味がありますが、この点が次の章で紹介する「晦日」という言葉の由来となっています。

「晦日」の読み方は”みそか・つごもり・つもごり・かいじつ”

「晦日」の読み方は“みそか”です。それは「大晦日(おおみそか)」という言葉がよく知られていることによります。

ところが「晦日」は、ほかにも“つごもり・つもごり・かいじつ”などと読むことができるため、全部で4通りの読み方ができる言葉となっています。

「晦日」の由来とは?

「晦日」の由来は太陰暦

「晦日」が月末日のことを指すのは、「晦」という漢字が持っている意味にあります。「晦」の「暗い」という意味の由来は太陰暦にあり、1ヵ月が新月からスタートすることによるものです。

月の最終日は新月の前日にあたるため、月明かりはありません。そのため「晦」は暗いことを表しているのです。

「つごもり」の由来は月が隠れて見えないこと

先に紹介した「つごもり・つもごり」という読みの由来も、太陰暦の月末日には月が姿を見せないことにあります。

その様子を、「月隠り(月が隠れていること)」「月籠り(月が籠っていること)」と呼んでいました。なお、かつては月末ごとに家中をキレイに清掃する「晦掃(つごもりばき)」という習慣もありました。

「大晦日」と「小晦日」の意味とは?

「大晦日」の意味は”12月31日のこと”

12月31日のことを指す「大晦日(おおみそか・おおつごもり)」は、「晦日」よりなじみがある言葉でしょう。毎月の最終日である「晦日」のなかでも、その年の最後の月の「晦日」は翌日に新年を迎える特別な「晦日」ということで「大晦日」となったものです

現代でも「大晦日」には年越し蕎麦を食べますが、これは元々毎月「晦日」に蕎麦を食べる商家の習慣だった「三十日蕎麦(みそかそば)」が転じて、大晦日の風習になったとされています。

「小晦日」の意味は”大晦日”の前の日のこと

「小晦日」は「大晦日」の前日(太陽暦では12月30日・太陰暦では12月29日)のことを指す言葉です。読み方は「こつごもり」で、「こみそか」とは読みません。

「小晦日」は「大晦日」に比べると知名度は低いためか、「こつごもり」という読み方を知らない方も多くみられます。

「小晦日」「大晦日」はともに暮れの季語ですが、本来の季語にあたるのは「小晦日」であり、「大晦日」は拡張された季語である子季語となっています。

「晦日」の反対語とは?

「朔日」とは一日のこと

「朔日(さくじつ・ついたち)」とは、太陰暦における月の最初の日である「一日」のことです。「朔」という漢字そのものには陰暦の第一日ということのほか、「新月」という意味もあります。

「朔日」が「ついたち」のことを表す理由は、太陰暦の第一日として「新月」の日があてられたことにより、次の新月の前日が「晦日」となるのです。

まとめ

「晦日」の読み方による意味の違いを由来も含めて解説し、類語の「大晦日・小晦日」や反対語も紹介しました。

カレンダーは明治6年の元日以降、太陰暦から太陽暦に変わっています。しかし、季語や春分・秋分などの二十四節気(にじゅうしせっき)として、太陰暦は現代にも息づいているといえるでしょう。